【声明】大飯原発運転差し止めを棄却した高裁判決を批判します
【声明】大飯原発運転差し止めを棄却した高裁判決を批判します
-この判決でも「原発廃止は可能」と明言、政府は原発政策の転換を!
2018年7月9日
緑の党グリーンズジャパン運営委員会
名古屋高等裁判所金沢支部は去る7月4日、福井地方裁判所が2014年5月に言い渡した関西電力大飯原発3・4号機の運転の差し止めを命じる歴史的判決を取り消し、住民らの請求を棄却する判決を言い渡しました。
この判決は、関電が基準地震動を策定した経緯や安全審査の過程などについて、関電側の主張をそのまま引き写し、それだけで安全性の証明はなされたものと認めました。判決文で「自然科学の分野で諸説対立する事柄があったとしても裁判は学術論争する場ではなく、自然科学分野の論争に介入すべきではない」として裁判所としての判断を放棄しつつ、原告が指摘する新規制基準の不合理な点については「所詮独自の見解に立ったもので、およそ採用の限りではない」などと切り捨てる、きわめて不当で傲慢なものです。私たちはこの判決を強く批判します。
この裁判では、次々に大飯原発の危険性が明らかになりました。たとえば、島崎邦彦・元原子力規制委員会委員長代理は、関西電力が想定した基準地震動は大幅な過小評価であることを法廷で証言しました。また、原子力規制庁も、大飯原発の大山噴火に伴う火山灰想定が過小であると指摘し、関西電力による火山灰想定の欠陥が明らかになりました。
今回の不当な判決においても、これらの事実を否定していないことは注目すべき点です。とりわけ地震動に関しては、地震予知の限界に関する福井地裁判決の指摘を肯定し、立法論としながらも、原発の禁止に踏み切ることも政策的な選択として可能と述べているのです。また、原発裁判の司法判断としては初めて、「被害が起きればそれが長期にわたって拡大し、その回復が極めて困難であることなどを考慮して、我が国のとるべき道として原子力発電そのものを廃止・禁止することは大いに可能であろう」と述べたことも重要です。今や、原発ゼロが可能であることを司法府も明言する時代に入ったのです。
国や規制委員会は、もうこれ以上、我が国を代表する科学者たちや政府機関すら指摘した原発の危険性に目をふさぎ続けるべきではありません。まず、規制委員会は、一連の司法判断の指摘を踏まえ、福島原発事故の徹底検証という原点に立ち戻り、新規制基準を徹底的に見直すか、撤回すべきです。また、政府は非現実的なエネルギー政策を根本から見直して、原発の稼働に振り向けられている政策的・財政的資源を福島原発事故の被害者・避難者への補償や支援、省エネや再エネの拡大への誘導策に転換するとともに、これまでの原発立地地域が原発に頼らず経済再建を図れるよう、全力を尽くすべきです。
私たち緑の党は、今後も広く市民の皆さんや他の政治勢力、そして世界の緑の党とも手をつなぎ、福島原発事故の被害の完全救済、原発政策からの脱却、原発に依存しない地域経済の再建に向けて、全力を尽くしていきます。