【声明】広島高裁が伊方原発運転差し止め命令仮処分 -被爆も被曝もない世界へ!

 

【声明】広島高裁が伊方原発運転差し止め命令仮処分
             -広島から発信された訴えを受け、被爆も被曝もない世界へ!

 

2020年1月18日
緑の党グリーンズジャパン運営委員会

  1月17日、広島高等裁判所は、四国電力株式会社に対し、伊方原子力発電所3号機について、運転差止めを命じる仮処分決定を言い渡しました。

 今回の決定では、判断枠組みにおいて、住民らの主張そのものは採用できないとしつつも、「ある問題について専門家の間で見解が対立している場合には、支配的・通説的な見解であるという理由で保守的でない設定となる見解を安易に採用することはできない」と判示し、科学の本質と謙虚に向き合った姿勢が注目されます。

 具体的には、伊方原発が位置する中央構造線の断層評価について、申請時点では規制委員会の判断が必ずしも不合理ではなかったとしつつも、現時点で公表されている中央構造線断層帯長期評価(第二版)や四国長期評価では住民側の主張に沿う見解が示されていることを重視し、「震源が敷地に極めて近い場合」に該当すると判断しました。それにもかかわらず四国電力が「震源が敷地に極めて近い場合」の地震動評価を行っていないことから、今日の科学的知見に照らせば判断過程に過誤・欠落があり、住民らの生命・身体等への具体的危険性があると認めました。
 火山灰についても、四国電力の想定は過小評価であるとして、これを問題ないとした規制委員会の判断は不合理であると判断しました。

 これまで、福井地方裁判所が2014年5月に大飯原発3・4号機、そして2015年4月に高浜原発3・4号機のそれぞれの運転差止めを命じる仮処分決定を言い渡しています。また、大津地方裁判所も2016年3月に高浜原発3・4号機の運転差止めを命じる仮処分決定を言い渡しました。広島高裁は2017年12月に伊方原発3号機の運転差止めを命じる仮処分決定を言い渡しましたが、同高裁の別の裁判体が2018年9月にこの決定を覆してしまい、同原発が再稼働することになりました。裁判所が仮処分の請求を認容したのは今回で2年ぶりとなります。

 それにもかかわらず、未だに政府は「規制委員会が認めた原発は動かす」という姿勢を崩していません。2014年以来、毎年のように、原発の運転を差し止める司法判断が示されています。これ以上、こうした司法判断を無視することは、民主主義国家において許されません。また、規制委員会も、今回の決定を重く受け止め、判断のあり方を見直すべきです。

 福井地裁から広島高裁まで、多くの裁判所が人権擁護の観点から原発再稼働に警鐘を鳴らし続けた背景には、東京電力・福島第一原発事故の悲惨な事故を直視した、多くの市民の声があります。核の恐ろしさと向き合ってきたヒロシマの地からもたらされた今回の決定を受け、私たちはあらためて、そして、二度とこのような核の被害を引き起こさないよう、エネルギー政策の根本からの転換や、核の廃絶を強く求めていくこと、そして社会そのものを豊かな自然のリズムに沿った持続可能なものへとつくりかえるため、活動を続けることを誓います。

 

 PDF➡https://greens.gr.jp/uploads/2020/01/seimei20200118.pdf