【声明】暴力と混乱の続くシリア-何よりも優先すべきは市民の保護

【声明】暴力と混乱の続くシリア-何よりも優先すべきは市民の保護

2017年4月20日
緑の党グリーンズジャパン 運営委員会

 

 去る4月6日、米軍は巡航ミサイル59発を使ってシリアの空軍基地に攻撃を加えました。その2日前にシリアのアサド政権が同国北西部での空爆で化学兵器を使用したことを理由としています。アサド政権は過去にも化学兵器を使用したことが中立的な国際人権NGOなどによっても確認されており、今回もその疑いは小さくありません。しかし、その明確な証拠と国際合意のないままの一方的な武力攻撃の強行は、国連憲章にも違反し、新たな混乱と紛争の拡大をもたらすことは必至です。安倍首相・日本政府によるトランプ大統領や軍事行動に対する「支持」や「理解」も、あまりにも軽率で、国際法との整合性が問われるものです。

 化学兵器が使用されたと考えられる4日の攻撃による被害は深刻です。この非人道的兵器による攻撃も国際法違反であり、事実調査、責任者への厳しい処罰、被害者および被害地域への速やかな支援が必要です。そして、市民が受けている被害はこれだけではありません。空軍基地への米軍による攻撃でも市民の犠牲があったことも一部で報道されています。一方、ロシア政府は、アサド政権を支援するだけでなく、国連による緊急支援物資の配布に対しても拒否権を発動し、多くの市民を危険に晒してきました。また、反政府勢力もこれまで違法な戦闘行為から無縁ではありませんでした。15日には、実行犯は不明ですが、アレッポ郊外で住民を乗せたバスの車列近くで自動車爆弾がさく裂、100人以上が死亡したと伝えられています。各紛争当事者とその支援国の主張する正義の下で暴力が連鎖し、多くの一般市民が犠牲になってきたのです。

 何よりも優先させるべき課題は、内戦下にあるシリア市民の保護です。そのために私たちは、全ての紛争当事者およびその支援国や国連など国際機関に対し、国際法の遵守、違法攻撃の禁止・根絶、援助ヘのアクセス及び民間人の安全な避難路の確保などの確実な実施、化学兵器を含む違法な攻撃による民間人への被害などについての実効ある公正な調査を行なうことを求めます。また、日本政府に対しては、そうした国際的な枠組みの中で積極的にイニシアチブを発揮し、戦闘行為への支持や支援ではなく、「市民の保護」という観点で可能な全ての手段を講じることを求めます。

 

 

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