【談話】戦後76年を迎えて

【談話】戦後76年を迎えて

2021815日 

緑の党グリーンズジャパン共同代表

中山 均  尾形慶子

松本なみほ 橋本久雄

 戦後76年が経ち、今年も「終戦の日」を迎えています。アジア太平洋の広範な地域への侵略と戦闘、日本本土への空襲、沖縄での島民を巻き込んで戦われた凄惨な地上戦、広島・長崎への原爆投下など、犠牲となった国内外の夥しい数の犠牲者・被爆者に哀悼の意を表し、傷ついた人々やそのご家族に対し、あらためて心よりお見舞い申し上げます。私たちは、平和と非核の誓いを新たにするとともに、国内外の戦争被害者、原爆被爆者が高齢化する中、その一刻も早い救済を政府に求めます。

 日本政府は、破滅的な戦争拡大と加害の歴史への責任、そしてその被害の実態に向き合い、平和と核廃絶の先頭に立たなければなりません。しかし菅政権は、安倍前政権と同様、平和への努力や憲法・民主主義の重要性を軽視・否定し、それらの理念と逆行する政治を進めています。

先に成立した重要土地規制法やデジタル「改革」関連法は、政府による人権抑圧や個人情報の一元管理・監視を可能にする強権立法であり、公正な民主主義社会を蝕むものです。安倍政権下で成立した特定秘密保護法や共謀罪法、安保法制などとともに、これらが憲法の基本理念を実質的に掘り崩していくことに、私たちは強い危惧を表明します。

また、被爆者らの願いと希望が結実した形で成立・発効した核兵器禁止条約に対し、政府はその批准を拒否し続け、締約国会議へのオブザーバー参加さえ拒んでいます。さらに、菅首相は「黒い雨訴訟」で原告全員に被爆者手帳の交付を命じた高裁判決に対し「控訴しない」と決定しながら、被爆の実相と被害の深刻さをまったく理解せず、不十分な被爆者援護制度に依拠し、高裁判決を真っ向から否定しています。民意に反して沖縄の辺野古基地建設の強行を続けるだけでなく、戦争犠牲者の尊厳を何重にも踏みにじり、その遺骨の混じる土砂を大浦湾の埋め立てに使おうとさえしています。「台湾有事」を煽りながら、南西諸島への自衛隊基地建設も加速させています。さらに、韓国の日本企業の責任が問われた徴用工問題をめぐる対応では、被害者をどのように救済するかという本質議論が放置されたままとなっています。

 日本の政治の変革と真の民主主義社会の確立こそが、アジアと世界の平和・非核の実現のために必要です。そのために、今秋に予定されている衆議院選挙などをはじめ、あらゆる政治的な場面で私たちもその一翼を担わなければなりません。

 世界は今なお続く各地の紛争や人道的危機によって、多くの市民が犠牲となっています。そして、人類は引き続き深刻な気候変動の進行と新型感染症の拡大という二つの危機の中にあり、ここでも、貧困層、女性、子どもたちなど、弱者に一層深刻な影響が明確になっています。これらの危機は地球全体を覆い、各国が自国の利害を守るために競って拡大してきた軍備や核兵器は、この巨大な危機の前には無力であるどころか、社会がめざすべき「グリーンリカバリー」への道を妨げ、むしろ有害な障壁となっています。テロや紛争の背景にある格差や貧困に向き合い、人類自らがもたらした気候危機に対し、世界が共同して立ち向かわなければなりません。そのために残された時間はわずかであり、利益優先の経済拡大や核開発・軍備拡大を進める余裕はないのです。 

 一方、被爆者やその支援者のみなさん、沖縄の人々などをはじめ、世界中の市民が困難な中でも声を上げ続け、平和のために歴史を大きく動かしてきました。世界各国の若者たちや市民の行動が国際社会を動かし、気候危機に向き合う機運を高めています。女性たちをはじめ、被害当事者らが声を上げ、社会や政治を変革しつつあります。私たちは、こうした市民の行動に希望を見い出し、その力を確信します。 

 私たちは、「地球ひとつぶ」の豊かな自然環境を大切にし、世界中の人々との平和なつながりの中で、分かち合い、支え合う公正で持続可能な社会の実現をめざし、政治を変革し、これからも行動を続けます。

 最後に、あらためてあらゆる戦争や人道的危機の被害者に想いを馳せ、今も香港やミャンマーで進む人権弾圧を憂慮し、圧制者に怒りの声を上げ、抵抗する市民に深い連帯の意を表明します。希望を失わない全ての人々の声と行動に励まされながら、私たち自身の決意をあらたにします。

 

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