【声明】二度と冤罪を引き起こさないために、再審法改正政府案に反対します

【声明】二度と冤罪を引き起こさないために、再審法改正政府案に反対します
2026年6月30日
緑の党グリーンズジャパン運営委員会
いわゆる「袴田事件」のやり直し裁判(再審)で、静岡地裁は2024年9月に袴田巌さんに無罪判決を言い渡しました。1966年の殺人事件での逮捕から58年、死刑確定から44年を経て無罪が確定し、判決では捜査機関による証拠捏造が認められました。また、1986年に福井市で起きた女子中学生殺人事件(以下「福井事件」)の再審で、名古屋高裁金沢支部は2025年7月に前川彰司さんに無罪判決を言い渡しました。これらの事件を機に、再審制度見直しが大きく具体化していきました。
そして、再審制度を見直して、冤罪(えんざい)被害者を速やかに救済するには、証拠の幅広い開示と検察官の不服申し立て(抗告)禁止の二つを実現することが不可欠です。袴田事件でも福井事件でも、検察官の抗告によって、最初の再審開始決定から無罪判決まで10年以上の時間を費やしました。
今国会では、政府提出法案と、自民党を含めた超党派の議員連盟がまとめた野党3党の共同提出案が同時に審議されたものの、衆院で16日に政府案が修正の上可決され、参院に送付されています。しかし政府案では、改正に求められる二点とも欠いており、冤罪被害者と国民の声に応えるためには、議連案で示された内容の実現が必要不可欠です。
袴田事件や福井事件など多くの事件で再審無罪の決め手となったのは、警察や検察が隠したり未提出だった証拠が新たに開示されたことです。そのために当初の議連案では、裁判所が再審請求の求めに応じ、検察側が持つ全ての証拠とその一覧、そして警察が手元に留め置いて検察に送らなかった押収物など全ての資料について、検察・警察に対し、直接再審請求側へ開示させることを命じる規定が盛り込まれていました。また、再審請求理由に直接・間接に関連すると認められるものを広く開示の対象としていました。
それに対し今回の政府案では、裁判所が提出を命じる対象は、再審請求理由との関連性や必要性の程度からみて「相当」と認めた証拠に限定しています。過去には、検察が「関連性がない」として明らかにしなかった証拠が後に開示され、再審無罪につながった例があります。検察が持つ証拠の一覧表が再審請求側へ開示されなければ、無罪につながる証拠が出されないままになる可能性があります。しかし政府案では、再審請求側への証拠の一覧の開示等の仕組みも制度化されていません。
また、議連案が検察官による抗告禁止を明確に規定した一方、政府案は当初案から修正されて抗告を「原則」禁止としたものの、検察が「決定が取り消されるべきものと認めるに足りる十分な根拠がある」とすれば抗告が可能であり、抗告禁止が空洞化するおそれがあります。
再審制度は、国家による人権侵害から無実の人を救う最終手段です。また、犯罪被害者救済のためにも、無実の人が犯人とされることによって真犯人を逃すことがあってはなりません。私たちは、司法が市民のため機能するよう、議連案の趣旨に立ち戻った議論を進め、正義を実現するための再審制度の整備を強く求めていきます。
※註
1:緑の党の地域代表協議会委員である笠原一浩弁護士も、福井事件の弁護団に加わっていた。
全文(pdf)→ https://greens.gr.jp/uploads/2026/07/S_enzai.pdf


