【声明】女川原発運転差し止めを棄却した仙台地裁判決

【声明】女川原発運転差し止めを棄却した仙台地裁判決-

一連の司法判断の積み重ねをも無視するものであり、強く抗議します

2023年5月29日

緑の党グリーンズジャパン運営委員会

 仙台地方裁判所は去る5月24日、東北電力女川原発2号機の運転の差し止めを求める住民たちの請求を棄却する判決を言い渡しました。

 東日本大震災・東京電力福島第一原発事故時、震源地により近い女川原発も過酷事故の危機にありました。当時、女川原発に到達した津波の高さは最大13mに達していましたが、原発の敷地の標高は14.8mで、地震で1m沈下したことがわかっており、計算上、津波は敷地まで80センチに迫っていたことになります。実際、津波のしぶきの痕跡が敷地の外縁に残っていました。当時人口1万人強だった女川町で、死者・行方不明者は827名にも上っています。大震災前に女川原発の運転差止請求において「(原発事故による被害が)社会観念上無視しうる程度」として棄却した裁判官は、この事態を見て、「『社会観念』とは、当時の私の社会観念に過ぎなかった」旨、深い反省を示しています(※1)。

 それにもかかわらず今回の判決は、震災当時、このように現に具体的な危険が発生していたにもかかわらず、「事故発生の危険は抽象的」と切り捨て、また、原子力規制に関する国際的な基準で求める「第5層の防護」において避難を含む安全対策が不可欠とされているにもかかわらず、「避難計画の不備だけで住民らの人格権を侵害する具体的危険とは認められず、個別の争点について判断するまでもない」と言い放ちました。事実も国際防護基準も無視したきわめて不当で傲慢な判決です。

 3.11以降、大飯原発の運転差止を命じた2014年5月21日の歴史的な福井地裁判決を皮切りに、多くの裁判例が住民側の請求を認めています。今回の仙台地裁判決は、歴史の流れに背を向けたものであり、積み重ねられた司法判断にも反するきわめて異例で不当なものです。

 私たち緑の党は、今回の判決に強く抗議するととともに、今後も広く国内外の仲間たちとともに、福島原発事故の被害の完全救済、原発政策からの脱却、原発に依存しない地域経済の再建に向けて、全力を尽くします。

1)朝日新聞出版「原発に挑んだ裁判官」から。また、各判決を書いた裁判官に対する聞き取りが伊方原発差し止め請求の原告側意見書「弁論更新に際しての意見書」(2019年 7月 4日)https://00m.in/uJ4bG で示されている。

声明全文 PDFファイル→ 【声明】女川原発運転差し止めを棄却した仙台地裁判決