【声明】トランプ大統領の野蛮な措置は直ちに撤回を 難民問題に日本も向き合うべき
【声明】トランプ大統領の野蛮な措置は直ちに撤回を
難民問題に日本も向き合うべき
2017年2月4日
緑の党グリーンズジャパン運営委員会
米国のトランプ大統領は、就任からわずか一週間でメキシコ国境の壁建設やTPP離脱など、大統領令を連発しています。そして去る1月27日、テロ対策としてすべての国からの難民受け入れの120日間凍結、シリア難民入国の無期限停止とともに、中東・アフリカ7カ国の一般市民の入国を90日間禁止する大統領令を発表しました。
これらの措置は、多様性を否定し、社会の深刻な分断を助長するもので、難民条約をはじめ国際的な人権・人道法にも反するものです。
これに対して、すでに内外から多くの非難の声が上がり、欧州各国の首脳や世界の企業経営者や著名人なども批判的な立場を明確に表明しています。しかしトランプ大統領はこの措置を批判した司法長官代理を解任し、保守派の長官を任命しました。大統領令の乱発と一連の独裁的・強権的手法は、「法の支配」や三権分立、民主主義の理念を否定するものです。
このような状況においても日本政府は見解を明らかにできずにいます。「安全」や「テロ対策」を理由として「共謀罪」導入を目指す政府の菅官房長官や安倍首相は「アメリカ政府の話であり、政府としてコメントは控える。関心を持って見守っていく」旨、表明するにとどまっています。
難民問題は年々深刻さを増しています。UNHCRによれば、近年難民は増え続け、2015年には6530万人となっています。難民を受け入れている国はトルコが最も多く250万人、その後、パキスタン、レバノンなどが続いています。経済的に貧しい国が多くの難民を受け入れているのです。米国もこれまで年間2万人を超える難民を受け入れており、世界最大の第三国定住プログラムによる定住受入国でした。
一方、これまで日本は難民問題については経済的支援に留まってきました。2016年に日本が難民として受け入れたのはたった27人です(前年は11人)。今回のトランプ大統領による措置は「突然」行われましたが、日本は「過去ずっと」心の壁を築き、難民などの受け入れにほとんど貢献して来なかったのです。日本のこれまでの対応も見直さなければなりません。
必要なのは差別や分断や排除ではありません。今回の野蛮な措置はすみやかに撤回されるべきです。私たちは、日本政府に対しても、国際社会と協調して、この措置が撤回されるようアメリカ政府に働きかけることを求めます。また、今こそ人道支援・難民受け入れについて、日本が国際社会で積極的な役割を果たすため、活発な議論を広く市民に呼びかけるものです。
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