【談話】COP29合意-途上国への気候支援資金は極めて不十分。日本政府は責任を果たせる金額の支援を
【談話】COP29合意-途上国への気候支援資金は極めて不十分
日本政府は責任を果たせる金額の支援を
2024年11月28日
緑の党グリーンズジャパン
共同代表 中山均 漢人あきこ
尾形慶子 八木聡
COP29の最大の焦点は途上国への気候支援の資金を確保することでした。現在の資金額は1000億ドルでしたが、CO2排出量の少ない途上国の被害の拡大に対する責任は先進国にあるとの認識のもとに、その額の拡大が求められていたものです。途上国は年間1兆ドルの支援を要求しましたが、合意は「2035年までに3000億ドルへ」という極めて不十分なもので、途上国が強い不満の意志を表明する結果となりました。しかし、世界では各国の化石燃料への補助金の総額が1兆ドルを超えており、昨年のCOPの合意「化石燃料からの脱却」を踏まえれば、途上国の要求に応える十分な財源はあるはずです。
途上国が先進国に求める1兆ドルは円換算で約150兆円、合意された3000億ドルは約45兆円です。日本のGDPが先進国の約1割であることや過去の実績に基づけば、4.5~15兆円が求められています。これは、たとえば消費税で見れば全体の1.6~5.3%に相当する額となります。日本が国際的な責任を果たし、本気で途上国支援に取り組む意思があるのかどうかが問われています。
ところが、10月の総選挙で気候資金支援の政策を提言した政党はありませんでした。政府も与野党も、問題意識は極めて低いと言わざるを得ません。
イギリス緑の党は、今年7月の総選挙で、2033年までに年間で10兆円の気候支援資金を公約に掲げて躍進しました。日本でも、途上国への気候資金の拡充を掲げる政党の躍進が求められています。緑の党グリーンズジャパンの役割と責任は極めて重いと受け止めなければなりません。
他方で、来年2月までに提出が義務付けられている2035年の削減目標については、イギリスが81%(1990年比)という意欲的な引き上げを表明した以外は、大きな前進はありませんでした。COPからの脱退を主張するトランプ氏の大統領選の勝利が影響していると指摘されています。
日本政府はCOP29の終了を待って、2035年の削減目標を60%(2013年比)と極めて低い数値で済ませようとしています。IPCCやIEAの提言では、少なくとも2013年比で66%、先進国の責任としては85%削減(2013年比)が求められることになります。だからこそ私たちは、今年5月、政府に対し「85%削減」を申し入れています。 第7次エネルギー基本計画の議論が最終段階を迎え、原案公表とパブコメが年内にも始まろうとしています。緑の党は、1.5℃目標に整合するCO2削減目標の引き上げ、そして途上国への気候資金支援の責任を果たすことを、政府と国会、そしてすべての政党に強く求めます。
全文(PDF)→ https://greens.gr.jp/uploads/2024/11/danwa_COP29.pdf