【声明】市民に原発費用を負担させる不当な方針に反対します
【声明】市民に原発費用を負担させる不当な方針に反対します
2017年1月10日
緑の党グリーンズジャパン運営委員会
経済産業省は、福島第一原発の事故処理費用のうち、電力自由化で参入した新電力に約2400億円の支払いを求める方針を公表し、昨年12月19日にパブリックコメントに付しました(1月17日まで意見公募中 ※註1)。この方針がもし現実のものとなれば、巨額の追加費用が電気料金に転嫁され、長期にわたって国民負担が増加することになります。しかも経産省は、この方針とあわせて原発などで作った電力を集めた「ベースロード電源市場」をつくり、ここから新電力会社が電気を調達しやすくする制度も計画しています。
2016年4月から電力小売全面自由化がスタートしましたが、新電力会社の中には、原発によらないことを謳ったものもあり、そのため新電力会社へ切り替えた消費者も少なくありません。事業者や市民の自然エネルギーへの熱意や意識的な選択を踏みにじるような突然の方針決定に、全国で怒りの声が上がっています。
私たちは、昨年9月23日にも声明「市民に負担を強要する原発救済策に反対します」を発表し、こうした国の方針が「競争を促すことで料金引き下げにつなげる電力自由化の趣旨にも反し、原発を抱える大手電力の事実上の救済策」だと指摘しました(※註2)。東電や銀行や株主の責任を棚に上げて市民に多大な負担を強いる施策は到底許されません。
2014年の「エネルギー基本計画」をはじめ、各電源のコスト検証において、原子力については、事故処理・賠償費用を勘案してもなお「コストが低廉な電源」〈ベースロード電源〉と位置づけられてきました。しかし今回の国の方針は、東京電力福島第一原発事故の廃炉・賠償費用を東京電力だけでは負担できないこと、また他の原発の廃炉費用も、原発を保有する電力会社では支払いきれないことを国自らが公にしたものだと言わなければなりません。
そうであれば、まずは原発稼働方針を撤回し、既存の原発の廃炉も速やかに進めるとともに再生可能エネルギー推進へただちに政策転換を行うべきです。私たちは、原発推進のための多大な国民負担を直ちに中止し、福島原発事故の被害救済、再発防止に全力を尽くすよう、あらためて政府や東電に求めていきます。また、今回のパブリックコメントを通して、このような不当な方針に対する撤回要求と抗議の声をあげるよう、党内外に訴えるものです。
※註
1)総合資源エネルギー調査会 基本政策分科会 電力システム改革貫徹のための政策小委員会 中間とりまとめに対する意見公募(パブリックコメント)
⇒http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=620216013&Mode=0
2) 2016年9月23日付声明「市民に負担を強要する原発救済策に反対します」
⇒https://greens.gr.jp/seimei/18220/
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