【声明】国内に混乱をもたらす汚染土再利用の再考を求めます

【声明】国内に混乱をもたらす汚染土再利用の再考を求めます

2025年4月14日
緑の党グリーンズジャパン運営委員会

環境省は、福島第一原発事故後の除染で発生した放射性物質を含む汚染土を全国の公共事業などで「再利用」を進めています。

福島県内の除染で発生した汚染土は、約1400万㎥と推定され東京ドーム11杯分におよびます。現在、この土は福島県双葉町・大熊町にまたがって建設された中間貯蔵施設に運び込まれていますが、国は、福島県との約束として2045年までに県外最終処分することを法律に盛り込んでいます。最終処分が必要な量を減らすために8,000ベクレル/kg以下のものを道路・鉄道・緑地・防災林、防潮堤、農地などに「再利用」すると説明しています。

放射能汚染物は、「拡散しない」「集中管理」が原則であるにもかかわらず、これを拡散するのはそれに反します。原子炉等規制法に基づく「廃棄物を安全に再利用できる基準」は放射性セシウムについて 100Bq/kg 以下と定められており、少なくとも100超8,000 Bq/kg以下は、本来低レベル放射性廃棄物として扱われるべきです。

今回の環境省の方針は、「3.11」事故以来、事故前の放射線防護規制を場当たり的な形で継ぎはぎのように発せられた「特措法」や「通知」によって緩和してきた基準を、さらに桁違いに緩めるものです。

この「再利用」では、管理・責任主体が不明、利用場所などの用途について制限がない、管理の終了時期が定まっていないなど、規制の実効性や管理体制が不明瞭です。この施策は、汚染物質の拡散・利用でしかなく、もはや「規制」と呼べるものではありません。

汚染土の運搬や作業中に放射能を空中に拡散させ、作業従事者などの被ばくも懸念されます。「再利用」される汚染土が持ち込まれる地域の住民理解を得るための公聴会や説明会も行なっておらず、このまま進めれば、国内に混乱と対立をもたらします。

さらに、この方針は、現在福島県周辺の都県等で管理されている浄水場等の汚泥の取り扱いの管理基準の緩和へとつながるおそれがあることにも留意しなければなりません。

緑の党グリーンズジャパンは、放射能汚染土再利用について再考を求めます。国の「30年以内に汚染土を県外に運び出す」施策には何ら見通しがなかったことを真摯に反省し、責任をもって地元理解が得られる方法を再度検討すべきだと考えます。

全文→https://greens.gr.jp/uploads/2025/04/seimei_osendo.pdf