【談話】能登半島地震から間もなく3週間-脆弱な災害対策と原発の危険性あらためて明らかに-

【談話】能登半島地震から間もなく3週間
-脆弱な災害対策と原発の危険性あらためて明らかに-

2024年1月19日
緑の党グリーンズジャパン共同代表
尾形慶子   中山 均
松本なみほ   橋本久雄

最大震度7を記録した能登半島地震から間もなく3週間となります。
亡くなられた皆様、被災されたすべての皆様にお悔やみとお見舞いを申し上げます。
被害状況の全容が少しずつ明らかになるにつれ、被害の甚大さと課題も露わになってきています。

■深刻な被害と脆弱な災害対策
地震による道路の寸断は、物資や人の往来を制限し、特に「奥能登」と言われる半島先端の被災地への支援をきわめて困難にし、一部の集落を孤立させました。周辺地域からの代替ルートによる支援を期待できないという意味で、これまでの大規模地震と比べても特有の課題です。そのような中で、懸命に支援活動に従事する行政機関や医療関係者、民間団体の皆さんの努力に敬意を表します。

しかし被災地では、避難所の衛生環境も悪化し、厳冬期で深刻な避難生活が続き、避難所に求められる国際基準(スフィア基準)も満たしていない日本の災害対策の脆弱さが露呈しています。軍事費に巨額の予算を費やし、何百キロも離れた「敵基地」を攻撃しようとさえする国が、被災地の人びとを速やかに救えない現実に、理不尽な思いを禁じ得ません。また、このような危機的状況のさなかに、沖縄では莫大な経費をかけて辺野古基地建設のための石材が搬入され、政府の「代執行」による埋め立て工事が強行されたことにも、強い憤りを感じます。

被災地では、他の自治体などへの二次避難も徐々に進んでいますが、民間賃貸住宅の借り上げ支援なども含め、衛生やプライバシーの保てる空間での生活が一刻も早く可能になるよう、迅速な対策が必要です。そして今後の生活再建や地域の復旧・復興に向け、適切で息の長い支援が求められます。

■原発の維持・推進という選択肢はありえない
震源地に近い志賀原発は停止中でしたが、3メートルの津波が襲来し、変圧器が一部破損、核燃料プールで溢水がありました。能登半島周辺ではこの3年ほど群発地震が続き、大規模地震の可能性は以前から指摘されており、地震の規模や運転状況等によっては「3.11」原発事故の再現にもなりかねませんでした。今回の地震は複数の断層の連動によるものと見られていますが、北陸電力や規制委員会の想定を超えるものでした。志賀町は震度7を記録し、本来は原子力防災計画に基づき「警戒態勢」を取るべき事態でしたが、実際には不可能でした。多くの家屋が倒壊する中、事故時にはUPZ圏で「屋内退避」するという規制委員会の方針も現実から乖離していることも明確になりました。道路の寸断に加え、積雪時には避難そのものがさらに困難となります。あらゆる意味で原子力防災計画が「机上の空論」であったことが、今回の事態で一層明らかになりました。

13年前の「3.11」と今回の地震は、日本での原発の維持や推進とがいかに危険で破滅的な危機をもたらしうるか、あらためて明らかにしています。現在稼働している9機の原発を即時停止し、2度目の原発事故を回避するべきです。

私たちは政府に対し、被災地の救援・復旧・復興に力を尽くすとともに、原発推進政策から直ちに撤退し、再生可能エネルギーへ転換をすみやかに実現することを強く求めます。

全文(PDF)→ https://greens.gr.jp/uploads/2024/01/danwa_noto.pdf