【声明】日本国憲法施行から 74 年-社会と憲法の新たな危機の中で、憲法理念・・
【声明】日本国憲法施行から 74 年
-社会と憲法の新たな危機の中で、憲法理念の再確立を-
2021年5月3日
緑の党グリーンズジャパン運営委員会
日本国憲法が施行されて 74 年目となる日を迎えました。
昨年の憲法記念日で述べた「深刻化している気候変動と新型感染症拡大という2つの危機」 は、今も最も弱い人々に最も深刻な打撃を与える形で、国内外の社会を揺るがしています。 非正規労働に関わる女性たちをはじめ、多くの人々が仕事を失って貧困化が進む一方で、緩 和マネーの拡大が富裕層をさらに潤し、歪んだ格差がさらに拡大している現実も明らかにな りました。DVや自死も深刻です。脆弱な医療インフラの中で医療崩壊も進み、感染者や医療 関係者に対する差別やバッシングは当事者や家族の人権と心を傷つけています。十分な気候 変動対策を講じることができず、ワクチン購入が困難な途上国の現状は、経済力によって人々 のいのちに不合理・不公正な差別・格差を生んでいる現代社会の歪みを顕わにしています。
その中で、自⺠党は「4 項目」を掲げた改憲への動きを強め、一部の野党も巻き込み国⺠ 投票法の改「正」を進めようとしています。しかし、科学に基づく有効な感染対策や事業・ 暮らし・医療への補償・支援をおろそかにしながら、その失策のツケを私権制限の改憲議論 に利用するのは許されません。
74 年を経た憲法は、先人たちや多くの市⺠の努力で今も改「正」されないまま輝く一方で、 その理念は脅かされ続けています。台湾をめぐる米中対立の高まりは、解釈改憲・安保法制 下での米軍軍事行動への日本の関与の可能性を高め、さらに憲法に違反する敵基地攻撃保有 の動きも進んでいます。沖縄県辺野古基地問題をめぐる政府の強権的な対応は、平和主義だ けでなく、地方自治や⺠主主義を踏みにじるものです。香港やミャンマー(ビルマ)をはじめ、世界で進む暴力と人権弾圧は、憲法前文で述べる「平和を維持し、専制と隷従、圧迫と 偏狭を地上から永遠に除去しようと努めている国際社会」の理念と真っ向から対立していま す。
来る衆院選でも憲法理念が争点になる可能性があります。私たちは、日本国憲法の理念が、あまたの戦争犠牲者の平和への願いが詰まったものであるとともに、一国家・一時代の意義 を超え、⻑年にわたる人類の自由や⺠主主義獲得の成果であることをあらためて確認します。 また、進行する「2つの危機」と、アジアの軍事的緊張、国内外の人権や⺠主主義をめぐる 状況や議論の中で、現憲法の掲げる「平和主義」「市⺠主権」「基本的人権」を守り、前文で 謳う「全世界の国⺠が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する」社会の実 現の重要性を広く訴えます。
その実現のためにも、私たちは、日本と世界中の市⺠と連携を強め、平和で公正・透明な 新しい政治を創り出していくことを強く決意します。
PDFファイルは⇒ https://greens.gr.jp/uploads/2021/05/ac709419651eaa18fee7c5bf3f378db2.pdf