(保存用)政策⑥子どもと未来を育む―「子どもの権利」が息づく社会と、地域が担う教育へ
⑥ 子どもと未来を育む―「子どもの権利」が息づく社会と、地域が担う教育へ
現状と課題
子どもの個としての尊重と子どもの現状に即した全国共通の最低保障の不足
年々増加している児童虐待の加害者の6割は実母、2割は実父との調査結果があります。「子どもの貧困」もやっと社会問題として明らかになりました。子どもは「親」を選ぶことができないからこそ、血縁の親や家族に限定的に依存・従属しない、個人に対する生存権の保障が必須であり、社会として育ちを支援する教育や保育、社会的養護など現状に即した子どもに関する最低保障がいかに不十分であるかがやっと認知されつつあります。
子ども期の育ちの場としてなくてはならない親密圏として、個を尊重し合える多様な家庭のあり方と、それを包み込む育みと支え合いの新しい地域コミュニティの創造が急がれます。保護者や教師、周囲の大人による、子どもに対する性的自律性の侵害や社会的ネグレクト(保護や支援を提供せず、失敗を責める)など性差別的取り扱いへの対策や、受容的な大人の見守りをまじえたピア・サポートやメンター(相談・助言)制度なども必要です。
子どもの権利の周知が進まず、全国一律の画一的な押し付け教育
また、日本の子どもの自己肯定感の低さと、日本社会の政治意識・市民意識がなかなか高まらないことは表裏一体の問題です。「子どもの権利条約」にうたわれている「自分らしく生きる権利」「意見表明権」を重視し、人権教育、政治教育や市民教育を導入し、大人と子どもの意識を変えていくことが必要です。
経済成長偏重の社会と連動した競争教育が子ども期の伸びやかさを奪い、社会の歪みや格差を拡大させています。また、普通科偏重の高校教育によって「働くこと」の学びの機会が失われていることなども指摘されています。
子ども自身も含む地域が、教育内容や学校運営に決定権を持つ制度や、人々がさまざまな地域活動に参加できる労働環境の整備も欠かせません。
個別政策
- すべての自治体への「子どもの権利条例」策定と「子どもの権利委員会」設置義務付け
- 社会のあらゆる場での決定過程・システムに子ども自身の参加と自己決定の権利を保障
- 行政措置や裁判所の判断に際して、当事者である子どもの希望を慎重に聞き尊重することとし、「子どもの代理人制度」を導入する
- 子どもの側にたった司法制度にするために少年司法における法律扶助事業を拡充し、被疑者に国選弁護人がつくような事件については、全件国選付添人(弁護人)を導入する
- 公立校の学校指定服の着用は子どもによる選択を認める
- 子ども・若者行政の位置づけの強化
- ケースワーカー、相談員、児童相談所職員などの増員と身分保障
- 保育士の雇用待遇の改善
- 一時保護施設の増設・充実
- 児童養護施設・自立支援ホームの増設、充実と教育機会への多様なアクセスの拡充
- 子ども本位の里親制度や養子縁組の普及
- 指標データを示して目標・達成状況を公表する「子どもの貧困」に対する法制化
- 虐待やネグレクトによる「家出」に対するピア・サポートシステムの確立
- 自分や友達の性被害、暴力被害・加害への支援情報を学校教育に組み込む
- 障害をもつ人の「自律的な性」を尊重する悩みの相談、特に知的障がい者への支援としてメンター制度を導入
- フリースクールの単位認定、学校教育法1条校制度の弾力的運用など多様な学びの場の保障
- 児童擁護施設の子ども達の大学進学率の改善
- 少年院での更生・社会復帰のための教育の充実
- 国際理解教育(開発教育)などにより、地球的視野を持つ子どもを育成
- メディアリテラシー教育における批判的視点の強調
- 模擬選挙の実施など政治教育や市民教育を導入し、政策決定過程への子ども期からの参加を進める
- 「日の丸」「君が代」の教育現場での強制を行わない。
- 環境教育の充実
- 高校の普通科偏重の是正