【声明】南スーダン派遣自衛隊への新任務付与の撤回と非軍事の民生支援を求めます
【声明】南スーダン派遣自衛隊への新任務付与の撤回と非軍事の民生支援を求めます
2016年11月26日
緑の党グリーンズジャパン運営委員会
政府は11月15日の閣議で、南スーダンに派遣される陸上自衛隊に、他国PKO要員などの救出を行う「駆け付け警護」と、国連施設などを他国軍と共に守る「宿営地の共同防衛」の新任務と、任務遂行のための武器使用権限を付与しました。そして20日に先遣隊約130名が出発、順次計約350名が派遣される予定です。
南スーダンは、今年7月の首都ジュバにおける大統領派と元第一副大統領派との大規模戦闘によって、統一政府が瓦解し、戦闘は地方にまで拡大しています。また、政治勢力間の抗争に留まらず、諸民族間の異民族排斥と他民族の殺害が広がっています。7月の戦闘では270人以上が死亡し、中国のPKO隊員と国連職員が死亡しています。もはや南スーダンでは、PKO参加5原則が破綻していることは明らかです。
こうした状況下での新任務の付与は、政府軍や反政府軍との戦闘や住民を巻き込んだ交戦状態に陥る危険があり、自衛隊に犠牲が出ることや、自衛隊の任務遂行に伴って死者が出ること、すなわち憲法が禁じる「武力の行使」が行われることも危惧されます。
さらに、政府は駆け付け警護の対象のひとつとしてNGOをあげていますが、現地で活動するNGOからはそのような要請などありません。むしろ、NGOからは、自衛隊やPKOへの反感から、日本人そのものへの反感が高まることが懸念されています。
日本は、独立以前から南スーダンに民生支援を行い、現地の人々の信頼を得てきました。この地域で植民地支配や武力行使を行わなかったという歴史も、対立する諸勢力に比較的中立だという信頼感を与えています。しかし、一度武力介入を行えば、この信頼感は一気に敵対感情に変容します。
日本が今なすべきことは、他国民にも平和的生存権を保証する憲法前文と、国際紛争を武力によって解決しないという憲法9条を高く掲げて、対立する諸勢力に和平に向けた対話を働きかけ、和解と融和に向けた支援を打ち出すことであり、紛争を助長する武器輸出を禁止させることです。そして、現在250万人に達する国内避難民と難民への人道支援を具体化させるべきです。
緑の党グリーンズジャパンは、政府に対し、任務を付与した閣議決定の撤回と派遣部隊の撤退、避難民への人道支援の強化、南スーダンの市民が平和の中で安定して暮らせる社会の再建に向けて、その道筋を具体化させていくことを求めます。
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