【声明】不法・不当な手続きに基づく辺野古基地建設工事強行に抗議します
【声明】不法・不当な手続きに基づく辺野古基地建設工事強行に抗議します
2015年10月30日
緑の党グリーンズジャパン 運営委員会
昨日(10月29日)、沖縄県名護市辺野古で米軍基地の新設工事の開始が強行されました。これは、沖縄県民の民意を踏みにじるだけでなく、民主主義・法的正当性を欠く許し難い暴挙です。
この辺野古の新基地建設問題を巡っては、去る10月13日、翁長雄志・沖縄県知事が仲井眞弘多・前知事による辺野古沿岸部の公有水面埋立承認を取り消しています。ところがこれに対し、沖縄防衛局が行政不服審査法に基づいて国土交通大臣に対し審査請求し、同時に執行停止措置を申立て、これを受けて国土交通大臣が一昨日(10月28日)、知事の埋立承認取消処分の執行停止を通知し、即座に昨日からの本格工事着手に至っています。
そもそも、翁長知事の承認取り消しは、国による埋立申請および基地建設事業に関わる環境影響評価書で示された環境保全措置が、公有水面埋立法の規定する「適正で合理的な国土利用」(第4条第1項)や「環境保全及災害防止に十分配慮」(同法同条第2号)の要件を満たしていないことに加え、同地域の豊かな自然環境・生態系を保持する観点(※1)から取消しの公益的必要性が高いことを理由としたものです。
行政不服審査法は、その目的を「行政庁の違法又は不当な処分」などに関し、「国民の権利利益の救済を図る」ものであり( 1 条 1 項)、そもそも行政機関が行政処分の審査請求をすることを想定していません(※2)。国の一方の機関が審査請求人・執行停止申立人になり、もう一方の機関が審査庁として執行停止も行なうのは、市民の権利救済制度を濫用するもので、法治国家として許されない不当・不法なものです。
また、基地建設工事を環境面から監視するために政府が設置した第三者委員会の複数の委員たちが移設事業を受注した業者から委員就任後に寄付金を受け取っていたことも、この工事の正当性を揺るがす重大問題です。さらに、条件付き賛成を表明する建設予定地周辺三地区の自治会組織に対し、名護市を通さず、国が直接補助金を交付しようとするのは、地方自治の枠組みを破壊する、あからさまな分断・介入です。
「国を守る」ことの核心は、美しい大地や海を保全し、民主主義や人びとの暮らしを守ることにあります。民意を踏みにじり、対米関係を優先して環境を破壊し、なりふり構わず強権政治を続ける安倍政権は、退陣させなければなりません。
私たちは、国による法制度の濫用と工事強行に強く抗議し、沖縄県民と全国の市民、そして正義を求める国際世論とともに、民主主義と辺野古・沖縄の自然環境を守るため、全力を尽くしていきます。
註:
(1)本事業で埋立ての対象となっていた辺野古崎・大浦湾は、環境省レッドリスト絶滅危惧ⅠA類かつ天然記念物であるジュゴンや絶滅危惧種を含む多数の貴重な水生生物や渡り鳥の生息地となっており、この海域は沖縄県により策定された「自然環境の保全に関する指針」において「自然環境を厳正に保全すべき場所1」にもあたっています。
(2)来年施行される行政不服審査法の新法では、今回のような行政庁による不服審査を明示的に適用除外としています(新法 7 条 2 項)。これは現在の審査法の趣旨をより明確にするための改正であり、その点でも今回の国による制度濫用の不当性は明白です。
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