【談話】戦後73年を迎えて

【談話】 戦後73年を迎えて

2018年8月15日

緑の党グリーンズジャパン共同代表 
中山 均     
長谷川羽衣子 
橋本 久雄    
松本 なみほ  .

  本日、先の世界大戦が日本の敗戦によって公式に終結して73年を迎えました。終戦の年の6月には沖縄で島民を巻き込んだ凄惨な地上戦が戦われ、8月6日・9日には広島・長崎に実戦での使用が初となる原爆が投下されました。
  戦争期間中だけでなく、その前後も含め、犠牲となった国内外の夥しい数の犠牲者・被爆者に哀悼の意を表し、傷ついた人びとやそのご家族に対し、あらためて心よりお見舞い申し上げます。

  今もなお、世界中で貧困と格差が広がり、紛争も頻発しています。国内では、沖縄で強権的な新基地建設が進められようとしています。その一方、この約1年の間には2つの大きな動きがありました。
  ひとつは、昨年の談話でも触れたように、国連での核兵器禁止条約の締結です。
  もうひとつは、歴史的な南北朝鮮会談・米朝会談の実現に象徴される朝鮮半島情勢の劇的な変化です。なお多くの課題が残っていますが、南北朝鮮・米国の首脳が当該地域の非核化や平和の実現に向けて合意し、国際社会に示したことは極めて重要な一歩です。この2つの大きなできごとに共通するのは、草の根の市民の力がそれらを突き動かしたという事実です。

  しかし日本政府は、市民の動きとは対照的に、これらにおいて否定的な役割しか果たしていません。日本は、核兵器禁止条約の採択に向けた議論で、唯一の戦争被爆国であるにもかかわらず、「保有国と非保有国との合意が重要」などという理由で、核保有国とともにこれに反対しました。条約の締結から約1年となる広島・長崎の平和式典で、市長や被爆者団体が間接的あるいは直接的に禁止条約の批准を迫ったにもかかわらず、安倍首相はやはり従来の姿勢を崩さず、「厳しい安全保障の現実に対応できない」などとして条約を非難し、頑なに批准を拒否しました。北朝鮮問題でも、これまで「圧力」一辺倒だった安倍政権は、その姿勢をわずかに変化させてはいるものの、今のところ何ら積極的な役割を果たすことができていません。

  戦争被害者、被爆者は高齢化し、戦争と原爆の被害の実相は風化しつつあります。侵略戦争の反省とあまたの戦禍の経験の中から生まれた日本国憲法の理念は、安倍政権によって傷つけられ続けています。3選が確実視される安倍首相はあらためて改憲への決意を明言しています。戦後73年、憲法と平和は今も重大な危機にさらされています。日本が平和に向けた積極的な役割を果たすためには、政治を変革しなければなりません。

  私たちは、被爆者・被爆地、そして沖縄の人びとの取り組みをはじめ、困難な状況の中でも、これまでも、そして今も声を出し続け、社会を動かそうとしている市民の努力に希望を見い出し、その力を確信します。

  私たち緑の党は、「地球ひとつぶ」の中の豊かな自然、地域や世界中の人々とのつながりの中で、分かち合い、支え合う公正で持続可能な社会、平和で心豊かに生きることのできる社会の実現をめざし、地域と世界中の仲間たちとともに、行動を続けることをあらためて決意します。

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※注(2018年8月21日加筆)
談話本文冒頭の「本日」「公式に終結してから73年・・」との表現について、日本政府がポツダム宣言受託を連合国に通知したのが1945年8月14日で、日本政府が降伏文書に調印したのが同9月2日であることから、歴史的事実としては正確ではないとのご指摘がありました。
「公式に・・」との表現については、現在日本国内において公式に「終戦の日」とされている8月15日以降も「事実として」多くの犠牲者が生まれていることを意識したものでしたが、逆に不正確な表現となりました。ご指摘を踏まえ、来年からはより的確な表現に努めます。ありがとうございました。