【声明】4月1日 入管法「改正」施行にあたって -人間はそれ自体尊重されるべきで…
【声明】4月1日 入管法「改正」施行にあたって
-人間はそれ自体尊重されるべきであり、商品ではない-
2019年4月19日
緑の党グリーンズジャパン 運営委員会
先の臨時国会で「入国管理及び難民認定法」(入管法)の「改正」案が、きわめて短期間の審議で昨年12月8日に可決・成立し、新たな制度が4月1日からスタートしています。
私たちは、この「改正」入管法が社会的公正に大きく反するものであり、国籍・民族にかかわらず、働く人々の権利を大きく損ねてしまうと考えています。
まず、政府が設置した働き方改革実現会議における「外国『人材』」という言葉の使い方自体、受け入れる国家や企業の観点から「役に立つ人物」(広辞苑)「役に立つ外国人」を選別して受け入れ、その裏返しとして、役に立たなくなったら帰国してもらうという意図が表れています。
現に、すでにある技能実習制度でも、事業主にとって都合の悪くなった(役立たなくなった)外国人を、事業主らが入国管理局への通報などによって、事実上強制的に帰国させる、あるいはそうした事態をおそれて外国人労働者が低賃金などの過酷な労働環境で働かされてしまう、という事態は後を絶ちません。今回の入管法「改正」でも、そうした事態を防ぐ視点は全くなく、むしろ、安い労働力としての外国人労働者を使用することが優先されています。
新たな制度で単純労働として受け入れる「特定技能1号」は家族帯同が許されず、期間は5年限りです。新たな在留資格の半数は技能実習制度からの移行が想定されていますが、同制度下で頻発した残業代未払い、最低賃金割れ、長時間労働やハラスメントなどの深刻な問題は放置されたままです。悪質なブローカーの締め出しなどのトラブルについても実効性のある十分な防止策は取られていません。社会保障、生活支援、地域での受け入れ環境の整備、日本語習得機会の保障などについても不十分で、都道府県や基礎自治体に対応が押し付けられている課題も少なくありません。企業や事業主の都合を優先し、多くの問題を残したままの見切り発車と言えます。
好況期に不十分な制度で労働者を受け入れたドイツでは「労働者を呼んだのに来たのは人間だった」との反省の言葉もあります。人権侵害を引き起こさないという観点からの早急な見直し・改革が必要です。特にブローカーの排除、家族の分離を防ぐこと、賃金等の労働条件での差別禁止など、過酷な就労条件の禁止が急務です。
そして、何よりすでに不十分な制度の中で存在する外国人労働者の実態を把握し、グローバルな労働力移動のあり方について理念をもった制度設計をあらためて行なうべきです。
人間は、決して商品ではなく、それ自体として尊重されるべき存在です。私たち緑の党グリーンズジャパンは、国籍にかかわらずすべての労働者が人間らしい労働を実現できるよう、非暴力・社会的公正を重視する政党として、多くの市民と共に、全力を尽くしていきます。
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