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【賛同】「持続可能」でも「グリーン」でもない原発をEUタクソノミーに含めるべきではない
緑の党は、FoE Japanが欧州委員会に提出する要請書
<「持続可能」でも「グリーン」でもない原発をEUタクソノミーに含めるべきではない>
に賛同しました。
 
〔呼びかけ文より〕
報道にありますように欧州委員会がEUタクソノミー(環境分野に投資を促すEUの独自の仕組み)に原発を含めた案を発表しました。ドイツやオーストリア、イタリアなどが反対していますが、欧州委員会は今月中に決定するとしています。

これが通ってしまいますと、原発を「環境にやさしい」「持続可能」とすることにEUがお墨付きを与えることになってしまいます。

原発事故を経験した日本の市民社会の立場から、原発をEUタクソノミーに含めるべきではないと、欧州委員会に要請書を出そうとしています。
 
〔要請書案〕
 
2022年1月  日
欧州委員会委員長殿

「持続可能」でも「グリーン」でもない原発をEUタクソノミーに含めるべきではない

欧州委員会が、気候変動対策などへの投資を促進するための「EUタクソノミー」(注)の案に原発を盛り込んだことについて、原発事故を経験した私たち日本の市民は大きな衝撃を受けています。
原発は、ウランの採掘から原発の運転、廃炉に至るまで、放射性廃棄物を生み出し、環境中に放射性物質を出し続け、持続可能性や環境保全とは真逆のものです。もし、原発がEUタクソノミーに含められ、原発への投資にEUがお墨付きを与えることになれば、EUタクソノミーの信頼が損なわれるのみならず、EUおよび世界中の人々の将来に大きな負の遺産を残すものとなるでしょう。私たちとしては到底受け入れられるものではありません。

1.福島第一原発事故は終わっていない
東京電力福島第一原発事故は終わっていません。未だに少なくとも3万人を超える人たちがふるさとに帰れないまま暮らしています。多くの人たちがそれまでの生活、生業、生きがいを失いました。
廃炉は遅々として進まず、日本政府は、敷地にためられている放射性物質を含んだ大量の水を海洋に放出し、また、除染によって発生した放射性物質を含む土を公共事業などに利用しようとしています。原発事故の原因解明も終わっていません。
福島原発事故は、チェルノブイリ原発の深刻な事故のわずか15年後に発生しました。それまで、日本政府や電力会社は「原発は絶対に安全」として無責任に原発を推進してきました。
EUはこうした原発事故の悲惨さに学び、ソ連や日本の二の舞を避けるべきです。

2.原発は深刻な環境汚染や人権侵害をもたらす
原発は稼働し続ける限り、さまざまなレベルの核廃棄物を生み出します。高レベル放射性廃棄物は、地下深くで10万年以上も管理が必要だとされているのにもかかわらず、日本も、また多くの国々においても、処分地すら決まっていません。仮に地下深くに処分しても将来の環境汚染は避けられません。
燃料の原料となるウラン採掘の際にも、環境汚染や人権侵害があとをたちません。
原発は、電力を多く消費する都会ではなく離れた過疎地に建設されます。原発事故で被害を受けたのは、福島第一原発が電気を送っていた東京ではなく、電気を使っていなかった福島およびその周辺だったのです。また、運転や点検作業に直接従事する労働者は常に被ばくによる健康リスクを負うことになります。こうした意味で原発は、社会的な大きなひずみや不正義の象徴とも呼べるものです。

3.原発は気候変動対策にはならない
以上のように、原発を気候変動対策とすることは、EUタクソノミーの「‘do no significant harm’ (DNSH):重大な害をもたらさない原則」に反しています。
それと同時に、原発は事故やトラブルを起こしやすく、コストが高く、不安定な電源です。近年の異常気象により、水温上昇で炉心冷却に使う十分な水が取水できず原発を停止せざるをえないケースや、海岸沿いの原発の水没リスクが増大するなど、原発が気候変動に脆弱であることを示す報告が相次いでいます。
大規模な原発の事故被害の深刻さは福島第一原発事故で明らかですが、小型モジュール炉にも解決不可能な問題があります。原発を使い続けることは、大量に電力を消費する社会構造を促し、EUはエネルギーや社会を持続可能なものとする機会を失うでしょう。

以上の理由から、私たちは原発をEUタクソノミーに含めないよう、強く要望します。

注)EUタクソノミーとは:気候変動など6つの環境分野に貢献する活動を明確にし、それらの事業に投資を促進するためのEU独自の仕組み。

問い合わせ先:国際環境NGO FoE Japan E-mail: info@foejapan.org