【報告】ドイツ緑の党連邦議会議員ジルビア・コッティングウールさんと会談

【報告】ドイツ緑の党連邦議会議員ジルビア・コッティングウールさんと会談

緑の党共同代表 長谷川平和

  2014年7月17日(木)青山のオーガニック・レストランにて、緑の党グリーンズジャパンのメンバーは、同盟90/緑の党(以下、ドイツ緑の党)の原子力・環境政策スポークスパーソンである連邦議会議員のジルビア・コッティング=ウールさんと社会学者でありドイツ緑の党設立メンバーの一人でもあるヴォルフ・シュルフター博士とランチ・ミーティングの場をもちました。日本の緑の党からは共同代表の長谷川平和、前共同代表の須黒奈緒、脱原発担当の杉原浩司など5名が参加しました。ジルビアさんとは昨年12月にも都内でランチ・ミーティングを行っており、ドイツ緑の党との定期的な情報交換が実現しています。日本の緑の党からは、ここ半年の状況と、脱原発運動や統一自治体選挙への取り組みについて報告し、ジルビアさんからは、今回彼女が訪れた六ヶ所村の再処理施設や、ドイツの最終処分場探査の状況などについて情報交換しました。

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 六ヶ所再処理工場の建設は1993年に建設が始まりましたが、度重なるトラブルによって建設は遅れ、現在アクティブ試験状態となっています。その間に建設費用も大きく膨れ上がり、当初予定の7600億円から約3倍の2兆1930億円(2011年2月現在)になっています。国民の関心が原発再稼働に向かっている中、六ヶ所再処理工場では、2014年10月竣工のスケジュールにそって着々と準備が進められています。今回六ヶ所再処理工場を訪れたジルビアさんは、使用済み核燃料を出すことになる川内原発再稼働と六ヶ所再処理工場の稼働時期は原子力発電をベースロード電源とする安倍政権の路線と密接にリンクされているとの疑念を投げかけました。国民的な反対意見を無視して原発推進を突き進む政府にとっては、六ヶ所再処理工場の稼働成功と既存原発施設の再稼働は、原発回帰の象徴的な出来事として位置づけられる可能性があります。

 核燃料再処理施設における被爆影響は原子力発電所よりも大きく、原発1年分の放射能を1日で出してしまうと言われています。排気筒からは、トリチウムをはじめとする気体状放射能が放出され、六ヶ所村沖合3kmの海洋放出管からは、ストロンチウム、セシウム、プルトニウムなどの放射性物質が海に捨てられることになります(参考:原子力資料情報室)。ジルビアさんは、日本の緑の党も六ヶ所再処理工場稼働について、もう少し力を入れて運動を展開するべきだと述べました。

 他方、核燃料の廃棄物処理に関しては、昨年ドイツでは画期的な一歩を踏み出しています。高レベル放射性廃棄物の最終処分場を選定するための必要な手続きと行程を示した「立地選択法(Standortauswahlgesetz)」が施工され、これから議論も本番を迎えます。前回の報告でも解説しましたが、ドイツでは33人からなる高レベル放射性廃棄物処理施設委員会が設置され、2015年12月31日までに最終処分場の選択方法について決定し、2030年までには候補地を1~2箇所選定しなくてはなりません。この選定にあたり、議論を白紙ベースで行うために、これまで最終処分場候補地として緑の党が反対運動を展開してきた「ゴアレーベン」を除外しないという決断に対し、環境保護団体からは猛反発を受けたそうですが、議論を前進させるためにドイツ緑の党は今回のような決断をしたとジルビアさんは語りました。委員会の構成は、以下の図の通りです。

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高度に政治的な決定事項に関して、議長だけでなく、連邦議会議員や州政府メンバーにも議決権がなく、あくまで民間人で最終的な決断をするスキームになっています。この重要な決定事項に対して政治家が除外されてしまうのは、日本では考えられないことかもしれません。しかしながら、ドイツで脱原発を政府に勧告した倫理委員会などの経験から、一つの国民的合意形成のあり方をドイツは見つけたのかもしれません。

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なお、高レベル放射性廃棄物処理施設委員会は、連邦環境省に設置されているのではなく、日本の緑の党ではお馴染のベアベル・ヘーンさんが議長をつとめる連邦議会の環境・自然保護・建設・原子炉安全委員会の下に設置されています。この委員会をどこに設置するかという問題も、官僚やロビー活動などから保護するために必要なことだそうです。議事録等は下記ホームページで公開されています。

高レベル放射性廃棄物処理施設委員会 https://www.bundestag.de/bundestag/ausschuesse18/a16/standortauswahl