【声明】脱炭素に逆行するガソリン補助金の継続に反対します

【声明】脱炭素に逆行するガソリン補助金の継続に反対します

2024年6月1日
緑の党グリーンズジャパン運営委員会

ガソリン補助金について、政府は3月末に「一定期間延長」すると発表し、現在、その延長期間や打ち切り時期は示されていません。電気・ガスの補助金は5月末に終了することとなっており、2022年1月から開始されたガソリン補助金は、2年3カ月を超えました。

 利用者の負担を考えれば、激変緩和策としての一時的な補助金は必要です。しかし脱炭素対策に反するガソリン価格抑制の補助金は、即座にやめるべきです。EU諸国でも補助は行なわれましたが、それは文字通り一時的な「激変緩和策」でした(※1)。現在行われているのは元売り業者への補助であり、富裕層にも恩恵が行き渡るので、本当に必要としている低所得者(エネルギー貧困層)への支援としては限界があります。

 そもそも、2022年の日本のガソリン価格は、OECD35ヶ国中、アメリカに次いで2番目に低く、ガソリンの税負担額も8番目に低い率となっています(※2)。しかも、ドイツでは日本よりガソリン価格が高いにも関わらず、ガソリン税を漸進的に引き上げることが決まっています。CO2削減対策のためです。

ところが、残念なことに、野党も元売り業者への補助に対しては批判的ですが、補助金支出自体には賛成の立場をとっています。さらに「トリガー条項の発動」や「ガソリン税ゼロ」など、気候危機対策よりもポピュリズム的なバラマキ政策を主張しています。

また、炭素税についても、政府は導入を先送りし、その価格も低く抑えようとしています。IEAは「1.5℃目標のためには2030年に2万円/トンが先進国には求められる」と提言していますが、政府の方針は「現在の289円/トンを2030年に1500円に引き上げ」にとどまっています。これは本来求められている水準の10分の1以下です。

野党も、炭素税に触れないか、炭素税の必要性について述べても、時期と価格は棚上げしています(※3)。「地球沸騰化」と指摘され、気候崩壊のティッピングポイントが間近であるにもかかわらず、政府の「成長に資するカーボンプライシング」-すなわちグリーン成長戦略(気候危機対策よりも成長優先)の枠組みを共有してしまっているのです。

 深刻な気候危機に対処するためには、経済成長よりも気候対策を優先し、脱成長の選択肢をも組み込む必要があります。対策の先送りは、人類の暮らしや命の基盤を不安定化させ、結局のところ経済損失を拡大させることになります。政府は、ガソリンを含む化石燃料への直接・間接的な補助金を取りやめ、早期かつ十分に炭素税を引き上げ、これらの財源を気候危機対策に振り向け、特に積極的なエネルギー貧困対策も打ち出すべきです。

※註
1:ドイツは3カ月、フランスとイタリアが9カ月、長くてもイギリスが1年などとなっています。
2:財務省資料 OECD加盟国(38ヵ国)におけるガソリン1ℓ当たりの価格と税の比較 
https://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/consumption/133.pdf
3:たとえば立憲民主党は「気候危機対策を推進するためのカーボンプライシング・炭素税のあり方について税制全体の見直しの中で検討」という立場にとどまっている。

PDFファイル:https://greens.gr.jp/uploads/2024/06/seimei_gass.pdf