【声明】人道に背を向ける入管法「改正」に反対します
【声明】人道に背を向ける入管法「改正」に反対します
-国際水準に沿った難民認定を-
2021年5月15日
緑の党グリーンズジャパン運営委員会
政府・与党は、国内外の多くの市民や国際社会の反対を押し切って、入管法の「改正」を進めようとし、国会で強行採決しようとしています。
「改正」案では、難民に準じた在留を認める「補完的保護」や、一定の条件下で収容施設外での生活を認める「監理措置」といった新たな仕組みを設ける一方で、3回目の難民申請以降は「難民認定の手続き中は送還しない」という現行規定の適用外とする内容も含まれています。
この「難民認定手続き中は送還しない」という現行規定は、海外の人権侵害から逃れてきた人を再びその生命や自由が脅威にさらされるおそれのある国へ強制的に追放・帰還させてはならないという難民条約で確立された原則に基づくものです。これに反して例外を設けることに対し、国連の人権専門家や難民高等弁務官事務所もすでに3月末、「国際的な人権水準に達していない」と指摘する共同書簡を日本政府に出しています。
そもそも、複数回申請という問題が発生している最大の原因は、諸外国に比べ日本の難民認定率が極端に低く、難民に認定すべき場合でも認定されない例が相当数あることによります。実際に、3回以上の複数回の難民認定申請によってようやく難民と認定された人や在留が許可された人も少なくありません。ミャンマー(ビルマ)政府によって迫害された人々(特に少数民族)のように、難民であることが明らかな人でも、日本で難民として認定されることは困難です。難民認定制度が適正に機能していない中で、今回の「改正」は、保護されるべき人々を一層危険な状況にさらことになり、人道に反するものです。
また、名古屋の入管施設でスリランカ人女性が体調を悪化させて死亡した問題をはじめ、入管施設の劣悪な環境や収容者への非人道的な対応など、法「改正」の前に解明・改善されるべき事実や課題を放置することも許されません。
国際社会・先進国の一員として、日本は難民保護の点で相応の責任を果たす必要があります。さらに、「気候正義」の観点からも、深刻化する気候変動の影響で移住や避難を余儀なくされる「気候難民」にも門戸を開くことも考えていかなければなりません。
私たちは、国内外の多くの市民や立憲野党と共に改正案に強く反対します。
PDFファイルは⇒ https://greens.gr.jp/uploads/2021/05/70d2031e05ab4b97a528dcde89e9d69b.pdf