【見解】総選挙結果を受けて-市民自身の手で政治を切り拓こう

【見解】総選挙結果を受けて-市民自身の手で政治を切り拓こう

2012年12月20日 緑の党運営委員会

 第46回衆議院選挙は「自民圧勝」の形で終わりました。しかし、「圧勝」した自民党の比例獲得議席は、政権から転落した2009年時の議席と大差なく(註1)、小選挙区・比例区の得票数ともに前回を下回り(註2)、政党としての支持はむしろ低下しています。今回の結果は、投票率の低さも含め、有権者の消極的選択の結果です。多様な民意を反映できない小選挙区制度も、この歪んだ結果を生み出した大きな要因のひとつです。国の巨額の借金や原発事故など、民主党が背負った負の遺産は、自民党が作りだしてきたものであったことも軽視されるべきではありません。

 しかしそれらの背景はどうあれ、2009年の政権交代で広がったかに見えた民主的な政治空間は、民主党自身の混迷とその結果としての政権再交代によって極端に狭まってしまいました。原発再稼働や改憲・安保外交問題、大型公共事業の再開など、警戒すべき多くの課題を私たちは目の前にしています。

 今回は昨年の「3.11」以降初の総選挙であり、原発推進の是非をはじめ、日本社会のあり方を問うはずのものでした。しかし、有権者は既成政党の政局争いや選挙目当ての離合集散劇に辟易し、政治そのものへの不信を増大させ、多くの人々が投票を放棄して、政策課題の争点を問うような選挙とはなりませんでした。被災者の生活再建も、沖縄の基地問題も、ワーキングプアなどの問題も、放置されたままです。私たちは、脱原発を目指す広い枠組みで東京比例ブロックなどに挑戦することを追求してきましたが、実現させることができませんでした。私たちが推薦・応援した多くの候補も当選に至らず(註3)、私たちの準備と力量の不足も重く受け止めなければなりません。

 こうした中で、新党「今はひとり」を立ち上げ、東京8区で公示直前に立候補表明し、脱原発や反TPP・反消費税・反改憲などを掲げて石原伸晃氏に挑んだ山本太郎さんは、知名度だけではなく、その純粋で真っ直ぐな訴えによって多くの有権者の心を打ち、25%もの得票率を得ました。この訴えに共鳴し、多くの市民がボランティアとして参加し、生き生きと感動的な選挙戦をたたかい抜き、緑の党も事務所を提供するなど全面的に支援しました。今回の衆院選全体の暗雲のような状況の中で、ここには、私たちの未来の大きな希望のひとつがあると言っても過言ではありません。

 これらの結果から、私たちは、選挙目当ての離合集散と政局に明け暮れる既成の政党や政治家に頼るのではなく、市民自身の手による政治勢力を立ち上げ、市民自身が政治を切り拓いていくことが、困難ではあってもいかに重要で必要であるか、あらためて確信するものです。

 来年夏の参院選まで時間はありません。原発の是非の議論のその先にある、私たちが目指すべき社会-質素でも心豊かに暮らせる社会に向けたビジョンとそのための政策を、ストレートに、熱く市民に訴え続けることが必要です。私たちは、仲間を増やし、日本で初めての、そして複数の「緑の党」の議席を国会の中に実現させるために、全力で取り組んでいくことを決意します。

 


1:比例区獲得議席は55(2009年)→57(2012年)でわずか2議席の増。
2:小選挙区は2729万票(2009年)→2564万票(2012年)で165万票の減、比例区は1881万票(2009年)→1662万票(2012年)で219万票の減。
3:神奈川 阿部とも子さん(未来)が重複立候補で比例当選し、それ以外の推薦候補は当選に至らず。