【声明】六ヶ所再処理工場の新規制基準・適合審査の「合格」に強く抗議します
【声明】六ヶ所再処理工場の新規制基準・適合審査の「合格」に強く抗議します
―破綻した核燃料サイクルからただちに撤退を!
2020年8月5日
緑の党グリーンズジャパン運営委員会
原子力規制委員会は六ヶ所再処理工場の新規制基準・適合審査について、7月29日、事業変更を許可しました。市民から寄せられた574件のパブコメ(※1)は、そのほとんどが疑問と反対意見でしたが、顧みられることもなく、紋切り型の回答に終始しています。ガラス固化技術の未確立など、技術的課題についても明確な答えが得られていません。
使用済み核燃料の再処理は、日常的に高レベル放射性廃液など高いリスクの中で運転され、イギリスのセラフィールド、フランスのラ・アーグなど、世界的にも深刻な事故が多発し、重大事故が起きれば破局的な汚染をもたらす可能性があります。
そもそも再処理を前提とする核燃料サイクルは、「原発神話」の中で、使用済み核燃料からウランやプルトニウムを取り出し、再利用して無限に原発を動かすという計画でした。
しかし、原発の安全性は2011年東電福島第一原発事故によって根底から覆され、2016年、核燃料サイクルの一環をなす高速増殖炉「もんじゅ」も、実用化の見通しが立たないまま度重なる事故で廃炉が決定しました。さらに、ウラン採掘場における甚大な環境破壊と作業員の健康被害、見通しの立たない最終処分、そのため使用済み核燃料を原発構内で保管しているリスクなど、「サイクル」はすでにその全体が破綻し、重篤な問題を抱えているのです(※2)。
深刻な気候危機が進行する中で、地域に根ざした小・中規模分散型のエネルギーやシステムを求めるべき時に、巨大・集中型プロジェクトである核燃料サイクルや原発・再処理に望みをかけ続けることのリスクは、事故それ自体はもとより、社会経済的にも計り知れません。
自然界に豊富に満ちているエネルギーを取り出す安心・安全な再生可能エネルギーは、近年急激にコストも低下して普及しています。再エネを軸としたエネルギー分野のCO2削減は国際コンセンサスであり、未だに石炭(火力)やウラン(原発)という地下資源利用をベースロード電源に位置付けるエネルギー基本計画も、抜本的に見直されなければなりません(※3)。
また、核兵器にも転用できるプルトニウムを日本が大量に保有していることは、国際社会や近隣諸国からも懸念されています。政権や与党が核武装の権利を明確に否定しない中で、再処理によるプルトニウム保有量の増大は、東アジアの平和にとって一層の不安定要素となるでしょう。
私たち緑の党は、今回の許可決定に強く抗議し、原子力規制委員会に対し、ただちにこの許可を取り消すことを求めます。また、破綻した核燃料サイクル・再処理事業からの1日も早い撤退を求めます。
※註
- 日本原燃株式会社再処理事業所における再処理の事業の変更許可について(案)のパブリックコメント:https://www.nsr.go.jp/data/000320507.pdf
- 「緑の党の『エネルギーシフト』アクションプラン」(2013年)より「核燃料サイクルは『悪循環』『負の連鎖』というサイクル」: https://greens.gr.jp/seisaku-list/5935/
- 緑の党グリーンズジャパン運営委員会声明「パリ協定にふさわしい、原発にも化石燃料にも頼らないエネルギー基本計画を!」(2018年6月13日):https://greens.gr.jp/seimei/23113/
PDFファイルは⇒https://greens.gr.jp/uploads/2020/08/seimei20200805.pdf