【声明】川内原発仮処分高裁決定を受けて―新規制基準の不合理性は明らかだ…

   【声明】川内原発仮処分高裁決定を受けて-新規制基準の不合理性は明らかだ。                  今度こそ新規制基準を撤回し、原発に頼らない未来を!
 
                                                   2016年4月7日
                                     緑の党グリーンズジャパン運営委員会

 4月6日、福岡高裁宮崎支部は、川内原発の運転差し止めを却下した昨年4月22日の鹿児島地裁決定に対する抗告を棄却し、引き続き住民らの訴えを退けました。
決定文書は、原発事故の危険性を「ゼロではない」としつつも、「社会通念」に照らせばその程度は許容でき、全体として新規制基準の合理性を認める不当なものとなっています。
 
 一方、この決定は、規制委が火山の噴火の時期や規模が予想できることを前提にしている点を「不合理だ」と明言しています。この点は多くの報道では見逃されていますが、弁護団が最も力を入れてきた論点でもあり、重要な指摘です。昨年の鹿児島地裁決定では、川内原発周辺の火山の危険性に関する地震学者たちや日本火山学会の警告に対して、「日本火山学会の見解は必ずしも多数の学者の見解とは言えない」などとし、火山噴火などの影響に関する新規制基準を「不合理なものとまでは言えない」としていました。しかし今回の決定では、この基準を「不合理」と明言せざるを得なかったのです(*1)。
 
 規制委員会は、2014年5月の福井地裁判決、2015年4月の福井地裁決定、2016年3月の大津地裁決定、そして今回の福岡高裁宮崎支部決定と、4回にわたる司法判断のいずれにおいても、たとえ一部であっても新規制基準の不合理性を指摘し続けていることを今度こそ真摯に受け止め、新規制基準を撤回し、これらの司法判断の指摘を完全に規制基準に反映させなければなりません。
 
 原発再稼働に関する一連の判決・決定では、結論として住民の訴えを認めるか否かにかかわらず、福島第一原発事故がいまだ収束しておらず、事故による被害者・避難者が深刻な状況におかれ、家族・地域社会の分断といった困難な課題を抱えていること、そして新規制基準が事故の反省を真摯に受け止めたものでないことを、もはやどの裁判所も認めるところとなっています。それにもかかわらず、全くの無責任体制のもとで強行される再稼働を断じて許すことはできません。

 また、私たち緑の党は、立地住民が真に求めているのも、あくまでも地域経済や雇用であって、原発再稼働そのものでないことを指摘し続けてきました。政府は、即刻全原発の廃炉を決定し、再稼働のための安全対策にかける資金や政策資源を、再生可能エネルギー普及による仕事づくり、原発立地自治体の自立や活性化、人材育成に充てるべきです。

 緑の党は、いのち・環境・未来を大切にする人びとと共に、地域の人々の暮らしを大切にしながら、原発再稼働、地球温暖化をくい止めるべく、活動と発信を継続していきます。

※註1) ただし、決定文は、火山噴火などに関する新規制基準の不合理性を認めつつ、川内原発の立地条件などから個別に判断すると「安全性に欠くものではない」「重大な被害が生じうる危険が存在すると言うことはできない」などと結論づけている。

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