【談話】広島土砂災害について
【談話】広島土砂災害について
2014年9月5日
緑の党グリーンズジャパン 共同代表 中山均
去る8月20日に発生した豪雨による広島土砂災害は70名以上の人命を奪い、多数の家屋の損壊、道路の寸断などを引き起こしました。今も懸命の捜索活動と復旧作業が行なわれていますが、自宅に戻れない被災者の方々の避難生活も長引いています。亡くなられた方々をはじめ、被害を受けられた皆様にお見舞い申し上げるとともに、一刻も早い復旧を心からお祈りいたします。
緑の党は、有志メンバーが現地入りし、ボランティア活動に関わるとともに、現地調査から得られた課題を地元の広島市議会議員の皆さんに要望するなどしています。
(http://hiroseto.exblog.jp/22358758/)
災害直後の救出が一段落し、行方不明者の捜索が続く一方で、今後に向けていくつかの課題が浮かび上がっています。 緑の党のメンバーは、2011年の3.11東日本大震災をはじめ、各地の災害でこれまでもさまざまな支援活動に関わってきましたが、その経験を踏まえ、この災害の当面および今後の課題を整理しました。(※下段に掲載)
また、近年頻発する大型の台風や今回の局地的豪雨の要因は、全球的気候変動がそのひとつとも指摘されています。気候変動と個別の災害との関係は断定できないとはいえ、私たちは今後、こうした災害がどこでも起こりうること、そし て地球規模での経済活動やエネルギー消費を抑えていく必要性があることをあらためて認識し、生活ニーズに根差した災害対策と同時に、国際的な気候変動対策の重要性を一層訴えていく必要があります。
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広島土砂災害の課題について
2014年9月5日
文責:緑の党グリーンズジャパン共同代表 中山均
協力:さとうしゅういち
現地から得られた情報に基づき、さらにこれまでの各地の災害で得られた経験を踏まえ、広島土砂災害の当面および今後の課題について整理し、以下に示します。
なお、災害復旧は現在進行形の事態のため、場合によっては解決中のものも含まれる可能性もあり、また不十分であり、事態の経過や内部議論によって内容が修正・追加される可能性もあります。
<避難者の住居・生活支援施策について>
① 避難所や二次避難所の運営・設置、仮設住宅(みなし仮設含む)などを含む住宅支援策等において、計画段階から女性が参加できるようにするとともに、高齢者・障がい者などさまざまな人が利用しやすいように避難・住居施設・施策のバリアフリー化が一層必要。
② みなし仮設(民間賃貸住宅を仮設住宅とみなして県が借り上げる制度)が迅速に確保されたことは評価できる。同時に、東日本大震災の経験では、この制度の問題点や課題(いったん入居すると転居が認められない、期間に制限がある、分散してアパートなどに入っていくため、地域のコミュニティから外れ不安や孤独に陥るケースがある、等々)も明らかになっている。これらの課題に柔軟に対応できるよう、国は今回の災害対応についても制度運用を見直すべきである。
③ 避難所やみなし仮設に住む人々への生活や健康支援のための行政のきめ細かいケアやサービスが必要。
④ 住宅再建や二重ローン問題などへの支援策を検討・拡充する必要がある。
<復旧施策について>
① 緑の党有志グループからも報告されているが、人的被害の集中した安佐南区などに報道やボランティアが集中している一方で、安佐北区の家屋・道路などの被害状況も深刻である。ボランティアや行政資源をこうした地域にも振り分ける必要がある。
② 道路も少しずつ復旧されているが、寸断・迂回した公共交通路線については臨時バスの増便、小型バスでの対応を行政として支援することが必要。
③ 各地域・各時間経過で変化するニーズと支援物資の適切なマッチング、集積・管理・コントロールが必要。
<災害の背景や教訓・課題について>
① 多くの指摘があるように、急激な宅地需要に対応するために山を切り開いていった経過がある。各地の同様の地域で調査・対策が迅速に取られるべき。また対策にあたって砂防ダムなどが安易にかつ大量に建設されるべきではなく、有効性が検証され、山林の管理、周辺住宅集落への影響など総合的に判断されなければならない。
② 今回の場合、災害発生地点の多くは危険箇所とされていたが警戒区域への指定が遅れていた。今回の個別事情は別として、警戒区域への指定には住民合意が要件とされ(不動産価値の下落をもたらす可能性があるため)ていることが、各地での危険個所→警戒区域指定へのタイムラグが生じる要因のひとつ。警戒区域にならないとハザードマップへの反映や不動産業者の「重要事項説明」による情報提供の義務を課せず、危険個所と認定された段階で一定の情報の公開や提供、周知を進める措置や制度が必要になると思われる。
③ また 、危険箇所や警戒区域の住宅地域の今後のあり方、移転する場合の補助や支援の枠組みについて十分な議論や制度の強化が検討されるべき。
<気候変動対策の強化について>
① 災害を引き起こした豪雨の要因に気候変動があることを行政や全ての市民が改めて認識し、気候変動対策の国際的連携と、日本政府がその先頭に立つことが必要。
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