(保存用)政策⑤性による差別・抑圧のない 平等な社会へ

 

⑤  性による差別・抑圧のない平等な社会へ

 

現状と課題

性による差別の現状

日本の女性の経済的・政治的地位は国際的基準でみると極めて低い。世界経済フォーラム2011によると男女間のギャップは、経済分野では134か国中101位、政治分野も101位で総合的には131カ国中94位(世界経済フォーラム2011)です。女性の賃金は男女の半分以下、民間企業の課長以上は約7%、国の本省課長以上2%、女性国会議員の割合約15%、一方、パート労働の7割、介護や子育てといったおカネにならない労働の9割を女性が担っています。人口の半分を占める女性と男性の間にあるアンバランスな力関係が、性による差別や抑圧を生み出し、多様性を認めない生きづらさにつながっています。また政策決定の場に女性や高齢者、障がい者、外国人、子ども、性的マイノリティなど周縁化された人たちが圧倒的に少なく、政策決定に女性や多様な人々の経験や声が反映されていないことと深く関係しています。その結果が、いのちや生活より経済優先の社会システムを生み出してきたといえるでしょう。

性別役割分業による社会システム

あらゆる社会システムは、「女性」「男性」という性別に分けることで男性役割、女性役割を固定してきました。「男は外」「女は内」、最近では「男は外」「女は外と内」といった共稼ぎ世帯は増えてきましたが、家事育児は女性の役割という固定的性別役割意識は、いまなお根強く残っています。第1子誕生後、7割の女性が会社を辞めるのもその表れです。性別役割分業システムは、妻子を養うのは男の役割という意識や、男は強くといった「男らしさ」による男性の生きづらさをも生み出しています。働き盛りの男性の自殺者の増加や災害被災地での一人暮らしの男性の死の多くは生活者として自立していない結果ともいえます。性別役割分業システムは、男性から、子育ての喜びや生活者として生きる機会を奪い、男性の生き方にも大きく影響しています。

世帯単位から個人単位の社会システムへ

性を分けることで性役割を固定する性別役割分業システムは、男性が扶養者=稼ぎ主で、妻を被扶養者とする世帯を基本単位にしています。これが、女性差別、性的マイノリティ、非婚のシングルに対する差別など、さまざまな差別を生み出す要因です。

多様な生き方、多様性が尊重される社会をつくるためには世帯単位を個人単位に変えていくことが重要です。誰もが個として生きられる社会です。

性による差別や抑圧のない平等な社会をでは、性暴力やDVなど含め構造的な暴力のない、公正で、相互に助け合いながら、一人ひとりが可能性に挑み、誰もが生きる希望のもち、安心して「一人でも一人にならず暮らせる社会」を創造することです。

 

個別政策

  • あらゆる分野の性差別を撤廃するため「女性差別撤廃条約遵守プロジェクト」を政府に新設する
  • 介護・子育てなど女性の労働とみなされているケア労働の専門職化と処遇改善
  • 婚姻制度に依拠した性に不平等な制度(保険、年金、扶養控除)を中立な制度に変える
  • 所得税と社会保険の専業主婦控除の廃止
  • 母子家庭・父子家庭への行政支援、福祉制度の充実
  • 被害者が声をあげられる性暴力禁止法を制定する
  • DV防止法の改正・強化(接近禁止命令の延長、加害者の公的更生プログラムの確立、交際相手や性的少数者まで対象拡大など)
  • 義務教育の中で、性暴力予防教育の機会を設ける
  • 職場での、性的マイノリティや単身者へのハラスメントをセクハラとして認定
  • 精神保健福祉施設での女性や性的マイノリティへのいじめやセクハラ防止プログラムを導入
  • 性的自己決定を行使するための性教育を充実
  • 男性の育児・介護休暇取得の義務化
  • 安心して産み育てられる社会をつくる