【世界のみどり】フランス緑の党 大規模デモについての表明
燃料税増税に端を発したフランスでの大規模デモについて、フランス緑の党が発表しているコメントを紹介します。
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大統領、表面は変えたが中身は変えていない
2018年12月11日
(2019年2月19日 本翻訳に更新)
社会正義を求める声に直面して、エマニュエル・マクロン大統領は、数日間沈黙した後、ついに黄色いベスト(*1)の人々の要求に対して回答を表明した。この日は一転穏やかな口調で国民に声明を発表したが(*2)、国中の怒りを収めたとは言いがたい。表面は変わったが、根本は変わっていないからだ。
(*1)黄色いベスト:反射帯の付いた黄色い安全ベスト。フランスでは、各車に必ず1枚常備されている。燃料税に反対する人は、これを着てデモに参加するようSNSで呼びかけられた。
(*2)前週、大統領は暴動を強く非難した。
大統領は、新たに怒りをかっただけで、結果を出すことはできなかった。確かに、彼は最低賃金引き上げを発表した。実際、可処分所得はわずかに増加するだろう。ただし、一般社会拠出金(*3)の増税になり、退職者にとって不利である。一方、富裕税の廃止(*4)は変わらず、「もっと働けばもっと稼げる」風潮に戻ることを提案している。彼の(黄色ベスト運動への)同情は空々しい、なぜなら彼の政策方針は変わっていないからだ。
(*3)一般社会拠出金:あるいは一般社会税CSG (la Contribution sociale généralisée) 所得税とは別に、年金や不動産所得などあらゆる収入に課税される。
(*4)富裕税:ISF (l'impôt de solidarité sur la fortune) 政府はこれを廃止する方針。
エコロジスト(緑の党)の考えでは、市民の平和をもたらすのは、社会的・環境的正義であり、きれいごとや施し(わずかな最低賃金の引き上げ)ではない。昨年7月、マクロン大統領は議会を前にして、21世紀の新しい社会協定の必要性を宣言した。黄色いベスト運動が生まれたのは、この言葉と行為の間のギャップからである。 2017年6月マクロン大統領は気候問題に関して、「私たちの惑星を再び偉大なものにする」という演説でアメリカのトランプ大統領に反対した。にもかかわらず、それからも、温室効果ガスの排出量の増加、発癌性農薬の継続的販売、森を伐採するヤシ油の生産の開発、フラマンビルの原子炉へのサポート、ビュール(*5)での暴力的な抑圧、フランス領ギアナでの金堀削の復活と続いている。
(*5)ビュール:高レベルおよび中レベル放射性廃棄物研究施設がある。
黄色いベスト運動が社会的・環境的抗議であるにもかかわらず、大統領の演説の中にエコロジーはほとんど言及されなかった。このまま、最大の汚染者、大金持ち、大企業がその富への課税と環境への課税から逃げ続けるならば、この黄色のベストの危機は、長い危機の始まりに過ぎなかったということになるだろう。エコロジスト(緑の党)として残念に思うのは、黄色のベスト運動がきっかけになって、エコロジーと生活向上、気候保全と不平等の解消を結びつける方向で、再生可能エネルギーと熱リノベーションへ投資と雇用が移ることにならなかったことだ。COP24が開かれ、環境に対する市民の動きがますます活発になっている時に、このようなビジョンの欠如は、未来の世代や気候破壊の影響を既に受けている人々に対する挑発と受け取られてもしかたない。
若者たち、すなわち明日の世代は、政府の一連の政策の中で最も忘れられている人たちである。エマニュエル・マクロン大統領は、将来を心配する彼らに一言もかけなかった。何千人もの高校生が街に出て求めたのは、価値ある未来を持つ権利だけなのに。
最後に、フランス人の正義への要求に応えるために移民について議論を始めます、という政府の態度は、非常に不安であり、我々の気を逸らそうしているのが見え見えだ。フランスが求めている正義とは、社会的・環境的そして平静の正義なのだ。
スポークスパーソン ジュリアン・バイユー、サンドラ・ルゴル
原文:Le président change de ton mais pas de fond
https://eelv.fr/
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真の変革が無ければ鎮静は無い
2018年12月4日
(2019年2月19日 本翻訳に更新)
黄色いベストの人々が激しく憤っているのは、燃料税増税だけが理由ではない。大部分の国民のあいだに、生活レベルの悪化がフラストレーションとして貯まりに貯まっていたのだ。40年間続いた破壊的政策の責任が現政権だけにないとしても、マクロン政権が怒りに火を付けたことに間違いない。政府は庶民階級をないがしろにし、不公正な政治を行おうとしたのだ。政府は、家計にのみ税負担を課すこと、つまり、最も恵まれない者に最大の負担を負わせることによって、エコロジーと社会正義を対立させたのだ。これは大きな過ちである。政府が燃料税増税を発表するとただちに、エコロジスト(緑の党)はその危険性を告発してきた。
エドゥアール・フィリップ首相の提案は、何も見えていない政府が陥れた窮地から、国を救い出せるようなものではない。私たちが直面している政治的な危機から抜け出すには、エコロジーに背を向けてはいけない。エコロジーを後退させることなく、社会正義を前進させなければならない。もはや、義足に包帯を巻くような見当はずれの手当てをしている時ではない。私たちの国が必要とする社会モデルの変革に着手しなければならない。
社会正義が中心でないかぎり、政府がどんなモラトリアムを示そうと、人々の怒りは収まらないだろう。政府の選択は間違っている。エコロジーを犠牲にしてはならない。それどころか、エコロジーは国の崩壊と社会的不平等と戦う武器というのに。
高校生が自分たちの未来を守るために行動しているのだ。すなわち、新たな政治を要求しているのは、国民全体であることは明らかだ。政府の動きはあまりにも遅い。それが、私達の国の団結を危機にさらしている。
(フランスの歴史に端を発した)国王と臣民の対話のような国家的な議論をしようという、エコロジスト(緑の党)や市民団体の提案を政府が聞き入れたというなら、それは結構だ。しかし、政府はまだ環境的・社会的危機の深刻さを理解できていないようである。
着手しなければならないのは、社会モデルの変革なのだ。環境問題と社会問題は同じコインの表裏である。政府はこれを理解し、環境問題と社会問題を対立させることなく、一貫した解決を示さなければならない。
スポークスパーソン ジュリアン・バイユー、サンドラ・ルゴル
原文:Il n’y aura pas d’apaisement sans vrai changement
https://eelv.fr/il-ny-aura-pas-dapaisement-sans-vrai-changement/