【談話】表現の自由を侵す卑劣な脅迫と、それに乗じた行政の処分に抗議する

【談話】表現の自由を侵す卑劣な脅迫と、それに乗じた行政の処分に抗議する

                                2021年7月15日 

                                  緑の党グリーンズジャパン
   共同代表 尾形慶子

 市民による企画展「私たちの『表現の不自由展・その後』」が、7月6日から6日間の予定で名古屋市中区市民ギャラリーにて開かれていました。ところが、3日目朝、ギャラリーに送り付けられた爆竹と、それを「危険」とみなした施設側によって一方的に、会期末までギャラリー休館とされました。展示を主催した「『表現の不自由展・その後』をつなげる愛知の会」は名古屋市に再三抗議しましたが、展示を再開することなく会期が終了しました。

 私たち緑の党グリーンズジャパンは、卑劣な脅迫を行った加害者を強く批判するとともに、名古屋市が愛知県警と協力して安全を確保する努力を怠り、市民の表現の自由を著しく損なったことに抗議します。

 表現の自由は憲法21条に保障されており、公共施設には市民の表現する権利を保障する義務があります。これについて、最高裁判決(注)は「警察の警備をもってしても生命、身体に対する差し迫った明らかな危険がない場合、施設利用を禁ずることは憲法違反である」と明確に判示しています。

 名古屋市は、「不審な郵便物」による「危険」の具体的な内容や程度を警察から確認せず、休館を決定しました。さらに名古屋市は警察に対して、展示再開に必要な警備の要請をしませんでした。これでは、安全確保の努力を怠ったとしか言えません。

 大阪では、企画展「表現の不自由展かんさい」の大阪府立施設の利用承認が取り消されましたが、大阪地裁は9日、企画展の実行委員会に会場の利用を認める決定を出しました。東京では「表現の不自由展・東京展」実行委員会が民間会場探しに苦労していますが、あきらめてはいないと述べています。

 私たち緑の党は、「私たちの『表現の不自由展・その後』」の失われた4日間の展示再開を求める名古屋の主催者グループをはじめ、表現の自由を求める人々を強く支持し、民主主義の基本である表現の自由を守るために最善を尽くします。

(注)
泉佐野市民会館事件最高裁判決(1995年3月7日)
上尾市福祉会館事件最高裁判決(1996年3月15日)

PDFファイルは⇒ https://greens.gr.jp/uploads/2021/07/danwa_20210715.pdf