【賛同】原発事故避難者の住まい追い出し裁判

緑の党は、「避難者住宅追い出しを許さない会」など4団体が仙台高裁に対し、即日結審に抗議し弁論の再開を求める声明に賛同しました。

<抗議声明>

避難者追い出し裁判 仙台高裁の即日結審に抗議し弁論の再開を求める

私たちは原発事故で避難をしている被災者に提供された住まいの明け渡しと損害金の請求を、福島県が行っているのは人権侵害であると、福島県を相手とする住宅裁判をしています。

それは 2020 年 3 月に福島県が福島地裁に提訴した 2 名の「追い出し裁判」と福島県の度重なる明け渡しと損害金請求に耐えかねた 11 名が 2022 年 3月東京地裁に福島県を訴えた「住まいの権利」裁判の二つです。

政府はこれらの裁判の最中に原発事故被災者を置き去りにしたまま原発回帰に舵を切りました。

原発事故に被災者は何等の責任がないのに苦しみ続けています。避難者の住まいの権利を争う裁判は、通常の住宅の賃貸借契約をめぐる問題ではありません。原発事故という人災で突然避難者になった人の住まいの権利の問題です。

ところが福島地裁の裁判官は福島県の言い分のまま、通常の賃貸借契約の争いに矮小化し被告敗訴の判決を下しました。その上、7 月 10 日第1回期日で仙台高裁は即日結審を宣告し傍聴席は抗議の声で騒然となりました。

原発事故当時、原発事故の被災者を救う法律はありませんでした。翌年成立した子ども被災者支援法は代わった政権によって骨抜きにされ、避難する、留まる、帰るという意思を尊重し避難先の住まいの確保は国の責務であると定めているのに無視し、災害救助法を適用したのみで、その結果放射性物質の大量の拡散をもたらした原発事故への対応としては多くの矛盾を生じました。被災者は法律の保護を受けることなく政府の手により棄民とされたのです。

日本政府は 2017 年国連人権理事会第3回普遍的定期審査でポルトガルから出された「原発事故の全ての被災者に国内避難民に関する指導原則を適用する」勧告に本音と建前を使い分けた対応をしています。

建前では否定できずにフォローアップすると言い、2020年4月 被災者を救うために参考にするよう周知したと国際社会には報告しながら、国内では福島県の追い出し裁判提訴を黙認しているのです。

私たちは裁判に救いを求めました。しかしその願いは潰えようとしています。
裁判官は避難者の懸命な叫びに耳を傾け、原発事故によって避難者の命、健康、暮らしにどのような激動があったのか、事実を良く見るべきです。審理を尽くすこと、それによって裁判を受ける権利が保障されるのです。仙台高裁の即日結審に強く抗議すると共に速やかな弁論の再開を求めます。

2023 年 8 月 11 日
「追い出し裁判」被告一同 弁護団
「避難者住宅追い出しを許さない会」

「住まいの権利裁判」原告一同 弁護団
「原発事故避難者住まいの権利裁判を支援する会」

<参考動画>
清水奈名子さん(宇都宮大学国際学部教授)
「国際人権法と避難者の権利――国内避難民特別報告者による勧告と原発避難者立退き訴訟」

国際人権法の専門家が鋭く問う 講演とつどい(2023.8.27) - YouTube