【声明】原発運転期間「原則40年」ルールの削除に抗議します

声明】原発運転期間「原則40年」ルールの削除に抗議します

              -3.11の原点を忘れることは許されない-

 

                   2022年10月13日

緑の党グリーンズジャパン運営委員会

 

 岸田文雄首相は8月24日の政府の会議で、「2050年の脱炭素社会の実現」を口実として、原発の運転期間を原則40年とし、例外的に原子力規制委員会の審査を経て1回だけ20年延長できると定めた原子炉等規制法の規定を見直す方針を明言しました。しかも原子力規制委員会も10月5日、この方針を容認する意向を示しました。

 私たちは政府や原子力規制委員会のこれらの動きに強く抗議し、方針の撤回を求めます。

 東京電力福島第一原発事故の際、第一原発の1号炉は運転開始40年の特別な検査に合格したばかりでした。それでも事故は起きたのです。2012年の原子炉等規制法の改定で原則40年の寿命が定められたのは、こうした事故の教訓を踏まえてのことです。老朽原発を動かすことは極めて大きな危険を伴います。運転中に原子炉が中性子にさらされることによる脆化に加え、運転休止中も時間の経過に伴い、配管やケーブル、ポンプ、弁など原発の各設備・部品が劣化します。また、設計が古く、構造的な欠陥を抱えていることも深刻な事故を引き起こす原因となります。

 また、原子力規制委員会の根拠法である原子力規制委員会設置法は、その第1条で「平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故を契機に明らかとなった原子力の研究、開発及び利用(略)に関する政策に係る縦割り行政の弊害を除去」「一の行政組織が原子力利用の推進及び規制の両方の機能を担うことにより生ずる問題を解消」「原子力利用における事故の発生を常に想定し、その防止に最善かつ最大の努力」「専門的知見に基づき中立公正な立場で独立して職権を行使」「国民の生命、健康及び財産の保護、環境の保全並びに我が国の安全保障に資する」等と謳い、この法律や委員会の目的を明確に定めています。

 初代の原子力規制委員会委員長の田中俊一氏ですら、そもそも40年超の原発を運転してよいのかという問題はあるにせよ「40年運転制限制は,古い原子力発電所の安全性を確保するために必要な制度。40年を超えた原発は厳格にチェックし、要件を満たさなければ運転させない」と述べ、40年超の原発の運転は例外的場合だとしました。

 今回の政府方針は、福島原発事故の経緯や科学的知見を踏みにじるものであり、またこれを容認する原子力規制委員会の方針も、法で定められた自らの職責に反するものです。

 そもそも、脱炭素を原発推進の口実にすること自体、明らかな誤りです。日本では、原発による発電量が増え続けてきた期間、一貫して二酸化炭素排出量も増え続けてきました。一方、日本は既に、再生可能エネルギーによって2050年にエネルギー自給を達成する技術的能力を持っています。

 私たちは今後も、原発事故も気候変動もない世界を望むすべての市民や立憲野党と共に、政府や原子力規制委員会に期間制限撤廃を止めるよう求め、また立地地域が原発に頼らない自律的発展をできるよう、全力を尽くしていきます。

PDFファイルは⇒
https://greens.gr.jp/uploads/2022/10/b6afee67d60efe45b84cd91ae6716f02.pdf