【世界のみどり】スウェーデン緑の党メンバーと会談
スウェーデン緑の党議員団リーダーのヨナス・エリクソンさんとの会談報告
緑の党グリーンズジャパン共同代表 長谷川平和
【写真】向かって左:ヨナス・エリクソンさん 右:長谷川平和
去る9月8日(火)、スウェーデン緑の党(Miljöpartiet de Gröna)の国会議員であるヨナス・エリクソン(Jonas Eriksson)さんと都内の某ホテルで会談しました。今回、エリクソンさんはスウェーデン議会の各政党の代表からなる使節団の一員として来日され、一週間ほどスケジュール日本に滞在しました。会談は5日ほど前に打診があり急遽実現したものですが、緑の党グリーンズジャパンからは共同代表の長谷川平和が参加し、スウェーデン緑の党やお互いの国政状況についての情報交換を行いました。
人口約1千万人のスウェーデンにおいて、緑の党の会員数は増加傾向にあり、現在では2万人を超えるそうです。人口比を考慮するとかなり多くの割合の人が、緑の党のメンバーとして活動していることが分かります。国政選挙において8割を超す投票率にも反映されていますが、国民の政治に対する関心が非常に高く、普段の生活から「政治」にふれる機会が多いことが背景だと思われます。エリクソンさんとの話は、スウェーデンと日本の選挙制度や政治制度の違いにもおよびました。ジェンダーバランスや供託金、比例制に対する考え方もそうですし、大臣として入閣する国会議員は、議員を辞めなければならないという話にも驚きました。
スウェーデン緑の党が設立されたのは、1981年9月。70年代の反核運動を経て、1980年に行われた原子力発電に対する国民投票を組織した運動体が母体になったと言われていますが、環境意識の高い保守系の人々も参加してきたそうです。最初に挑戦した選挙は1982年でしたが、4%の得票率を得られず国政進出はなりませんでした。しかしながら、1986年にチェルノブイリ原発事故が起こり、比較的強い影響を受けたスカンジナビア半島において1988年に行われた選挙ではじめて議会に進出しました。欧州統合をめぐって当初は批判的な見方をしていたスウェーデン緑の党は、1991年に4%の得票率を割ってしまい、国会の議席を失ってしまいます。しかしながら、すでに各地に存在していた多くの地方議員にも支えられならが、1994年には再び議席を取りもどしました。2014年に行われた国政選挙では6.9%の得票率で25議席(349議席中)を獲得、副首相の他、いくつかの重要なポジションを得ることができました。
昨今、スウェーデンにおいてもワン・イシューを掲げる政党が多く立ち上がり、既存政党の票を奪う形で広がりを見せましたが、緑の党の会員数はコンスタントに増加してきたそうです。これは保守系や革新系と言った既存の政治的ポジションにとらわれることなく、「前に進む政党(これは世界中の緑の党のスタンスのようです)」として受け入れられ、また、気候変動の影響やバルト海汚染に対する危機意識から幅広い層に支持されているからだとしていました。
エリクソンさんは、スウェーデン緑の党の内部で組織担当となっており、他党との渉外なども担っています。野党時代には、イデオロギーの対立によってまとまれない野党を結びつける役割をスウェーデン緑の党が果たしたと語っており、現在の日本の政治情勢を考える上でとても示唆的な話で、緑の党の可能性も感じることができました。