【報告】グリーンズカフェ:「引き裂かれた『絆』―環境省との攻防1000日」出版記念トーク
出版記念トーク 青木泰さん(環境ジャーナリスト)
未明に安保法案の採決が強行された9月19日、緑の党東京都本部と社会運動部共催のグリーンズカフェを開催しました。長年にわたるごみ問題、そして震災がれきの広域化処理問題に取り組んできた青木さんから、その背景や顛末に加え、市民が国や行政とどう闘うのかなど示唆に富んだお話を伺うことができました。
【ツイキャス録画】(YouTubeも準備中)
http://twitcasting.tv/midorino_to/movie/201937261
http://twitcasting.tv/midorino_to/movie/201942334
http://twitcasting.tv/midorino_to/movie/201958979
【報告】当日資料と報告メモはこちら(PDF)
日 時 9月19日(土) 開場13:30 14:00〜16:00
場 所 緑の党グリーンズジャパン事務所
(JR高円寺駅北口1分)地図
参加費 500円
定 員 20名
共 催 緑の党東京都本部&緑の党社会運動部
FBイベントページ
「引き裂かれた『絆』
―がれきトリック、環境省との攻防1000日」
鹿砦社 ☆定価1300円+税
著者の環境ジャーナリスト青木泰さんにお話を聞きます。
この本は、2011年3月11日に起きた「東京電力福島第一原発事故」以降、放射性物質の付着した災害がれきの「広域処理」に反対する市民と共に、環境省交渉の市民側の論陣として活動された、青木さんの1000日間の攻防の記録です。
環境省が被災地のがれきの受け入れを、「絆」をキーワードに大々的にPRして全国に呼びかけたものですが、計画したほどがれきの量がなかったため、予定を大幅に繰り上げて終了したことは、周知の通りです。また、その復興予算が実際にはがれきの処理に使われることなく、およそ1兆円もが他の目的に流用された事実も報道でご存知と思います。この4年間に一体何があったのでしょう。各地の情報をバラバラに見てきた私たちはなかなか全貌が掴めません。すべての現場で取材し、交渉に参加して実録してきた記録を、一冊の本にまとめられた青木さんに、その概要と今後の取り組みなど、伺います。ぜひご参加ください。
<青木泰さんより>
3月11日で、東日本大震災ー原発事故後、4年になります。どの大手メディアも一斉に、被災地に目を向け、被災地の復興の遅れ、被災者の生活や、避難者の存在を伝えます。
しかし震災復興が遅れている大きな理由として、震災復興予算が、官僚機構によって利権流用されている事実については、報道されていません。
なぜ復興が遅れているのか。今も汚染水を垂れ流す政府の対応に、メディアとしての独自の見解や調査報道で、行政を監視するのは、東京新聞「こちら特報」や一部の地方紙ぐらいです。
大手メディアが、権力の監視を怠り、行政が垂れ流す記事やスケジュール化された行事を配信するだけに終わっていれば、社会が間違った道に進んでゆくのは、先の大戦で、日本は体験済みです。 今必要なのは、事実を報告し、巨悪のたくらみを皆さんにお伝えし、それを阻止する道をわれわれ自身が考え始めることです。
そこで私は、闇と光(=希望)の事実を報告するためにこの本を書きました。
闇は、日本の政府-官僚機構が腐敗の極に来ている事実。
光は、しかし、市民が連携し、インターネットメディアを駆使して活動すれば、どんな困難な状況も打開することができる事実。
政府は、絆キャンペーンの下、がれきの広域化処理を掲げ、被災地の復興のためには全国の市町村でがれきを受け入れることが不可欠と訴えました。大手メディア各紙には、2面全面を使った政府広報が掲載されました。
しかし400万トンの広域処理が必要と訴えていたのが、わずか4%の18万トンで終わり、実質破綻したことは報道されていません。しかも計画の裏づけになっていた巨額の予算がどこに消えたのかは、闇の中でした。
事実は、巨額の予算は、各省庁の利権に流用化されていたのです。
しかも官僚たちは、全国民が被災地の不幸に涙し、応援に駆けつけ、寄付を提供し、TVではCM規制していたときから、復興資金を流用することを考えていました。それは決して許せることではありません。
このような官僚ー官僚機構を次世代に引き渡すことは、百害あって一利無しです。
この本を出版するに当たって、一番苦労したのは、多くの人に読んでいただけるように、できるだけわかりやすくということでした。
この本のご活用とご意見をいただければ幸いです。
青木 泰
<寄せられたメッセージ>
「絆キャンペーン」の名の下に行われた、「がれき広域処理」という復興予算流用に敢然と立ち向かった市民たち。安倍政権下、政府によるこの「犯罪」は現在進行中である―。 岩上安身(ジャーナリスト)
原発事故後、私がやりたいことは、子どもたちの被曝を総体として減らすことだけで、がれきの広域焼却処理も条件さえ満たせば、認めてよいと発言してきた。ただし、その裏には復興資金流用問題があったとの青木さんの指摘は重要な問題だと思う。 小出裕章(京都大学原子炉実験所助教)
被曝を回避したい人々と、本当に手を携えたのは、廃棄物問題で戦っていた方達という驚き。市民が国や自治体と戦い、一定程度の成果(各地で拡散処理を止め る)を収めた、市民運動としては果実を勝ち得た貴重な報告。国や現政権の横暴の嵐が吹き止まない中で、今後の日本を変革する可能性の種が、この本に確実に 存在すると思います。 木下黄太(放射能防御プロジェクト)
内部被曝を防ぐには、汚染地域から移住する権利が不可欠だ。ところが、中央政府と官僚は、自らの利権のために1兆円以上の税を投入し、汚染物質を全国の自 治体に移送・拡散する政策を選んだ。この巨悪にメスを入れ、ガレキ広域処理を止めた市民と密着した本書は、原発問題を論ずる上で必読だ。 松井英介(岐阜環境医学研究所所長)
全国各地に呼びかけられた震災がれきの受け入れ。住民と協力して広域化の阻止に走り、復興予算流用のカラクリを暴いた攻防の記録が一冊にまとまった。 まさのあつこ(ジャーナリスト)