【論説】GX 会議の原発推進方針に反対します

【論説】GX 会議の原発推進方針に反対します

2022年9月17日
緑の党グリーンズジャパン運営委員会

政府は 8 月 24 日、「GX(グリーントランスフォーメーション)実行会議」で、ウクライ ナ危機などによる電力需給逼迫などを受け、「エネルギーの安定供給の再構築」を掲げ、原発 7基の追加再稼働や原発運転期間の延⻑、次世代革新炉の建設の検討など、原発推進方針を 表明しました。「原子力への依存を可能な限り低減する」としてきた歴代政権の方針からの明 確な転換であり、容認できません。
 そもそも、原発は電力需給逼迫や気候変動の解決策としては役に立ちません。現実の「電 力需給逼迫」は、実際には一日のうち需要のピークの数時間の需給調整をどうするかという 問題であり、その数時間のために大規模集中型・出力調整困難な原発を活用することはきわ めて不合理です。しかも、「ベースロード電源」として電力供給の一定割合を固定的に担う役 割として位置づけられた原発が計画外に停止すれば影響は広範囲にわたり、柔軟性のない原 発推進はどう考えても時代遅れです。
 再生可能エネルギーの拡大とコストの低下は、原発のそれとは反対に飛躍的に進んでいま す。断熱や高効率機器への切り替えなど需要側での省エネの一層の推進、需給調整、ピーク カット・ピークシフト、デマンド・レスポンスの仕組みや電力系統の柔軟性の強化が必要で あり、かつコスト的にも有利です。政策資源はそうした取り組みにこそ振り向けられるべき です。これまで繰り返し主張してきた通り、気候危機の進行に対しては、速やかな対策こそ が求められています。それにもかかわらず、未だに原発を推進していたのでは、必要な対策 を遅らせる結果しかもたらしません。内容も時期も、そして実現可能性も不明な「次世代革 新炉」をあてにすることはできず、そのままでは第二の「もんじゅ」となりかねません。
 そして、原発事故による被害をめぐる、政府の棄⺠政策とそれを追認した最高裁判決を見れば、事故が起きても国も電力会社も責任を負わないことが明確になっています。このような無責任を前提とした原発推進は、あり得ません。
  私たちは、電力逼迫や気候危機対策を理由にした原発推進政策の撤回と、再生可能エネルギーの拡大を前提としたエネルギー・電力制度改革を政府に強く求めます。

 

参考:
FoE Japan が 9 月 6 日に「電力需給逼迫」と原発再稼働〜望ましい解決策とは」と題する セミナーを開催し、そこで報告された原発推進方針の問題・課題、エネルギー需給をめぐる 最新の状況や政府の議論の問題が整理された資料も公開されている。 https://foejapan.org/issue/20220817/8901/#shiryo

PDFファイルは⇒https://greens.gr.jp/uploads/2022/09/9aab35bcf01b6906e27f9a509f8b2ce2.pdf