【談話】「1票の格差」問題-本当に必要な課題は何か?

【談話】 「1票の格差」問題-本当に必要な課題は何か?
民意を歪める小選挙区制度と高額な供託金制度の廃止、比例中心の選挙制度へ

 2013年3月29日 中山均(緑の党・共同代表)

   いわゆる「1票の格差」をめぐり、違憲判決が相次いでいます。広島高裁は判決文で「民主的政治過程のゆがみは重大」「最高裁判所の違憲審査権も軽視されている」「許されるべきではない」と断じています。
   しかし、「民主的政治過程のゆがみは重大」と言うならば、たった1名の議員を地域の代表として選出し、大政党が得票率をはるかに上回る割合の議席数を獲得する小選挙区制度こそ、その重大で深刻な「ゆがみ」が指摘されなければなりません。そして小選挙区制度は、人口の増減によってその都度定数の割り当てや区割りの見直しが避けられず、「0増5減」案はそうした見直しと党利党略の妥協の産物であり、小手先の調整に過ぎません。   一方、比例制度ならば得票率に応じて議席が配分され、基本的に「1票の格差」は生じません。「1票の格差」をめぐる訴訟や報道機関の議論は、民意を歪める小選挙区制度の欠陥を見過ごし、比例制度の優位性も無視しています。国会での比例部分の定数削減議論も、民意と国会との乖離を一層拡大するものです。

  また、国会議員選挙への立候補に数百万円もかかる供託金制度も「民主政治をゆがめる」重大な要因のひとつです。諸外国と比べて極めて特異なこの制度は、富裕層や組織基盤を持った者以外の民主的権利を事実上剥奪しているに等しいものと言えます。  私たちは、「1票の格差」論や「区割り・定数の見直し」ばかりに終始する議論とは一線を画し、小選挙区制度の廃止、国や地方の選挙制度を比例制度中心に抜本的に改正すること、供託金制度の大幅改革・廃止こそ、日本の選挙制度と「民主的政治過程のゆがみ」を是正するための最優先課題であると考えます。
   「緑の党」の本年7月の参院選への取り組みは、私たち市民自身が主権者のひとりひとりとして、この歪んだ選挙制度を大きく変え、政治の舞台に登場する挑戦でもあります。一緒に新しい未来を創りましょう。

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