基本政策  (最終改定2024.11.17)

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【1】気候変動も原発もない未来に向けて、省エネ・再エネの普及と原発即廃炉・脱炭素を実現する

【2】将来にわたって持続可能な自然環境と生物多様性の保全を実現する

【3】経済成長至上主義から脱却し、いのちと自然、くらしと仕事を大切にする循環型経済を実現する

【4】公正な負担によって、すべての人の生存権を保障する

【5】性による差別・抑圧のない平等な社会へ

【6】子どもと未来を育む―「子どもの権利」が息づく社会と、地域が担う教育を実現する

【7】基本的人権を保障し、多様なあり方を認め合う

【8】熟議と当事者主権にもとづく参加民主主義を実現する

【9】戦争や暴力・差別のない平和な国際社会の実現に向けて積極的役割を果たす

【 】と( )の項目は総会で議決する「基本政策に関する基本的事項」、その他の項目は地域代表協議会で議決する「具体的な政策に関する個別政策」です。
*2017年2月定期総会および地域代表協議会で構成を含む大幅修正
*最終更新 2020年2月9日定期総会および2021年5月23日地域代表協議会

【1】 気候変動も原発もない未来に向けて、省エネ・再エネの普及と原発即廃炉・脱炭素を実現する

(1) 気候変動が人間社会や自然界にとって著しい脅威となっていることを踏まえ、「産業革命以降の世界平均気温上昇を1.5℃未満に抑え、2050年に人為的なCO2排出実質ゼロ」に向けて、原子力からの撤退と脱化石燃料をめざし、気候危機対策を強力に推進する

  1. 温室効果ガスについては、原発ゼロを前提とし、2030 年までに1990 年比で65%以上削減する目標を設定し、その達成に向け着実な対策を実行する
  2. 企業や発電所などに高い排出削減目標と規制を割り当て、その実現を誘導する国レベルでの制度導入 を図る
  3. 環境税(地球温暖化対策のための税)については、排出削減目標の達成に向けて適宜税率を見直し、引き上げていく。その税収は逆進性緩和と社会保障政策などに充てる
  4. 「2050年にCO2排出実質ゼロ」に向け、脱化石燃料をめざし、石炭火力発電所の新増設計画を中止するとともに既存施設の運転を停止する。石炭・石油産業への資金の流れを縮小・廃止するための施策・制度を整備する
  5. 国際合意形成に積極的に貢献し、途上国支援に積極的な役割を果たす
  6. エネルギー大量消費型のライフスタイルの変革を通じて、営業時間の短縮と商店街の再生、地域のエネルギー消費全体を下げる取り組みをする
  7. 公共交通利用促進とモーダルシフト(貨物輸送をトラックから環境負荷の少ない鉄道、船舶へ移すこと)により、自動車交通量を減らして、交通渋滞の緩和、運輸部門のエネルギー消費と二酸化炭素や汚染物質排出の抑制を図る

(2)原発を推進してきた法体系や審議会・制度を解体し、原発の稼働・廃炉における事故・被曝・汚染の確実な防⽌や事故時の実効性ある対策・避難計画を実現するための法制度を確⽴する

  1. 巨大事故を引き起こした原子力利益共同体(電力会社・原発メーカーをはじめとする原子力産業と政界・財界・学界などの癒着構造)の責任を明確にし、追及する
  2. 原発依存の法体系や御用審議会を解体、規制委員会の構成や機能を公正で正当なものに再編するとともに、市民参加を保障する
  3. 放射能汚染の計測体制や安全規制を強化・充実させるための法制度を確⽴す
  4. 原⼦⼒災害対策・避難計画について、深層防護第5層の機能を満たす徹底的な対策を法制化する

(3) 東京電力福島第一原発事故の拡大を防止し、被災者・避難者に対する生活支援を強化する。放射能被害から命と暮らしを守る制度を確立する

  1. 福島第一原発事故による周辺環境への汚染拡大の防止に取り組む。特に汚染水問題では、凍土壁工法を見直し、実効性ある防止策に取り組む
  2. 年20ミリシーベルトという危険な避難基準を改め、避難の権利を保障するとともに、「原発事故子ども・被災者支援法」の理念を完全実施し、住宅支援の継続、被災者・避難者に対する医療・生活支援を実施・拡充する
  3. 原発事故により生じた放射線被ばく者および被ばく労働者に対する医療と健康管理に全力を尽くす
  4. 放射性廃棄物処理問題については、「放射性汚染物質対処特措法」を抜本的に⾒直し、開かれた議論で安全規制を強化する

(4) 原発依存行政を転換するとともに、市民や自治体の関与強化や開かれた議論を進め、原発や核燃料サイクルのすみやかな廃止を実現する

  1. 原発の建設・再稼働および原発政策に関し、住民投票や国民投票など、直接民主主義に基づく市民や自治体の関与を強化する。建設や再稼働に自治体や住民の同意を法的に義務付けるとともに、その範囲を拡大する
  2. 危険度の高い原発や核燃料サイクル計画などはすみやかに廃止する
  3. 原発交付金制度など原発依存行政を転換し、地方自治体の脱原発を促進する
  4. 原発輸出をやめさせ、世界的な脱原発実現に向けて国際的な連携を強化する

(5) エネルギーの効率化と消費節減、電力市場の改革や送配電の分離・公共化、地元の合意と周辺自然環境への影響の最小化に配慮した地域分散型再生可能エネルギーの拡大を進める

  1. 開かれたエネルギー政策の議論と取り組みを行う
  2. エネルギー消費を減らし、賢く効率的な利用を進める
  3. 地元の合意と周辺自然環境への影響の最小化に配慮した地域分散型再生可能エネルギーの導入と拡大を進める
  4. 電力会社による電力市場の独占を解体し、全国一体の送配電部門を公的な関与と規制によって運用するとともに、再生可能エネルギーの自由な流通を促進する
  5. 原発事故における電力会社の有限責任制度や、原発への経済的支援策の導入など、原発を助長し、再生可能エネルギーを妨げる法制度は廃止・解消する

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【2】 将来にわたって持続可能な自然環境と生物多様性の保全を実現する

(1) 自然破壊型開発事業を見直し、自然と共生し再生する事業に転換する

  1. 沖縄県普天間基地返還による辺野古海域への新基地建設、やんばる地域の自然を破壊する東村高江地区の米軍ヘリパット基地建設を中止する
  2. 沖縄県泡瀬干潟の埋め立て計画を中止、すでに埋め立てた部分は自然を再生し、ラムサール条約湿地ならびに国立公園として登録する
  3. 環境破壊の可能性があるダム工事は事業を停止し情報公開のもと再検討、完成したダムについても公開のもとに検証しなおし問題がある場合は撤去する
  4. 環境や生態系の回復のため、治水・利水目的に作られたダムを環境や生態系の回復のため自然に戻す公共事業を実施する
  5. リニア中央新幹線は、大規模な自然破壊、電磁波の悪影響、電力の大量消費による原発の推進を及ぼす可能性が高いため中止する
  6. 少子高齢化と人口減少社会にあった交通インフラを整備するとともに、従来型の無駄な道路建設は中止し、安全性の確保やメンテナンスを中心とした事業にシフトする
  7. 潮受け堤防を段階的に全開門し、諫早湾干潟および有明海を再生保全する。長良川河口堰を開門し、将来的に撤去し長良川を再生保全する
  8. コンクリート防波堤依存から脱却し、沿海水産資源の保護と防災も含めた新たな、そして持続可能な沿岸管理を構築する
  9. 海洋の放射能汚染について、詳細かつ広範囲、長期にわたる調査を実施する
  10. 上流域、中流域、下流域を一連の生態系ととらえ、行政区分を超えた河川再生に取り組むことにより、コンクリート護岸と直線化した都市型河川を自然再生する
  11. 森林保護制度は林野庁から環境省に移管し、また民有林活用による里山保全のための土地法制を整備し、森林保護を徹底する。国内の森林資源を積極的に活用する
  12. 水資源利用は、自噴泉のみ認め、地下水については国際的に通用する水資源利用のルールを作るための調査、議論に着手する

(2) 生物多様性を含む自然環境の保全、持続可能な利用を進める

  1. 2030年までに地球の陸・海それぞれの30%の面積を保全する国際合意目標「30by30(サーティ・バイ・サーティ)」に基づき、生態系の代表性・連続性などに考慮した保護地域を拡大する。取り組みにあたってその可視化、気候変動対策との連携などを強化する。
  2. 侵略的外来種とその定着経路を特定し、制御または根絶の対策に取り組む
  3. 生物多様性に有害な奨励措置(補助金など)を廃止し、自然環境の保存や賢明な利用のための奨励措置を策定し適用する。市民による自然環境調査を資金的援助もふくめ積極的に推進、活用する
  4. 生物多様性の保全と持続可能な利用に関する先住民族・地域共同体の文化的、知的遺産を尊重し、完全な関与を実現する
  5. 環境再生型公共事業を企画段階から市民参加型事業として推進する
  6. 家庭・実験動物施設・動物園・学校飼育・畜産等におけるアニマルウェルフェアを確⽴するとともに、野⽣生物との共存や適切な管理を進める。まずは、ペット動物取扱業者の免許制の導⼊と殺処分ゼロをめざす。

(3) ごみを徹底的に削減する社会を実現する

  1. ごみの徹底した削減のために、生産段階からごみと有害物質を減らす「発生抑制」を基本にリサイクルよりリデュース(減量)、リユース(再利用)を優先させる循環型社会の設計図を作る
  2. プラスチック材料製品の代替材料・製品の開発、生産抑制、使用・廃棄の規制を進め、プラスチックゴミの海洋汚染対策を強化する

(4) 環境の保全のため、市民参加と環境行政の公正・透明化を進める

  1. 「事業を実施しない」という選択肢を含む代替案を義務づけるなど、実効性のある環境アセスメントを実現するための法改正を行う
  2. オーフス条約(環境に関する情報へのアクセス、意思決定における市民参加、司法へのアクセスに関する条約)に加盟し、政策決定や立法プロセスへの実質的な国民参加の仕組みを導入する
  3. 有害物質による環境リスクの低減、管理に規制的手法を含めた多様な手法によって取組み、住民、事業者、民間団体、行政が、環境リスクに関する正確な情報を共有、共働するシステムを構築する。海外からの有害物質の流入については、「有害物質の不法輸入防止に関するアジアネットワーク」(11ヵ国が加盟)を有効に活用し、ガイドラインの策定に向けて活動する
  4. 河川の下流域・都市部の住民・自治体が上流域・中山間地の住民・自治体と交流し、支援する流域圏の自治的なガバナンスを作る
  5. 住民参加の都市計画策定を進め、大都市の大型開発に対する規制を強め、環境調和型の都市を作る

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【3】 経済成長至上主義から脱却し、いのちと自然、くらしと仕事を大切にする循環型経済を実現する

(1)「スロー・スモール・シンプル」で豊かに生きることのできる地域循環型経済を実現する

  1. 海外市場の拡大に依存する経済成長戦略を転換し、20世紀型の重厚長大産業ではなく、21世紀型の環境・再生可能エネルギーと医療・介護・教育と食(農業)の分野で経済を活性化し、新しい起業と雇用を創出する
  2. 規制や誘導を適切に組み合わせた制度の拡充により、産業における省資源化・省エネルギー化・有害物排出の最小化をいっそう推進する
  3. 省エネ技術や再生可能エネルギー開発など、環境分野における産業や雇用の拡大を図る政策措置を導入・拡充する
  4. エネルギーや農産物の地産地消など、地域内でモノ・サービス・資金が循環する仕組みを作る
  5. 再生可能エネルギー・ケア・子育てなどのソーシャルビジネスやマイクロ・クレジット(NPOバンクなど)を支援する法的制度を整備する
  6. 被災地の漁業復興は、現地の漁業者が主体となって参画できるよう、支援する
  7. 食料主権を確立し、持続可能な食料生産を実現するため、バイオテクノロジーの無秩序な研究や暴走する開発を禁止する
  8. 長期的スパンの林業計画を確立し、自立的で持続可能な林業を推進する。そのために、広範囲の皆伐は原則禁止する
  9. カジノ法の廃止を求めるとともに、ギャンブルおよびギャンブル系遊戯に対する規制を拡大・強化し、 依存症対策における業界、国および自治体の責任を明確化する

(2) 富と仕事を分かち合い、公正な労働を実現する

  1. 経済活動の成果(富)が公平に分配されるように、公正な税制で所得再分配を行ない、格差の拡大を防ぐ
  2. 非正規労働者に安心と安定を保障するために、最低賃金法を改正して最低賃金を時給1600円以上に引き上げ、同一価値労働同一賃金を実現する。その上で、ワークシェアリングによって雇用を拡大する
    ※「同一価値労働同一賃金」は、同一職場・産業だけでなく、産業を超えた同一価値労働に同一の賃金が支払われるべきという概念で、経団連の言う「企業に同一の付加価値をもたらすことが期待できる労働」は概念を歪曲している
  3. 労働時間を年1300時間に短縮する。過労死や「こころの病」を防ぐために、残業を抜本的に規制する
  4. 「労働者協同組合法」(2020年12月成立)に基づく協同労働組合の設⽴・運営を支援する枠組みを作る。就労に困難を抱える⼈たちとの事業を可能とする「社会的事業所促進法」(仮称)などの法制化を図る。

(3) いのちと環境を守る観点で地域に根ざした農林水産業を再生する

  1. 農水省の規模拡大路線に反対し、「小さな農家」、「小さな生産組合」、CSA(地域サポート農業)など多様な主体による農業を維持・発展させる
  2. 農林水産業は自然のサイクルに制約されるために市場原理にはなじまないことを明確にし、第一次産業従事者が夢をもって生活できるように、最低価格保証制度と中山間地の農家への環境直接支払い制度を確立する
  3. 耕作する者が農地を所有・利用するという原則の下に、耕作したい人が誰でも使えるように、田畑森林の所有・利用の制度を改革し、若者をはじめとする新規就農を促進する。営利目的のみの株式会社による農地所有は規制する
  4. 環境保全型農業、有機農業、有機畜産で安全な農産物を作る農家への財政支援に力を入れ、産地直送・産消提携など生産者と消費者の信頼関係を強める
  5. 農林水産業の“地産・地消”化を促進して循環型経済を活発にする。“半農半X”型の生活スタイルや都市住民の食物自給のためのインフラ(市民農園など)整備を促進し、都市住民の家庭菜園・市民農園・近郊田畑との往還農などの部分的自給を進め、第一次産業従事者と市街地住民の直接交流を活発にする
  6. 地域の食料自給率をできるかぎり引き上げ、世界一大きいフードマイレージを3分の1に減らし、遺伝子組み換え食品の生産・流通・輸入を禁止する
  7. 工場的畜産を規制し、畜産動物のアニマルウェルフェアの確⽴・推進を図る

(4) 自由貿易の推進を転換し、グローバル経済の暴走を規制する国際的枠組みを強化する

  1. 国際的な金融取引に課税し、投機的なマネーの動きと暴走を抑える。通貨取引税・金融取引税・国際連帯税を導入する。タックス・ヘイブンに対する国際的な監視と情報公開を強める
  2. TPPは多国籍企業の活動と利益を優先する自由貿易推進の枠組みであり、撤退する。東アジア・太平洋諸国との公正な貿易と経済協力の関係を構築する

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【4】 公正な負担によって、すべての人の生存権を保障する

(1) 生存権を保障する最低所得保障制度と公正な税制、持続可能な財政体系を実現する

  1. 所得を得ることと労働とを切り離し、「生きていることそのもの」への給付として、全ての個人に最低限の生活保障のためのベーシックインカム導入を進める。制度導入にあたっては、公正税制を含む税体系の再構築、現物・現金給付の適切な組み合わせとその充実によって社会保障を拡充する
  2. 当面は、年金制度を抜本的に改革し、同時に給付付き税額控除の導入と生活保護の改善・捕捉率の向上で貧困をなくす
  3. 世代間の給付と負担の大きな不公平を、低所得の高齢者の負担増にならない方法によって、縮小する。年金所得への所得税を強化する。基礎年金部分への一律の税金投入をやめる。富裕な資産保有者に対する相続税の抜本的な強化など資産課税を強化する
  4. リニア新幹線や整備新幹線の建設など不要な公共事業の中止、天下りの根絶、公務員の給与体系の改革、軍事費の大幅削減によって、ムダな財政支出を減らす
  5. 特別会計については必要性・公正性などの観点から抜本的に見直し、整理・縮小や透明化と一般会計への組み入れを進める
  6. 最高税率の引き上げと段階刻みの増加等により所得税の累進性を高め、相続税・金融課税、環境税など富裕層と企業への課税を強化し、所得再分配の効果を高める
  7. 法人税は引き下げず、政策減税(租税特別措置など)は大企業向けを中心に大幅に圧縮する。企業の内部留保が適切に人件費などに振り向けられるよう、税制度を整備する。タックス・ヘイブンの子会社に移転した利益に対する課税を強化し、グローバル企業による大規模な税金逃れを禁じる
  8. 環境負荷を軽減しつつ雇用や暮らしを改善するための環境税制改革を進める
  9. 不公正な税体系が解消されないままの消費税率のこれ以上の引き上げは停止する。消費増税の議論は、給付付き税額控除の導入による逆進性解消、中小零細企業の負担軽減、財政全体の改革、社会保障の充実などを前提とする
  10. 国から地方への財源移譲を進め、地方自治体が住民参加によって住民のニーズに応じたサービスを提供する

(2) 誰もがいつでもどこでも安心して自分らしく生き続けられる支えあいの仕組みの構築に向け、共助と公共サービスの連携を進める

  1. 人間は病気をするという認識の上に立ち、投薬や検査など、病気を治すことのみを重視する現在の診療報酬体系などの医療制度を改革し、自然治癒力を基礎にする。カウンセリングなどの相談体制を改革するなども含め、病気になった人が自分で納得して選択できる制度にする
  2. 医療保険制度を一元化し、救急医療や産科・小児科の医療従事者を確保するように診療報酬体系を改革する。「混合診療」の全面的解禁に反対し、国民皆保険制度を維持する
  3. 介護報酬を大幅に引き上げ、介護従事者の賃金を全産業平均の水準に引き上げるなど待遇を抜本的に改善して、サービスの供給を増やす。要介護度の低い人への生活支援サービスの切り捨てに反対し、介護保険で保障する。病気になっても介護が必要になっても、住み慣れた地域で自分らしく暮らす生き続けられることを可能にする地域医療・介護ネットワークを充実させる
  4. 介護保険法で規定する内容は全国規模で統一が必要なもののみに限定し、介護サービスは事業主体である市区町村が地域特性にあった制度設計ができるようにする
  5. 当事者主権の立場に立って、個々人のニーズと生活実態に応じた介助サービスを保障し、障がい者が自分らしく生きることができるようにする
  6. 働き方の多様化と多様な保育サービスで、安心して子どもを生み育てる仕組みをつくる
  7. 低家賃の公営住宅の増大、低所得者への家賃補助などによって、住まいの権利を保障する
  8. 公共交通の維持整備によりミニマムサービスとしてのモビリティ(移動可能性)を確保し交通弱者を少なくする
  9. 社会保障を世帯単位の制度からシングル単位の制度に変える

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【5】 性による差別・抑圧のない平等な社会へ

(1) あらゆる政策決定の場への女性参画を促進するため、積極的是正措置(クオータ制=割当制の導入など)を進めるまた、性的少数者の政策決定プロセスへの参画を推進する。

  1. 性差別禁止法を制定し、政財界をはじめあらゆる政策決定の場への女性の参画を促進する積極的是正措置(クオータ制=割当制の導入など)によって結果の平等を実現する

(2) 世帯単位から個人単位の社会システムとし、性差別を固定化・助長する現行民法制度などを改正し、多様な生き方を可能にする

  1. 世帯単位から個人単位の社会システムとし、多様な生き方を可能にする(【4】○の再掲)

(3) 女性や性的マイノリティなどへの嫌がらせの防止、性差別に基づく暴力の根絶をめざすとともに、リプロダクティブヘルス・ライツ(性と生殖に関する権利)を保障する

  1. イスタンブール条約(女性に対する暴力と家庭内暴力の防止と撲滅に関する欧州評議会条約)を批准し、DV防止法の改正・強化、より包括的な「性暴力禁止法」の制定をめざす。
  2. 性の自己決定の基本であるセクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツ  (性と生殖に関する健康と権利)を保障するため、刑法からの堕胎罪の削除や母体保護法14条の配偶者同意条項の削除なども含め、必要な法整備を進める。
  3. 女性の人権の視点に立った災害・防災・復興計画、女性の意思決定過程への参画を促進するとともに、これらの取り組みの中で性的少数者の視点への配慮や尊重を明確化する
  4. 不同意性交罪や堕胎罪、売春防止法の法体系そのものを変え、性暴力防止と被害者の回復・支援を立法化するに留まらず、加害者対策も含めたより包括的な法体系への転換をめざし、「性暴力禁止法」を制定する

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【6】 子どもと未来を育む―「子どもの権利」が息づく社会と、地域が担う教育を実現する

(1) 子ども自身があらゆる場での決定過程に参加する社会を実現する

  1. 子どもの権利条約を実効化する。「子どもの権利基本法」を制定し、子ども自身があらゆる場での決定過程に参加する社会を実現する

(2) 子どもの貧困を防止するため、子どもにとっての最善の観点で福祉・社会制度の見直し・拡充を図る

  1. 保育が必要な人々に行きわたるよう、多様な形態の保育所を整備、認可する。また就業や健康状態、家庭状況に関わらず、保育を受ける権利を認め、子どもが集団で遊び、学べる場として保育所・幼稚園などを再整備する
  2. 婚姻経験の有無による支援差別となっている「寡婦(夫)要件」を撤廃(所得税法の寡婦の定義も直す)し、全てのひとり親家庭に充分な手当てと支援が行きわたるよう、制度を整備し財源を拡充する。児童扶養手当(母子手当)は第二子以降も第一子と同額を支給すると同時に、所得制限をなくす
  3. 長時間労働の規制、産休・育休・子育て・介護休暇などを必要に応じて取得できるなど、保護者が安心して就労・求職・介護・病気治療等を継続しながら育児ができる環境を早急に整える。同時に、子どもの健全な育成・成長支援のため保育・学童保育を整備する。病児保育や病後児保育、0歳児受け入れに関しては子どもの負担を最小にするよう配慮する
  4. 児童福祉施設での児童待遇を改善するとともに、施設退所後の支援策・制度を整備する
  5. 現金給付、現物給付を通じた家族政策全体の財政的な規模を増やし、子どもが育つ主たる場所として家庭への支援を拡充するとともに、社会全体で子育てを支える意識と体制をつくる
  6. 給食を子どもたちの心身の健全な発育や食育のためのものと位置づけて無償化を図り、食材の有機・無農薬・低農薬化と地域調達を進める

(3) 虐待や性被害、障がいを持つなど特別な支援を必要としている子どもたちに迅速かつ有効な対応ができる仕組みを強化する

  1. 子どもの社会的擁護について、施設養護から家庭的養護への転換に向けて制度を整える

(4) 教育の独立、教育制度の改革により、学校のみを教育の場としない多様な教育の場の確保、教育の無償化を図る

  1. 教育基本法を改正し、教育に行政が介入することを禁止し、教育の独立を実現する
  2. 教育制度を抜本的に改革し、現在の学校教育法に定められた学校のみを教育の場と限定せず、多様な教育の場を、経済的な負担なく選択できる新たな制度を創る
  3. 大学教育まで無償化し、私学も含む教育に関わる費用も無料化する
  4. 子どもを含む地域住民主体の学校運営を進め、コミュニティスクールの推進など多様で生きる力を育む教育を実現する

(5) 教育の場における政治教育・主権者教育を充実する

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【7】 基本的人権を保障し、多様なあり方を認め合う

(1) あらゆる差別を許さない法制度を確立する

  1. あらゆる差別を許さない包括的な差別禁止法を制定する

(2) 教育や社会における性的マイノリティへの理解と支援を進め、婚姻関係などにおける権利に性別を問わない仕組みを構築する

  1. 学校教育の中に性的マイノリティに関するカリキュラムを位置づける
  2. 異性間の婚姻関係に付与される権利と同等の権利を、性別を問わない事実婚の社会生活を営む個人に付与する制度を確立する

(3) さまざまな形態で就労している外国人を含め、全ての在住外国人の基本的人権を保護する

  1. 特別永住者のあらゆる権利を日本国民と対等とし、一般永住者の地方参政権や教育を受ける権利を保障する
  2. 外国人労働者の受け入れは使い捨て労働力の拡大につながらないよう慎重に対処し、外国人研修制度の見直しを図る
  3. 難民を積極的に受け入れ支援する

(4)「先住民族の権利に関する国連宣言」を踏まえ、アイヌ民族や琉球・沖縄の人々の人権や自己決定権を尊重する観点から関係法制度・施策を進める

  1. 「先住民族の権利に関する国連宣言」を踏まえ、アイヌ民族や琉球・沖縄の人々の人権や自己決定権を尊重する観点から関係法制度・施策を進める

(5) 包括的な地域生活支援のための総合福祉法を制定する。障がいの有無にかかわらず、「ともに学び、ともに暮らす」を実現するための制度・法改正を進める

  1. 障害者総合支援法については、「骨格提言」(※)が活かされるよう、見直しも含め、当事者の包括的な地域生活支援のための法制度を整備する。
    ※「障がい者制度改革推進会議・総合福祉部会」における当事者も含めた関係者の議論の集約での合意(2011年8月30日)
  2. 障がいの有無にかかわらず、「ともに学び、ともに暮らす」を実現するための制度・法改正を進める

(6) 部落差別の解消に向けた取り組みを強化する

  1. 部落差別解消推進法(2016.11成立)の理念の実現に向けた制度・施策の強化・充実を図る

(7) 被害者支援の強化・冤罪防止・死刑廃止など、警察行政・司法における基本的人権の徹底的な保障を実現する

  1. 参考人も含む取り調べの全過程可視化と、検察側が有する全証拠開示を義務化する。また、いわゆる「代用監獄」の廃止など、被疑者の人権を確立する
  2. 死刑制度を廃止する
  3. 罪を犯した人の再犯を防ぎ、円滑な社会復帰を支援するため,政府の矯正・保護部門と福祉部門とを連携させ,罪を犯した人の再就職,定住と生活保障などにつながる福祉的措置の内容を充実させる
  4. 刑事施設などからの社会復帰に向け、施設内における生活が一般社会に近いものとなるようにするための国連決議「拘禁者処遇最低基準規則」(通称「マンデラ・ルール)」に基づき、関連規則及び刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律を再改正する
  5. 犯罪被害者等補償法の制定による経済的支援の強化、性犯罪・性暴力被害者のための病院拠点型ワンストップ支援センターの設立など、犯罪被害者支援の救済制度を充実・強化する

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【8】 熟議と当事者主権にもとづく参加民主主義を実現する

(1) 地方分権・司法への市民参加・国政への直接参加を推進し、市民自治を実現する

  1. 国民投票は有権者の2%、住民投票は有権者の5%の請求で実施を義務づける
  2. 議員・⾸⻑等に関する被選挙権年齢を18歳まで引き下げる
  3. 市民自治の分権を促進するために、住民投票による基礎自治体の「分割」を認め、県・政府の承認制を廃止する
  4. 議会の住民説明会・公聴会を義務づけ、住民参加型予算に取り組む
  5. 行政訴訟の立証責任を行政側に負わせる
  6. 最高裁判官の国民審査を実効性のあるものに改正する
  7. 行政裁判において原告が希望すれば裁判員裁判を行なう
  8. 取り調べの全過程の可視化、拘置期間の短縮、代用監獄の廃止
  9. 刑事裁判における検察による控訴の禁止

(2) 市民自治の前提として行政情報の公開の徹底、熟議の促進を図る

  1. 政策決定過程にある情報や内部的覚書、電子情報まで含めた情報を公開し、第三者機関「情報公開庁」(仮称)を設置する。特定秘密保護法は廃止する
  2. 記者クラブ制度の廃止、インターネット規制の撤廃、企業のメディア広告費の制限
  3. 審議会への市民公募、クオータ制の義務づけにより公的熟議を促進する
  4. 「新しい公共」の担い手の一つであるNPO(NGO)への寄付を分権、市民参加型で充実させる

(3) 供託金の廃止あるいは縮小をはじめ、民意を反映できる選挙・政治制度の実現を図る

  1. 民意を平等に反映するために衆院小選挙区制を廃止し、全国単一でクオータ制の比例代表へ改革する。被選挙権を制限している世界一高い供託金は廃止する
  2. 企業団体献金を完全に廃止するとともに、政党助成金については総額を半減した上で、議席数配分の廃止、支給要件の緩和(議席の獲得が無くても比例区において一定以上の得票率で支給)、使途の適正化や内容の公開など、抜本的な制度改革を行う

(4) 政治的表現の自由を最大限に保障する

  1. 公職選挙法における政治・選挙活動の制限を見直し、政治・選挙表現の自由を拡大する
  2. 政治表現に対する警察の独善化を防ぎ、その中立性の確保や権力行使の厳格化を図るため、公安委員会の一層の民主化・透明化と警察監視機能強化などを含め、関連制度の改革・整備を図る

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【9】 戦争や暴力・差別のない平和な国際社会の実現に向けて積極的役割を果たす

(1) 憲法9条を堅持し、戦争責任問題の解決を図り、周辺諸国との信頼関係を構築しつつ国内的な軍縮を進め、北東アジアの平和と安定を実現する

  1. 憲法9条の堅持を国際社会に明言し、その理念を実現するために平和・外交政策の責任を政府の中に明確に位置付ける。安保関連法制は廃止し、既存の有事法制についても自衛隊員と国民の安全の観点で徹底的に見直す
  2. 戦争責任問題の解決を図りつつ、北東アジアにおける平和構築のための枠組みや政策を積極的に推進し、関係各国の相互理解と信頼を深める
  3. 徹底的な軍縮に向け自衛隊を削減し、防衛予算の大幅な縮減を図り、将来的に自衛隊は災害救助組織への改組をめざす
  4. 北東アジアの平和と安定を図りながら軍事同盟としての日米安保の解消と友好条約の締結をめざす
  5. 領有権係争地域などのエネルギーや資源の共同管理、多国間協力による環境保全をめざす
  6. 沖縄の米軍普天間基地の閉鎖と即時返還を求め、辺野古への移設・新基地建設はストップする。高江ヘリパッドは廃止し、自然環境の回復を図る

(2) 世界の平和と安定と非核化に向けた国際的な紛争解決・軍縮の枠組みの確立・強化を進め、世界的な経済格差や貧困問題の解決、人権の確立・保護などに向け、積極的な役割を担う

  1. 国連や国際機関の民主化に向けた働きかけを強化し、紛争解決・軍縮のための枠組みの確立と強化を進める
  2. 自由貿易の拡大と金融資本の暴走をコントロールするための国際的・国内的施策を展開する
  3. 国際協力に関わる政策については、相手先の地域や住民、市民・NGOの役割を重視し、公正性と透明性を確保して展開する
  4. 核兵器廃絶へ向け、国際的な議論や取り組みを積極的に先導する
  5. 平和を創り出す主体としての自治体や市民の役割を拡大する
  6. 多文化が共生し相互に理解する社会を創る

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