【声明】「3.11」から5年-チェルノブイリ原発事故から30年 核の無い未来を・・・
【声明】「3.11」から5年-チェルノブイリ原発事故からも30年
核の無い未来を 切実な願いに向き合う政治へ
2016年3月11日
緑の党グリーンズジャパン運営委員会
2011 年3月に起きた東日本大震災、そしてそれに続く東京電力福島第一原発事故から5年を迎えました。また、今年は1986年に起きたチェルノブイリ原発事故から30年になります。二つの原発事故による災害は、放射能を完全に封じ込めることもできないまま、大地や森や海を広く汚染し、甚大な数の人々の心身や暮らしと社会に深刻な爪痕を残しながら、今なお進行中です。
東日本大震災による避難者数は約17万人、そのうち福島県では約10万人で、県外避難者は約43000人にのぼります。死者数計3848人の犠牲者のうち、直接死は1604 人、関連死は2020 人にのぼります(2016 年2月22日現在、いずれも福島県の統計)。膨大な避難者と震災関連死の数は原発の過酷事故と放射能汚染の影響を表わしています。避難指示区域(帰宅困難区域、居住制限区域、避難指示解除準備区域)の他、他の市町村からの自主避難者も含め、多くの人びとが広域避難を余儀なくされ、先の見通しの立たない深刻な暮らしを続けています。また、原発事故の「収束」のための作業の委託が下請け・孫請け・三次下請けと繰り返される中、多くの作業員たちが、まともな安全確保や健康管理もなされないまま危険な作業を続けています。莫大な量の汚染廃棄物は明確な法規制も不充分なまま、野積にされ、あるいは焼却され、福島県内外への埋立・貯蔵も進められようとしています。
事故当時18 歳未満だった子ども38 万人の甲状腺検査では、「悪性・悪性の疑い」と診断された子どもは166人、そのうち手術などでがんが確定116人となっています(2016年2月現在)。その発症数は報告される度に増えており、保護者を不安に陥れています。福島県外の近隣の地域や県民の汚染調査や健康診断は全く不充分です。
二つの原発事故に学ぶならば、人類が核をコントロールすることがそもそも不可能であることを認識しなければなりません。そして、持続可能な社会に向けて、再生可能エネルギーへの転換とその拡大、そして「経済発展モデル」の見直しこそが必要です。COP21パリ合意に象徴されるように、エネルギーシフトはすでにメインストリームとなっています。最新統計データ(※1)によれば、世界の風力発電能力は昨年末ですでに原発を上回り、日本は世界の流れから大きく出遅れていることも明らかになっています。
しかし安倍政権は、世界の流れとは逆に、昨年、安全対策やまともな避難計画も策定されないまま、多くの反対の声を押し切って川内・高浜原発の再稼働を強行し(※2)、原発輸出まで踏み出しています。見通しの立たない深刻な生活を余儀なくされている被災者や避難者への支援策を打ち切り、縮小し、被災者に被ばくと貧困を強いながら、帰還政策と棄民政策を進め、批判の声に耳を傾けない姿勢は、安保法制の制定や大企業優先の経済政策と同様、「安倍政治」そのものです。
私たちは、二つの原発事故から現在まで起きている深刻な事態、犠牲者や被災者・避難者の苦難を重く受け止め、今後も国内外のさまざまなグループや市民と連携し、各地で被害者への支援と救済に力を注ぎます。そして、昨年から今年にかけて、安保法制に反対して声を上げた全国の幅広い大きな市民のうねりと結びつき合いながら、脱原発とエネルギー政策の転換、持続可能で公正な社会の実現を追求し、「安倍政治」を終わらせるため、7月の参院選に向け、全力を尽くします。
※註
1)風力発電能力の最新統計データ
・GWEC:
http://www.huffingtonpost.com/stevesawyer/faith-hope-and-the-energy_b_9200002.html
・WWEA:
http://www.wwindea.org/the-world-sets-new-wind-installations-record-637-gw-new-capacity-in-2015/
2)高浜原発については、去る3月9日、大津地裁が運転をさせない仮処分を決定。参考:緑の党運営委員会声明 https://greens.gr.jp/seimei/16822/
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