【声明】福島第一原発事故の処理汚染水の海洋放出に抗議します

【声明】福島第一原発事故の処理汚染水の海洋放出に抗議します

2023年8月23日

緑の党グリーンズジャパン運営委員会

8月22日、日本政府は関係閣僚会議でALPS汚染水を24日にも海洋放出を開始すると決定しました。地元および全国の漁業関係者が放出に強く反対し、福島県内外の多くの自治体も反対や懸念も表明し(※1)、国内外の多くの市民が不安視する中、「漁業者など関係者の理解なしにはいかなる処分も行わない」とする約束を自ら破るものです。私たちは、政府の一方的な「理解の押しつけ」に終始する非民主的な決定を強く非難します。

政府の説明や報道では「処理水に含まれるトリチウム濃度」ばかりが論じられますが、多くの市民団体や私たちも指摘(※2)するように、ALPS 処理ではトリチウム以外の放射性核種も取り除けておらず、海外で事故後の燃料デブリに直接触れた水を放出している例はありません。報道がこれらの点を無視していることも問題です。しかも、繰り返し指摘する通り、処理作業を実際に担うのは原発事故を起こした当事者である東京電力であり、東電は今もなお数々の不祥事を重ねています。政府・東電に安全の枠組みを委ねることはできません。

処理汚染水放出の問題は、原子力市民委員会やFoEの緊急声明でもあらためて明らかにされています(※3,4)。環境へのリスクや国内外の多くの市民の不安を無視し、特に事故原発の「廃炉」や「被災地の復興」の全体像も示されずその見通しも立たないまま、漁業関係者をはじめ多くの地元関係者、全国の関連業者などの生活を直撃する海洋放出だけが強行されることに合理性がありません。

私たちも参加した本年6月の「グローバル・グリーンズ(世界緑の党)大会」(於:韓国・仁川)では、この処理汚染水問題について「太平洋の核廃棄物の驚威」決議が採択されました(※5)。大会では、核実験時に汚染された南太平洋の島々やウラン採掘で被ばくするオーストラリア先住民族の仲間たちから、福島の漁民の皆さんの反対の声に熱く連帯する声が寄せられました。

海はひとつ、地球はひとつ。かけがえのない生命の海を、原子力事故を起こした私たちの世代でしっかりと守るために、放射能と生命は共存できないことを訴える全ての人々とともに、政府の熟議なき海洋放出決定に断固抗議し、判断の撤回、放出の停止と廃炉計画の見直しを求めます。

※註

1) 全国知事会も去る7月の全国会議で「(処理水の放出について)国内外の理解が十分に得られている状況にあるとは言えず、新たな風評を生じさせる懸念がある」と表明していた。https://www.nga.gr.jp/conference/item/2023_summer_20_document20_decision.pdf

2) チラシ「これ以上海を汚すな!緑の党は海の日アクション 2023 に連帯します」
https://greens.gr.jp/uploads/2023/07/uminohi2.pdf

3)FoE声明「ALPS処理汚染水の海洋放出に抗議するー「関係者の理解」は得られていない」https://foejapan.org/issue/20230822/14073/

4) 原子力市民委員会緊急声明「 関係者との合意を無視した海洋放出決定は最悪の選択である」 http://www.ccnejapan.com/?p=14185

5) 決議「太平洋の核廃棄物の驚威」
https://docs.google.com/document/d/1fJM09ms5HI6geD3kzzla_6YH4ER6N5zh/edit

本声明PDF→https://greens.gr.jp/uploads/2023/08/seimei_fukushima0823.pdf