【声明】「放射線防護施設」6か所が損傷-あらためて明らかになった原子力災害対策の破綻
【声明】「放射線防護施設」6か所が損傷-あらためて明らかになった原子力災害対策の破綻
2024年3月4日
緑の党グリーンズジャパン運営委員会
去る2月21日、北陸電力志賀原発(停止中、石川県志賀町)UPZ(30キロ圏)にあり、事故時に高齢者らが一時避難する21の放射線防護施設のうち、能登半島地震で6施設に損傷や異常が起きたことが明らかになりました。うち2施設は使えずに閉鎖し、病院など別の2施設は患者さんを移さざるを得ませんでした。閉鎖した一つは被ばくを防ぐ機能を維持できず、残る5施設も地震後長期間、機能の確認ができませんでした。
今回の地震による多くの家屋の倒壊で、原子力規制庁が示す「UPZ内の『屋内退避』」の方針の非現実性に批判が高まったことを受け、規制庁側は「木造家屋が倒壊したら放射線防護施設へ」としていましたが、今回判明した事実は、この方針すら現実性がないことを明確にしました。
内閣府によると、全国の原発周辺には計約300の防護施設がありますが、他の施設も地震時には同様に、放射線から住民を守るという機能を果たせないおそれがあります。また、道路の寸断や家屋の倒壊という物理的被害に加え、立地地域の地形にも大きな課題があります。今回問題となった志賀原発は半島に位置し、そもそも避難が困難でした。福井県の他の原発でも、避難経路が東西方向にわずかな数しかなく、事故時には同じように被害に遭っているであろう他の原発の方向に向かって避難しなければならないという矛盾に直面することになります。愛媛県の伊方原発は、能登半島以上に避難が困難な細長い半島に立地しています。
すでに繰り返し指摘するように、地震列島日本の原発は、その運転に大きなリスクをはらむだけでなく、原子力災害対策や避難計画の実効性など全くないことが、事実をもって明らかになっています。
東京電力福島第一原発事故の教訓を受けて10年前に福井地方裁判所が大飯原発の差し止めを命じた歴史的判決以来、多くの司法判断が原発の安全性に警鐘を鳴らし続けてきました。これらの警鐘が正しかったことは、今回の能登半島地震であらためて明らかとなりました。
かつて能登半島先端に計画された珠洲原発は、周辺住民の粘り強い取り組みによって撤回に追い込まれました。その建設予定地は、まさに今回の地震の震央付近でしたが、周辺地域では4mもの地盤隆起も観察されています。志賀原発は、「3.11」後にまがりなりにも強化された新規制基準の下で、敷地内の断層の活動性の評価をめぐり長期化した審査を経て、敷地周辺の活断層の審査を進める矢先に大地震が起きました。この大規模な地震が「3.11」原発事故の再現とならなかったのは、市民の努力、多くの犠牲、そして偶然の積み重ねであることを深く受け止め、政府はただちに原発推進政策から撤退すべきです。
私たち緑の党グリーンズジャパンは、多くの市民や立憲野党と共に、原発の速やかな廃炉を求め、原発に依存しない自然のリズムを生かした地域経済の構築に尽力していきます。
PDFファイル:https://greens.gr.jp/uploads/2024/03/seimei_shiga0304.pdf