【声明】国際女性デーにあたり~政治・企業へのクォータ制導入により、ジェンダーギャップ解消を急げ~

【声明】国際女性デーにあたり
~政治・企業へのクォータ制導入により、ジェンダーギャップ解消を急げ~

2024年3月8日
緑の党グリーンズジャパン女性ネットワーク

 今日3月8日は女性の平等な政治・社会参加を喚起する「国際女性デー」です。1900年代初頭、女性の労働条件の改善を掲げたアメリカ・ニューヨークでのデモやストライキを起源としています。それから約120年が経った今も、日本をはじめ多くの国々で、女性の地位向上からはまだなお程遠い状況にあり、女性であるというだけで十分な教育が受けられず、結婚や出産などを自分で選択できないような地域もあります。そして今、ビルマ、アフガニスタン、ガザやウクライナなど、紛争や戦禍の下で命の危険に晒される女性が増えていることに、心が痛みます。

◆危機のもとで、女性が受ける被害が拡大

 戦争、気候災害、自然災害、コロナ禍、といった「危機」において、女性の受ける被害が拡大することを私たちは目の当たりにしました。能登半島地震被災地から報じられた性被害の背後に、声を上げることができない女性がいるのではと懸念します。

 コロナ禍においては、非正規雇用の割合が高かった女性の失業や、自殺率の増加といった問題が発生しました。また、新型コロナウイルスに感染した妊婦が出産する際、医療従事者への二次感染防止を理由に一律に帝王切開となる事例が多発し(※1)、今もゼロになっていません。この帝王切開は感染防止の観点からは逆効果で、世界保健機関(WHO)も推奨しないと2020年3月の段階で声明を出しました。このような過剰対策は、母子愛着形成の機会を奪い、出産当事者の自己決定権を侵害するものです。エビデンス基づかない介入は一刻も早く停止させ再発防止に向けた取り組みが必要です。

ジェンダーギャップ解消に効果的な「クォータ制」

 昨年6月、「同意なき性交渉は罪」とする刑法改正が実現しました。これは10年来、勇気ある被害者が声をあげ、MeToo運動やWithYou運動、フラワーデモへと発展し、法改正に至るまで社会の意識変革を続けた成果でした。この刑法改正後も、芸能界やスポーツ界での性加害について被害者からの告発が相次いでいます。女性差別をなくすには、市民運動による「意識改革」と「制度改革」を両輪で進めていくことが重要です。

 最新の2023ジェンダーギャップ指数において、146ヶ国中、日本は過去最低の125位でした。国会議員の女性割合の低さ、男女の賃金格差、女性経営者の割合の低さなどが要因です。

 国連が2030年までに意思決定の場に女性が50%入ることとする「2030/50」を提唱し(※2)、2020年時点で、女性の政治参画を進めるためのクォータ制(政治クォータ制)を導入している国が118カ国にのぼっているなかで、日本の取組は周回遅れの状況です(※3)。

 過去のジェンダーギャップ指数において、70位だったフランスでは、企業に対して一定比率以上を女性取締役とすることを義務付ける「取締役クォータ制」が導入され、女性役員比率が大幅に向上しました。このほか、ジェンダーギャップを解消するための政治や企業に向けたクォータ制度(※4)の成功事例が世界に多数存在しています。

 日本では、前出の女性の権利侵害に加え、女性候補者や政治家が有権者から受ける「票ハラスメント」、ネット利用時に性的いやがらせを受ける「オンラインハラスメント」、リモートワーク中に上司や同僚から受ける「リモートハラスメント」などの新たな問題も表面化しています。これらの山積するジェンダー問題解決には制度改正が必要ですが、その制度を改正する国会や議会に、実効性のある「クォータ制」を導入することが特に急がれます。このクォータ制導入によって、既に市民の多数が容認している「選択的夫婦別姓」や「同性婚」の実現可能性も高まるでしょう。

◆緑の党グリーンズジャパンのフェミニズム

 緑の党グリーンズジャパンは、前身団体から一貫して、共同代表や運営委員などの役員の半数以上を女性とするクォータ制を定め、実践してきました。2019年からは党内に女性ネットワークを立ち上げ、今年は、問題を抱えた当事者が集まり、相談し合い、支え合うことを目的とした、ピア・カウンセリングの試行を始めました。

 女性の地位の不当な低さ、そして女性の自己実現や社会参画への制約は、女性たちの本来の能力を摘み取ることを意味します。そして、これらは女性たちの人権問題であるばかりでなく、多様性豊かな社会の発展を妨げることにもつながります。

 国連女性機関(UN Women)は、今年の国際女性デーにあたって、「女性に投資を。さらに進展させよう。」#InvestInWomenを掲げ、取るべき行動として、①女性への投資:人権の問題 ②貧困への終止符 ③ジェンダーを配慮した資金調達④環境に優しく、思いやりのある経済への転換 ⑤社会変革を起こすフェミニストへの支援(※5) を呼びかけています。

 私たち女性ネットワークも、この呼びかけに賛同するとともに、これからも、世界の緑の党の女性ネットワークや、ジェンダー平等に取り組む市民と連携し、女性差別のない公正で豊かな世界をめざしていきます。

※注 

(※1)出産直前にコロナ感染、まさかの帝王切開に!世界で突出する日本のお産「過剰対策」 「理想」とはほど遠い出産を余儀なくされたある女性の悲哀
https://news.yahoo.co.jp/articles/12985d4239a78daba3dade80f99d5c12e8213198?page=2

(※2)世界は2030/50へ
https://greens.gr.jp/uploads/2024/03/iwd2020_020.pdf

(※3)クォータ制とは・意味
https://ideasforgood.jp/glossary/quota-system/

(※4)クオータ制とは?メリット・デメリットや世界の取り組みについて解説
https://say-g.com/quota-system-7032

(※5)女性に投資を。さらに進展させよう。Invest in women: Accelerate progress
https://www.unwomen.org/en/news-stories/announcement/2023/12/international-womens-day-2024-invest-in-women-accelerate-progress


PDFファイル:https://greens.gr.jp/uploads/2024/03/8273ed9a6d57fa75c284559275c75aae.pdf

International Women’s Day 2024: ‘Invest in women: Accelerate progress’   | UN Women – Headquarters

In a world facing multiple crises that are putting immense pressure on communities, achieving gender equality is more vital than ever. Ensuring women’s and gir…