【世界のみどり】ハインリッヒ・ベル財団アジア局メンバーと会談

ハインリッヒ・ベル財団アジア局メンバーと会談

緑の党共同代表 長谷川平和

12月11日(木)、緑の党グリ-ンズジャパン(以下、緑の党)は、ドイツで緑の党を支えるシンクタンク、ハインリッヒ・ベル財団(以下、ベル財団)アジア局長のカトリン・メーヤーさん、同じくアジア局のクレメンス・クンツェさんと会談しました。緑の党からは、長谷川平和(共同代表)他、2名が参加。緑の党とベル財団は、はじめての国政挑戦をひかえた2013年4月、同財団評議会委員のミヒャエレ・シュレーヤーが来日し、伊勢と京都でシンポジウムを行っています。

ナチス時代の反省から、戦後ドイツでは大人に対する政治教育・民主主義教育を徹底しておこないました。このような背景から、ドイツ連邦議会に議席をもつ各政党には、国の補助金を使って政党シンクタンク(財団)をそれぞれ一つ設立・運営されることになり、政治教育の役割も担ってきました。ただし、政党シンクタンクは政党の活動からは独立した存在であり、一切の選挙活動は認められていません。また、連邦議会の議席を失うとシンクタンクの存在を裏付ける枠組みがなくなってしまうことから、前回の連邦議会選挙で議席を失ったドイツの自由民主党のシンクタンクである“自由のためのフリードリヒ-ノイマン財団”は現在存亡の危機に立たされています。ドイツの政党シンクタンクは以下の通りです。

コンラート・アデナウアー財団 (ドイツキリスト教民主同盟/CDU)
フリードリヒ・エーベルト財団(ドイツ社会民主党/SPD)
自由のためのフリードリヒ-ノイマン財団(自由民主党/FDP)
ハインリッヒ・ベル財団(同盟90/緑の党/Grüne)
ハンス-ザイデル財団(キリスト教社会同盟/CSU)
ロザ-ルクセンブルク財団(左翼党/ Linke)

 

政党シンクタンクと予算配分(2014年)thinktank

緑の党の政党シンクタンクであるベル財団は、ノーベル文学賞受賞者であるハインリヒ・ベル氏から名前をとっています。日本版ベル財団を設立すべきという声もありますが、緑の党のシンクタンク設立は苦労の連続であったと当時を知るメーヤーさんは話してくれました。

1980年に結成されたドイツ緑の党は、1983年3月6日に行われた連邦議会選挙によって、はじめて議会に議員を送り込むことに成功します。連邦議会に議席がある政党になったということで、シンクタンク設立が議論されはじめますが、すでに州レベルで様々な“緑的”組織(運動体)が存在し、政府の補助金配分の問題もあって、調整に苦労したそうです。

 シンクタンクの母体となったのは3つの組織団体。まず、8つの活動団体を統合して設立された「色鉛筆(クレヨン)協会」、女性運動に取り組んでいる団体(女性運動団体)、そして平和運動などを行っていた2つの組織が統合して旧ハインリヒ・ベル財団が設立されました。更に、これら3つの統括団体として財団協会「虹」が1988年に設立され、緑の党のシンクタンクとしての活動がスタートしました。現在のハインリッヒ・ベル財団として統合されたのは1997年になってのことです。

 
ベル財団の歴史Bell foundation

 

ベル財団の取り組む政策的課題は多岐にわたり、「民主主義」、「教育と文化」、「エコロジー」、「経済と社会」、そして「国際政策」などが主なテーマです。環境政党としてスタートし、今や政権も担うようになったドイツ緑の党を、国際的な情報収集もしながら様々な分野の政策立案をサポートしています。すでに世界30カ所に拠点をもち、60以上の国際プロジェクトに携わっています。アジア地域においては、人権問題・平和運動・非核武装などが主要なテーマになっており、すでに中国、カンボジア、タイ、インド、パキスタン、アフガニスタンなどに同財団の事務所があります。日本には、残念ながらまだ事務所はありませんが、同財団が行っている他のアジア地域での活動も含め、連携できるポテンシャルは大きく、今後も情報交換などを行いながらお互いの協力関係を深めていきます。

photo_members of Bell foundation