【見解】 国家安全保障会議(日本版NSC)は市民社会を危険に導く
【見解】国家安全保障会議(日本版NSC)は市民社会を危険に導く
-必要なのは、国際的な信頼醸成と社会の透明化-
2013年12月3日 緑の党 運営委員会
去る11月28日、国家安全保障基本法(日本版NSC法)が成立しました。これは11月26日に衆院を通過した「特定秘密保護法案」と一体のもので、日本の「外交や安全保障の意思決定の迅速化」を目的に、アメリカの国家安全保障会議(略称NSC)を参考にしたもので、明日(12月4日)に国家安全保障会議を発足させるとされています。
私たちは、この日本版NSC法や特定秘密保護法案の背景となる構想には大きな問題があると考えます。
これらの法律・法案の構想の前提とされているのは、中国・韓国・北朝鮮の「脅威の深刻化」というものです。しかし、東アジア地域の緊張は、周辺諸国によってのみもたらされたものではなく、日本の外交姿勢や対外政策との相互関係の中で深刻化してきたものです。その認識を欠如したまま軍事的な観点を主眼として「安全保障」を強化するのは、緊張関係を高め、この地域をさらに不安定化させていくことにつながります。
また、少数の「国家安全保障会議」メンバーに情報と権限が集中し、「有事」のみならず平時からも一部の政治家や官僚の意思によって安全保障戦略が左右されることは、民主主義や平和主義の観点からきわめて重大な問題です。安倍政権が手本としたアメリカのNSCは、実在しない「大量破壊兵器の脅威」を宣伝し、それを理由として強行されたイラク戦争では、罪の無い多くの人々の命が奪われました。日本版NSC法と特定秘密保護法による「安全保障」の密室性の強化が、市民を真実から遠ざけ、事実に近づこうとする人々を物理的・心理的に抑圧し、世論を歪め、国を誤った判断に導くことは、このアメリカの事実からも明白です。しかも、こうした秘密性の高い機関の暴走は、米NSCが外国政府の要人などへの盗聴を行なった疑いも指摘されていることから明らかなように、諸外国との信頼関係を崩してしまう危険性さえあるのです。
有事や緊張関係を過剰に喧伝して制定されるこれらの法制度が、人々の真の安全や平和につながらないことは、日本の歴史を見ても、諸外国の経験や事実からも明らかです。
私たち緑の党は、市民社会を危険に導くNSC法や秘密保護法案に強く抗議・反対するとともに、環境・資源の共同保全や公正な経済関係を基礎にした近隣諸国との信頼醸成、情報公開を通じた社会の透明化こそ、市民が平和で安全に暮らすことを保障するために必要であると考えます。
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