【声明】福島原発事故から9年にあたって ―まやかしの「復興五輪」ではなく、被害者…
【声明】福島原発事故から9年にあたって
―まやかしの「復興五輪」ではなく、被害者・被災者の支援強化、
放射能と気候危機を未来世代に押しつけない社会を―
2020年3月11日
緑の党グリーンズジャパン運営委員会
今年3月11日で、東日本大震災と東京電力福島第一原発事故から9年が経ちます。
しかし、被災者への支援策は次々と縮小・廃止され続け、暮らしや命に係わる深刻な事態も生じ(※1)、東電がADR(裁判外紛争解決手続)で和解を拒否する事態も急増しています。教育現場では放射線・放射能の被害を歪めて記載する放射線副読本が配られており、事故後その深刻さにも言及していた副読本の役割は、3.11事故前のように原発推進キャンペーンのための宣伝媒体に逆戻りしています。安倍政権は原発再稼働を進め、福島第一原発からの放射性物質の環境放出が続く中、汚染土の再利用を掲げて放射性物質を拡散させ、地元漁協の異論も押し切って汚染水の海洋放出も進められようとしています。
こうした中、7月から9月にかけて開催されるオリンピック・パラリンピックは、3月に福島県の「Jヴィレッジ」でスタートする聖火リレーなどを皮切りに、震災や原発事故からの「復興五輪」として位置づけられ、原発事故による甚大な被害や影響を無視してその収束を演出し、多くの人々の人権を侵害する中で行なわれようとしています(※2,3)。私たちはその開催に重ねて異議を表明します。
一方、世論は原発維持よりも脱原発を支持する声が大きく上回り、原発再稼動や原発事故損害賠償をめぐる裁判では、原発の再稼働差し止めを認める判断(※4)や、東電・国の賠償責任を認める判断(※5)もたびたび下されています。安倍政権による原発輸出計画は全て頓挫し、世界では多くの国や企業が再生可能エネルギーと省エネを最も重要な産業として、また温暖化対策の柱として位置づけており、与党や経団連が固執する原発はもはや過去の遺物であることは明白です。
9回目の「3.11」を迎えるにあたり、私たち緑の党は、全原発の廃止とともに、震災の被災者と原発事故被害者の皆さんの深刻な状況を認識し、支援策の強化を訴えます。とりわけ、政府に対し、「原発事故子ども被災者支援法」の立法理念に沿った施策の拡充を求めます。
そして、気候変動が人類と地球の未来にとって危機的な段階となっていることを踏まえ、原発ゼロを前提とした対策の強化のため、「エネルギー基本計画」においてベースロード電源として位置づけられている原発と石炭火力から早期に脱却し、遅くとも2050年までに省エネルギーと再生可能エネルギーによって全てのエネルギーを賄える未来を実現させることを訴えます。
福島原発事故は経済成長をひたすら追い求める中で起き、原発推進政策への偏りこそが再エネ・省エネの拡大など気候変動対策を遅らせてきました。「3.11」を経験した日本社会が、社会や経済のあり方を根本的に転換することこそが必要だということを、私たちはあらためて強く訴えます。
※註
- 自主避難者への住宅支援が打ち切られた後、東京など4都県の国家公務員宿舎から退去しない原発事故避難世帯に対し、福島県は家賃の2倍相当の損害金を請求、また、応じない世帯の退去を求める訴訟も起こしている。詳しくは「原発避難者への懲罰的な『2倍家賃』請求を止めてください」(http://bit.ly/2Iw7GXw)参照
- 朝日新聞が行なった福島県民への世論調査で、「元のような暮らしができるのは、どのくらい先か」との質問への回答では「20年より先」が最も多く、先の見通しが立たない実情が示されている。https://www.asahi.com/articles/ASN2W6JRGN2SUZPS001.html
- 共同声明「福島はオリンピックどこでねぇ」http://www.labornetjp.org/news/2020/0225hasegawa参照
- 2014年5月福井地裁判決・2015年4月福井地裁決定をはじめ、2016年3月大津地裁決定、2017年12月・今年1月の広島高裁決定などがある。
- 一昨年の一連の判決に続き、昨年2月20日には横浜地裁で、そして昨日(3月10日)には札幌地裁で、それぞれ国と東京電力の責任を認め、避難者に賠償するよう命じる判決などが下されている。
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*韓国緑の党の3.11声明➡http://bit.do/fzzNk
*緑の党グリーンズジャパンの声明と、韓国緑の党の声明が掲載されたGlobal GreensのHP
➡https://www.globalgreens.org/news/remembering-fukushima-greens-japan-say-no-nuclear