地域から始めよう!緑の政治 2014-15自治体選挙 「緑のローカルマニフェスト(仮)」 (第一次案)
2014年8月9日 緑の党・政策部
ローカルマニフェスト第一次案の提案にあたって
これは、2015年統一自治体議会選挙を頂点として本年から始まる各地の自治体議員選挙に向けた緑の党の地方自治体選挙政策公約集(全国標準版)の第一次案です。「基本政策」と対応(「3(経済)」「4(社会保障)」はローカルマニフェスト上は合体)した総覧的なものとして整理し、各候補の理念・政策の背景として位置づけられるものです。
内容についてはまだ表現や項目の具体性・構成が未整理で、政策チームでの検討や議論も十分ではないものも含まれていますが、今後、組織内外の意見や議論を受け、成案とします。
これと併行して、選挙の政治的な重要政策・争点として提示するための整理については、戦略的観点も加えて運営委員会等で議論していきます。
なお、これは全国的に共有可能なものとして整理したものであり、地域の実情に応じて完全に全て一致するものではないことを理解下さい。
策定にあたっての問題意識-地方政治をめぐる政治状況とローカルマニフェストの基本理念の整理
策定にあたっては、①経済的には「アベノミクス」、TPP推進などグローバル化と規制緩和の拡大 ②社会的には人口減少社会と地域社会の疲弊、社会保障削減と消費増税 ③政治的には特定秘密保護法やNSC法、集団的自衛権問題など「安保・軍事強化」「国家」優先、停滞する「地域主権」、教育への国家介入 など、地方政治の背景にある国家的な動向を問題意識に据えながら、①「人口減社会を豊かに生きる」持続可能な地域社会のあり方が一層問われる ②原発再稼働の動きに対し、自治体の環境・エネルギー政策 ③「お任せ民主主義」からの脱却と市民主権・市民自治の拡充、「国と対等な地方」の重視、といった点を主要な柱とし、各分野のNGOの主張なども参考にしながら整理しました。
今後のスケジュール(予定)
・ 8月 政策フォーラムで公表、HPに掲載、会員内外に周知、意見受け付け開始。できるだけ各地域・都道府県本部等で議論してもらう。
・ 9月中旬 意見受け付け終了。政策チームを中心に修正作業。
・ 9月末まで 適宜作業過程を公開しつつ、全国代表協議会で議論、合意形成へ。
・ 10月1日 「オープンテキスト」(それ以降も深化・発展するもの)として公表。
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1.緑の地域エネルギー政策 「持続可能なエネルギーの実現を地域から」
(1)市民によるエネルギー自治
自治体の8割が推進しているという再生可能エネルギー。しかし、乱開発による自然破壊や地域外からの資本参入によって、地元に資金が循環せず、地域産業の振興や雇用増加などにつながっていないのが現状です。このような問題を解決し、市民によるエネルギー自治を実現させるためには3つの柱を確立することが重要です。
①市民主体を原則とする市民自治基本条例
②再生可能エネルギーを地域住民共有の財産とみなす「地域環境権」
③市民参加型でのファンドのスキーム
そして、市民、地域行政、地場産業が合意できる自治体エネルギー基本計画を作成し、再生可能エネルギーを推進していく必要があります。また、自治体は市民の経験・情報不足を補うためにソーラー屋根台帳による情報整備を行ったり、地域の新電力会社設立など、市民が地域エネルギーのあり方を自分たちで決めていけるような場づくりをサポートしていくことが重要です。 【参考・補足等】
・ 飯田市の飯田市自治基本条例や「再生可能エネルギーを活用した地域づくりを目指す住民活動を支援する条例」における「地域環境権」の概念がある。
・ 市民発電ファンドについてはおひさまエネルギーファンド、備前グリーンエネルギー、ゼックなど株式会社形態をとるもの、北海道グリーンファンド、きょうとグリーンファンドのようなNPO法人、そして、横浜市など「市債」を発行して推進する自治体もある。
(2)自治体の省エネ政策
省エネ対策は、CO2削減に対して最もコストパフォーマンスの高い施策ですが、投資実行には資金力、情報、関心、組織構造などいくつかのバリアがあります。自治体の省エネ政策としては、まず巨大なエネルギー消費主体である自治体自身での節電推進を実施、その上で、グリーン調達の推進、エコリフォームへの助成制度、ネガワット創出支援などを行うべきです。
【参考・補足等】
・エコリフォームに関しては、世田谷区 、札幌市 、釧路市 、京都市、名古屋市なども実施している。大阪府には大阪エコリフォーム普及促進地域協議会 を中心とした取り組みもなされている。
・足利市では、家庭で節電できた電気ご使用量に応じてポイントを付与し、その発行ポイントを足利市金券“輝きチケット”と交換できる『節電エコポイント事業』を行っている。
・ドイツでは、エネルギーパスの導入、ISO50001導入した企業への税制優遇措置、高効率エネルギーであるパッシブハウスの普及が行われている。
(3)自治体からの脱原発
自治体からの脱原発宣言を目指します。分散型のエネルギー自治を促進し、地域の新電力会社の設立や原発フリーのPPSへの切り替えにより、地方自治体の脱原発を推進します。また、原発立地地域では、雇用を維持しながら円滑に産業構造転換を可能にするための脱原発プロセスをデザインします。国の原子力政策に関しては原発立地自治体やEPZ・UPZ圏自治体の連携を深め、意思決定に参加できるよう働きかけます。
【参考・補足等】
・ eシフトが脱原発・自然エネルギー推進自治体のMapを作成している。http://e-shift.org/?page_id=2884
・立川市は2010年から原発を持っていないPPS(電力事業者)から東京電力より安く電力を購入している。原発の危険性や高い発電コストを指摘し、競輪場から始め、現在では全ての小中学校や地域学習館、本庁舎など53の施設に拡大。新潟市でも同様の取り組みが進んでいる。
・一般社団法人日本原子力産業協会が行なった調査によれば、原子力関係従事者数は全国で約4万6000人であり、地元雇用比率はその内約4割の18400人である。一方、ドイツにおける再生可能エネルギー産業に従事する雇用者数は37万人と、雇用波及効果も再生可能エネルギーの方が格段に高い。
(4)自治体でできるCO2削減
自治体でできるCO2削減に関しては、上記の再生可能エネルギー政策の促進と省エネ政策の他にも、食の地産地消を促進することでも進められます。フードマイレージの導入やエコロジカルフットプリントなどの指標を自治体で導入することもそのひとつです。また地域交通網として、自転車を活用しやすい社会資本の整備やカーシェアリングの促進なども挙げられます。また、自治体における二酸化炭素排出量の定量化、一定の基準で価値を付与するポイント制度、クレジット認証、排出量取引などの制度化も検討されるべきです。
【参考・補足等】
地方自治体が設けた制度としては、北海道カーボン・オフセット活用型森林づくり制度、東京都の総量削減義務及び排出量取引制度(キャップ&トレード)、新潟県のカーボン・オフセット制度、大阪府の大阪府カーボン・オフセット制度、兵庫県のひょうごカーボン・オフセットなどがある。
(参照:http://archive.iclei.org/?id=12441)
(5)原子力災害対策
「原発ゼロ」実現までの間、原発の稼働の有無にかかわらず、廃炉プロセスも含めて事故の可能性を否定できません。実効性ある避難計画の策定は事実上きわめて困難であることを認識しつつ、住民の被曝を最小化するための防災対策が必要です。
また、明確な権限や根拠、十分な情報や基準、財政措置の無いまま自治体が原子力防災対策の策定を余儀なくされている現状を踏まえ、国と事業者に対し、徹底した情報公開、必要な財政措置、適切な責任体制の構築などを求めつつ、原発事故への対応にはきわめて困難な課題が山積していることを訴える必要もあります。
(6)脱被ばく施策・避難者支援策
福島原発事故による被害者・避難者への支援策が不十分な中で、基礎自治体の役割は重要です。市民や避難者に直接向き合う自治体は、「子ども・被災者支援法」の不十分な点や課題をもっともよく理解しているはずであり、具体化に向けて国に働きかけを強化しつつ、他の自治体と情報交換しながら、自治体が持つ制度や施設を活用した避難者への生活支援、子どもの保養プログラムの支援・促進、健康診断や官民の所有するWBCによる被ばく検査など、可能な支援策を先行して実施すべきです。
また、放射能汚染が確認されている福島県内や周辺地域では、第三者機関と地域住民参加による除染作業の計画・実施・評価、地域住民の話し合いと徹底した情報公開による除染廃棄物の処理が必要になります。
【参考・補足等】
・ベラルーシ本土で9箇所の保養施設があり、チェルノブイリの事故の影響を受けた子ども達の保養を行っている。保養施設のひとつ「希望」では1994年から2012年の18年間で6万人の子ども達が保養に訪れている。また、保養にかかる費用は国や海外の慈善団体による支援によってまかなわれ、法律には、地域の汚染度合いによって1年に1~2回無料で保養を受けられる権利が与えられ、保養地までの交通費も国から無料で支給されている(「環境とエネルギー・柏の会」のHPよりhttp://kankyoblog.seesaa.net/)
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2.緑の地域環境政策 「豊かな自然の恵みあふれる地域を子どもたちの手に」
(1)市民参加型の環境再生型公共事業
公共事業の中には、数十年も前に計画され、必要性が無くなっているにもかかわらず、行政が恣意的に選んだ委員で構成される審議会などの答申・評価を受け、継続されてしまうものがあります。
そこで事業計画策定時に一定の期間を設定し、必要性がなくなった公共事業が存続することを防ぐサンセット方式(自動失効規定)の導入、影響を受ける当事者、自然工法や生物多様性の専門家、建設反対の市民も集う場での徹底した協議や審議の枠組の制度化などによって、自然環境破壊を防ぐことが必要です。
【参考・補足等】
・サンセット方式が初めて導入されたのは1976年のアメリカ、コロラド州。日本では鳥取県が2006年に(公共事業ではないが)一般事業に採用。 http://www.clair.or.jp/j/forum/honyaku/hikaku/pdf/BunyabetsuNo18jp.pdf
・武庫川流域委員会での(反対派市民も含めた)委員公募。 http://www.gakugei-pub.jp/judi/semina/s0707/ta004.htm
(2)地域内の資源循環
一般廃棄物の処理方法は、リサイクル、堆肥化、埋め立て、焼却の方法がありますが、日本は8割を焼却する焼却大国です。生ごみや汚泥の微生物処理による堆肥化、地域でのリサイクルの実現によって運搬コストや焼却によるCO2発生を抑制すべきです。特に、企業から排出される廃棄物が有効活用されずに廃棄されていることも少なくないことから、自治体として企業と廃棄物のマッチングや誘導を行なうことによって、地域内での資源循環の促進を目指すべきです。
【参考・補足等】
・北海道北斗市による生ごみの分別回収と微生物堆肥化 http://www.city.hokuto.hokkaido.jp/modules/life/content0007.html
・公益財団法人岡山県環境保全事業団による循環資源マッチング
http://junkan.okix.jp/okayama3/contents/html/index.htm#
(3)生物多様性保全に向けた持続可能な農林水産業の推進
ネオニコチノイド系農薬は、ミツバチ大量死の原因とされ、生態系の破壊や人体の神経系への悪影響も指摘されている。EUでは使用禁止とする地域や国が増加していますが、日本では使用禁止に至っておらず、農薬だけでなく家庭用殺虫剤などとしても販売されています。
また、日本が年間約3000万トン輸入しているトウモロコシ、大豆、菜種のうち、約55%が遺伝子組み換え(GM)植物であると言われています(http://www.jkri.or.jp/PDF/2013/sogo_67_miishi.pdf)。
人体や生態系への危険性が払しょくされていないネオニコチノイド系農薬やGM食品が増加するなか、担い手不足の農林水産業は衰退し、日本の食糧安全保障は根底から揺るいでいます。
この状況を打開するため、都市・農村連携、援農、市民農園、いなか暮らし支援、農林水産業連携をはかり、安全な食べ物による地産地消・地域食料自給率向上を目指します。
【参考・補足等】
・長崎県ミツバチ連絡協議会 (養蜂家と農家が、ミツバチや農薬について協議) http://www.pref.nagasaki.jp/koho/hodo/upfile/20130705113952.pdf
・クラインガルテン(滞在型市民農園)ガイド http://garden.tank.jp/
・兵庫県宍粟市の給食(栄養士が中心となり、地産地消、無農薬、無添加、低コストを追求した給食体制を構築)
・参考:平成23年度 都道府県別食料自給率についてhttp://www.maff.go.jp/j/zyukyu/zikyu_ritu/zikyu_10.html
(4)流域単位での包括的な環境の保全と整備
流域は、気候や地形、動植物の分布、生活用水・排水、森林管理、水害対策と深く関わる単位ですが、行政的な経緯で設定されている自治体の境界は、多くの場合、これと一致しません。流域単位での包括的な水資源管理、森林管理、水害対策をスムーズに行うために自治体間で協議、調整を行う組織を設置し、包括的な環境の保全と整備を行う必要があります。
【参考・補足等】
・羽束川・波豆川流域水質保全協議会http://www.city.kobe.lg.jp/life/town/waterworks/water/suishitu/kyogikaijigyo.html
・北海道森林管理局 流域管理推進アクションプログラムhttp://www.rinya.maff.go.jp/hokkaido/policy/business/action/
・ 参考:筑波大学流域管理研究室 http://ryuiki.agbi.tsukuba.ac.jp/
(5)環境起業への融資・優遇措置
公害防止研究、汚染処理技術開発に取り組む起業家や研究者への融資や助成、減税措置を目指します。
【参考・補足等】
・石川県「環境にやさしい企業活動のための支援措置要覧」
http://www.pref.ishikawa.lg.jp/kankyo/pp/handbook/documents/sankou.pdf
(6)動物福祉
飼い主のいない犬猫などの殺処分ゼロを目指すとともに、地域の家庭、動物園、教育・研究施設、野生環境で生きる動物の福祉の観点を重視した施策の充実を目指します。
①従来の殺処分中心の施設から、一時保護施設やアニマルシェルターなど、動物に優しい施設への転換。
② 飼い主のいない犬猫や地域猫などの問題の背景にある課題の理解や啓発、不妊去勢施術への補助の充実と多頭飼育の規制強化
③ 動物取扱業者への立入調査強化(都道府県)
④ 人と動物両者の安全の確保のため、個体識別率の向上や特定度物飼養施設の定期的な立ち入り調査、逸走時に迅速かつ的確に対応するため市町村と都道府県や警察間での情報共有
⑤ 実験動物飼養施設の届出制の確立や立入調査の強化(都道府県)。
⑥ 畜産動物の飼養保管基準や「アニマルウェルフェア指針」の周知・徹底。
⑦ 野生動物による農作物被害問題については、持続可能な第一次産業や里山・里海との共生の観点で、できるだけ動物の犠牲を最小限にとどめる対策を検討。
⑧ 学校施設での動物飼育については動物福祉の観点から抜本的に見直し、動物の種の特性や多様性、命の大切さなどの教育を重視。
⑨ 東日本大震災の経験を踏まえ、ペット・畜産動物・実験動物・学校飼育動物など全ての動物についての災害対策を図る。
【参考・補足等】
・犬猫殺処分数についてはNPO法人ConoasSが「年間30万匹」という数字を公表(http://www.conoass.or.jp/situation/)し、環境省も「年間17万匹」としている(https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/statistics/files/h23_dog-cat3.pdf)
・ 日本では動物取扱業者は登録制になっているものの、EU諸国や米国、台湾等で動物取扱業者は免許制になっており、本来、国の法改正が必要となる。自治体においては、こうした法制度の遅れが無責任な飼育や多頭飼育崩壊の背景にあることを理解し、実行可能な範囲で動物福祉を重視した施策の充実を図る必要がある。
・ 動物の福祉の指標となる原則として国際的に「①飢えと渇きからの自由 ②肉体的苦痛と不快からの自由 ③外傷や疾病からの自由 ④恐怖や不安からの自由 ⑤正常な行動を表現する自由」の「5つの自由」が提唱されている。
・ 動物取扱業の抜き打ち検査などはいくつかの県で行なわれているが、少数にとどまっている。また、実験動物飼養施設については実態把握すら全く進んでおらず、条例で届出制をとっている静岡県・兵庫県のみが定期的な立入調査を行なっている。
・ 多頭飼育の規制を自治体の動物愛護条例に取り入れることが必要。現状では各自治体で対応がばらばらとなっている。
・ 野生動物については、千葉県、滋賀県等が生物多様性維持の観点を施策に盛り込んでいる。
・ 「新潟ワイルドライフリサーチ」(http://blog.goo.ne.jp/wiron_2011)は新潟県における野生動物による被害防除について、捕獲・殺処分なるべくせずに済み、農業従事者・行政・猟師による地域ぐるみとなった害獣対策ノウハウを提供している。
・ 教育現場では十分な技術や知識の無い中で、種の特性を無視し、「ふれあい」のみを重視した動物飼育が行なわれる傾向にあり、動物福祉の観点が欠けている。
・地方自治体による動物愛護活動については獣医師広報板の資料(http://www.vets.ne.jp/government/pc/)などがある。
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3.緑の地域経済政策 「人口減社会を地域で豊かに生きる」
海外市場の拡大に依存する経済成長戦略に反対し、21世紀型の環境・再生可能エネルギーと医療・介護・教育と食(農業)の分野で、地域に新しい企業と雇用を創出します。
(1)再生エネルギーの地域産出で雇用を創出
ローカル・小規模な太陽光発電、風力発電、小水力発電、地熱発電、バイオガス発電事業で仕事づくりなどに取り組みます。
【参考・補足等】
・再生可能エネルギー業界での雇用者数は、ドイツ連邦環境省によれは38万人以上になった。その内訳は、11万1000人が太陽光発電、バイオマスが約12万4000人、風力エネルギーが10万人強等となっている。
(2)循環型地域経済の推進
エネルギーや農産物の地産地消など、地域内で、モノ・サービス・資金が循環する仕組みを作っていきます。
① 地域の豊かな資源を活用する仕組みづくり
自立的な農業・林業・漁業を復興、特に食糧自給率を高めるような農業の推進など日本の一次産業を重視し、地域の雇用や消費につなげます。
② TPP・経済グローバル化に対抗します
地場産業や地域の特色を生かした農林水産等の地域産品を地域で消費する仕組みを推進し、地域内での資金循環を促進します。
③ 地域の多様な担い手で医療・介護・子育てを支える
少子高齢化を迎え、需要の高まる医療、介護、保育等への投資を重点配分し、命を大切にし、働き甲斐のある雇用ビジネスを促進します。
(3)地域で資金が循環する仕組みの促進
再生可能エネルギービジネスを行うことの最大の障害は、資金調達が難しいといわれている中、お金に「志」を持たせ、地域発のビジネスを応援します。
①地域金融機関に中小企業や小規模事業者の事業の将来性に着目した融資を促し、中小企業支援策へソーシャルビジネス型の市民ファンドやNPO等の追加を促進します。
②NPOバンクや市民ファンドを応援する仕組みづくり
③自治体調達(発注事業・物品等)における地域業者・資機材・人材活用を進めます。
(4)自治体の財政改革の推進
①地方自治体の財政運営が厳しい中、歳入・歳出のみならず、複式簿記による貸借対照表(バランスシート)、公共施設の利用率・コスト・老朽化度などを可視化する「財産白書」、より実情を反映した財政見通しなどを作成し、自治体財政の健全化、公共施設の再編・見直し・コスト削減、無駄な事業の削減に向け、市民自身が市民のための事業の選択や予算組み換えを選択していく仕組みづくりを進めます。
【参考・補足等】
・総務省自治財政局 http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01zaisei07_02000083.html
・東京都会計管理局
http://www.kaikeikanri.metro.tokyo.jp/kaikaku.htm
・市有施設の運営コストや利用状況などを「施設白書」で公開する取り組みが始まっている。秦野市(http://www.city.hadano.kanagawa.jp/saihaichi/koukyousisetusaihaiti.html)や新潟市(http://www.city.niigata.lg.jp/shisei/zaisan/hakusyo25.html)
・新潟市の新年度中期財政見通しではより現実的な各推測指標や生産年齢人口の変化なども考慮したものに修正した(URL未)
・岐阜県多治見市では「多治見市健全な財政に関する条例」を定めて財政に関する原則を定め、「複数年度でバランスの良い財政運営をする」という目的を明確にした(参考:http://www.city.tajimi.lg.jp/gyose/sedo/sesakuzaimu/seitei.html)。
・和光市健全財政運営条例http://www.city.wako.lg.jp/home/shisei/_13207/kennzennnazaisei.html
②地域のインフラや事業が相互に連携・循環する仕組みで、将来世代負担と環境負荷の軽減に取り組みます。
【参考・補足等】
・フランス緑の党などの政策の研究者でもある真下俊樹氏が地域経済の循環・連携についてレポートした資料参照 (http://www.jca.apc.org/nnpp/nakayama/LocalGreenNDbyMashimo.pdf)
③地方版の環境税制導入によって環境を改善するとともに、得られた税収を社会保険料の軽減に用いて事業主負担を軽減、その分で雇用を増加させます(自治体の権限について未整理)。
(5)公正な働き方を実現する
①同一労働同一賃金を先ず地方公務員から
民間企業を含む社会全般おいて、同一労働同一賃金を実現する必要があります。まず、自治体が主体的に責任を持って実現できる自治体の非正規職員の雇用労働条件の抜本的改善に取り組みます。
②公契約条例の制定と実施
自治体の事務・事業の外部委託が進む中で、指定管理・外部委託事業者等の職員の雇用労働条件を抜本的に改善するため、事業を受託した業者に雇用される労働者に対し、自治体が指定した賃金の支払いを確保させることを規定した公契約条例の制定を推進します。
【参考・補足等】
・公契約条例は公契約にかかる業務に直接・間接に従事する労働者の最低賃金額を自治体が定め、この賃金額遵守を公契約締結の条件として受託事業者に義務づけることを主な内容とするもの。公契約条例による最低賃金規制は、最低賃金法による賃金の一律規制と異なり、あくまで契約当事者間の合意に基づく規制であり、これまで元請業者からぎりぎりの単価で仕事を請け負わされ、最低賃金すれすれの賃金しか支給できなかった中小零細事業者にとっては、従業員に支給する賃金額を上昇させることも可能になる(埼玉弁護士会意見書より要旨抜粋)とされている。千葉県野田市(2009年9月)、神奈川県川崎市(制定年月)、東京都多摩市(制定年月)などで制定されている。
③ 労働基準法の適正運用
(自治体での具体策検討中)
(6)国・自治体の税制体系や配分率、公正な税負担のあり方へ向けた見直し
自治体の財政の構造的問題として、制度的・政治的に、国の裁量や判断に拘束されている(交付税制度や国税における財源の配分率、実際の交付の運用の問題などに加え、直近では公務員給与の削減と交付税配分をリンクさせる安倍政権の姿勢など)、今後の人口減・高齢化社会を迎える中で多くの自治体(特に弱小自治体)が必要な社会保障施策を展開するのに大幅な財源不足に置かれている、等の問題があり、本来、国-自治体の税制体系や財源問題の抜本的見直しが必要です。
これは国の法制度改正が必要な課題であるとはいえ、地方政治の最も重要な基盤に関わる点であり、自治体から声を発することが重要です。
① 税・財源に関わる提言
地方財源の充実(地方消費税の配分割合の拡大など)、法人税体系の見直し(法人税は国税への配分が約9割となっているが、法人の経済活動を地方自治体も支えているという側面から考えれば、この配分割合の見直しも要検討)などを提言します。
② 臨時財政対策債の発行抑制(発行抑制を明言する自治体の例を追記する)
③ 環境に配慮したインセンティブ税制
2009年度から、一定のリフォーム工事について、ローンを組まずに自己資金で行なっても所得税の還付が受けられる減税制度(投資型減税)が導入されました。地方でもエコ耐震リフォーム減税を検討します。
【参考・補足等】
・国の投資型減税、ローン型減税の地方自治体での採用を提言
http://www.refonet.jp/csm/info/fund/
(7)地域交通のモビリティマネジメントを強化
①過度に自家用車に頼る状態から、地下鉄・JR・市電・公共バス等の公共交通の利用や徒歩を促進、環境に配慮していきます。また住民の自己啓発を促進。
【参考・補足等】
・「モビリティマネジメント」:車からのCO2排出は気候変動の大きな要因となっており、過疎化や高齢化の影響で交通弱者が増加していることから、地域の現状に応じた環境負荷の少ない公共交通政策が必要となる。地域の交通の現状と課題を調査し、当事者とのコミュニケーションを通じて、パークアンドライド、自転車利用インセンティブ、オンデマンドバス導入などの多様な交通政策を進めることをモビリティ・マネジメントという。モビリティ・マネジメントによって、個人の健康づくり、渋滞解消などの地域の交通問題解決、世界的課題の気候変動防止の実現をめざす。
http://www.city.sendai.jp/kankyou/kikaku/shingikai/images/2202bukai05.pdf
・札幌市 エコ通勤チャレンジャー、地域の足確保プロジェクト CO2削減効果あり
・宇都宮市 モビリティマネジメント実施方針策定
②高齢社会の到来を受け、高齢者・障がい者等移動等の円滑化の促進に関する法律(バリアフリー新法)を実施すべく、バリアフリーな公共交通インフラの整備をします。
【参考・補足等】
ノンステップバス、駅構内の段差対策促進、点字表示の増加等
4.緑の地域社会政策 「性による差別・抑圧のない平等な地域社会へ」
(1)ジェンダー主流化を目指すために
①202030(指導的地位に女性が占める割合を2020年までに30パーセントにするという国の目標)の実現を地域から。(ローカルマニフェストとしての数値目標設定することも検討。「202035」とか)(安倍政権は女性の活躍を支援する企業への補助金、公共調達での優先を打ち出しており、自治体でも可能。)
②あらゆる政策・意思決定過程への女性参画
③自治体ごとの男女平等条例の制定
④男女共同参画室を企画政策的な各自治体の中心部に設置し、各自治体のあらゆる計画に男女共同・平等の観点を盛り込む。男女共同参画行動計画に目標年度と達成目標を盛り込む。
⑤審議会、教育委員選定の際に女性の委員数を半数に近づける。
⑥防災・復興計画への女性の人権の視点や意思決定過程への参画を促進
(2)ワークライフバランスの真の実現にむけて
①公契約条例、総合評価方式入札等により、女性の正規雇用を増やし、非正規労働者の労働条件を改善する。
②パパクオータ制導入や男性育児休暇取得の推進など。次世代育成行動計画(市役所版、企業版)に数値目標を設定(LMとしての共通目標地を設定必要)する。
【参考・補足等】
・男性育児休暇取得を民間事業者に拡大する自治体施策として、取得した労働者や雇用主に対する補助制度を運用しているところがある。都道府県では複数あり、政令市では新潟市・札幌市など。例えば新潟市の制度は下記参照
http://www.city.niigata.lg.jp/shisei/gyoseiunei/hojyokin/gyoseikeihi/shiminseikatsu/kyodosankaku/25ikujishoreikin.html
(3)女性の自立のために必要な支援策の充実を
①女性相談・女性センターの人員、予算充実。民間の緊急一時保護施設に関する支援を厚くする。
②母子保健、学校教育、社会教育の場において、リプロダクティブヘルス&ライツに基づく性教育の充実。
③母子生活支援施設の人員、施設、予算の充実。
④ひとり親家庭に対する支援(相談窓口、家賃等補助、就労、ホームヘルプサービス、各種減免等)の充実。
⑤高等技能訓練促進費事業、自立支援教育訓練給付金事業の拡充
5. 緑の地域子ども政策 「子どもの権利」が息づく地域社会へ」
(1)子ども自身があらゆる場での決定過程に参加する地域社会へ
① 国連子どもの権利条約に基づく、「子どもの権利条例」を自治体ごとに子ども参加で策定する。条例の推進状況をチェックする第3者機関の子どもの権利委員会、推進計画、救済措置は必ず盛り込み、周知する。
(2)支援を必要としている子どもたちのSOSへの対応拡充
①子どもの権利にもとづく相談窓口として、「子どもの人権オンブズパーソン」の設置。
②学校設置型スクールソーシャルワーカーを導入して、福祉と教育をつなげて子どもの支援をおこなう。
③社会的養護を必要とする子どもへの支援策の拡充。都道府県ごとに自立支援ホーム設置を拡充する。児童養護施設退所者の相談窓口を充実する。
④里親制度や養育制度の周知と支援。SOS「子どもの村」のような里親の村を各地に創設する。
(3)子ども・子育て支援新制度の見直しと自治体の対応策
①各自治体の「子ども子育て条例」は子どもの権利をベースに作成、児童福祉法第24条に沿って見直しする。
②子どもに寄り添った保育環境を整えた待機児童対策が必要。待機児解消は認可保育園の増設や質のよい保育を実践する認可外保育施設への補助充実で対応する。十分な時間と資料を備えた「子ども・子育て会議」を実施し、市民との意見交換を重ねて地域事情にマッチした保育計画を作る。
③子ども家庭支援センターを小学校区域ごとに創設。学童保育所、保育園、幼稚園、児童館等、地域の子ども関係施設を使用し、子育て支援の相談窓口を身近な場所に設置する。
④家庭で育てられる子どもにも保育を受ける権利の保障を。
⑤現在の保育基準は最低ラインとして維持し、さらに充実させる
(4)「子どもの貧困」対策
①子どもの貧困率の把握、実態調査を自治体ごとに進め、「子どもの貧困対策法」を有効に活用する。
②生活困窮者自立支援法の学習支援事業を利用し、地域の支援団体とつながりながら充実して、不登校の子どもたちへの支援など子どもの持つ力を育てて貧困の連鎖を防ぐ。
③就学援助の認定率をアップする、教材費などの適用範囲を拡大するなど、生活保護基準引き下げの影響を被らない措置をする。世帯の所得を問わない高校無償化を復活。高校生にも就学援助制度を創設する。
④自治体ごとの給付式奨学金の拡充。
⑤子どもが20歳になるまで児童扶養手当と遺族年金の支給を
(5)「子どもの権利」をベースに置いた教育の実現
①式典等で教育委員会による「日の丸君が代」の押しつけをさせない。子どもと親と教員で作り上げる卒入学式を復活。
②子どもの権利が活きづいた学校づくり。子どもの権利条約、条例の学習を進める。意見表明権を十分に活用し、子どもが主体で意見が反映される学校運営を行うことで、いじめ等を防ぎ生きる力を養う。
③インクルーシブ教育の充実。特別支援員等を増員し、通級教室を増やし、どのような状態の子どもであっても同じ場で学べる環境を整える。
④教科書採択のルールを透明化する。できる限り市民に開かれた教科書採択とするため、調査研究資料の公開、図書館等での教科書展示などを徹底する
6.緑の地域の福祉政策(仮題) 「基本的人権を保障し、公正な働き方や暮らしを確保する地域社会へ」
多様な個性、多様な民族的背景を持った市民が、公正に扱われ、社会の意思決定に参加できる社会。そのような社会は、自然を酷使することもなく、すべての人にとって暮らしやすい社会となるでしょう。緑の党は、すべての市民が、それぞれの個性を生かせる、ゆったりとした社会を目指していきます。
(1)貧困対策(整理不十分)
① 水際作戦など生活保護行政の違法な運用を許さない
② 貧困生活者への住宅支援
(2)福祉施策の充実(検討整理不十分)
① 福祉施策を決める各種審議会・委員会への当事者委員の参画を進める
②地域の市民力やインフラを活用した福祉施策の充実
(3)「公正な働き方」についてはの「3」の地域経済政策の「(5)」を参照
(4)障がいを持った人が地域で暮らす権利を確立する
① 障がい者雇用の拡大
・自治体での雇用拡大
・自治体発注事業における評価への反映
②障害者権利条約の批准に伴う条例策定に、当事者と市民の声を反映させる
③生活の場から隔てられた遠い場所にある施設から、地域で暮らすための住居や職場に予算配分をシフトする
④ 障害のない子もある子も希望に応じて分け隔てなく共に学べるような学校環境を整える
⑤罪に問われた障がい者が、適切な福祉支援を受けられるよう福祉、精神医療、法律家等のネットワークを確立する(分量バランス考慮必要)
【参考・補足等】
・刑務所に収容される人のかなりの比率が知的障害を持った人であり、こうした人の再犯を防ぐために必要なのは処罰というよりは福祉的ケアであるが、現状では、そのような態勢が必ずしも整備されていないため、刑務所が福祉施設を代替する結果になってしまっている。
例えば、デンマークにおける触法知的障がい者への支援が参考。また、国内における研究としては、http://www.jcps.or.jp/tumitobatu/#03の古川論文など参照
⑥公共施設や公共交通機関のユニバーサル・デザイン化(誰でも利用できるようにすること)を進める。特に公共交通機関の少ない地方では、障がいを持った人を含め誰でも移動の権利が確保できるよう、公共交通機関の整備もあわせて行う。
⑦手話・点字はひとつの言語文化でもあり、社会全体や教育現場で手話・点字の使用を推進。
(5)多様な民族の市民が各自の文化を尊重する権利を確立します(自治体権限について整理必要)
①外国系の子どもたちが公教育において母語と日本語の双方を十分学習できる権利を保障し、民族学校、外国人学校を含む多様な教育の機会を保障します
②先住民族の文化享有権の内容として、民族の文化・言語の教育を受ける権利の保障が必要であり、その前提として、言語や文化の研究を推進します。
③表現の自由に十分配慮しつつ、条例などでヘイト・スピーチへの規制を検討します
(6)その他
① 学校教育の中での人権カリキュラム、消費者教育の拡充
7. 緑の市民自治政策 「主権者である市民が政治を担い、行政と議会を動かす、市民の自治体へ」
(1)市民が行政をコントロールする地域社会へ
①市民がつくる自治基本条例の制定と拡充
市民自治を地域で実現するためには、主権者である市民の意思で自治体を運営する仕組みが必要であり、自治体の憲法といわれる自治基本条例の制定が不可欠です。自治基本条例には、市民の権利と首長・行政および議会の義務を明確に規定します。
②予算策定に市民の参加
どのような政策も予算の裏付けがなければ実行できません。市民自治の基本は、自治体のお金の集め方・使い方を市民の意思に基づいて決定するという財政民主主義にあります。自治体運営に市民が参加するために、予算案編成過程の公開と市民参加を推進することが重要ですが、まだその取り組みは一部の自治体にとどまっています。予算案編成過程の公開と市民参加の制度面での整備およびそれを活用できる市民の自治力を向上させる施策が必要です。
【参考・補足等】
日本における予算案編成への市民参加の代表的な事例として3つのタイプがある。(ア)予算編成過程を公開する(鳥取県が2003年6月から開始、その後いくつかの自治体で導入) (イ)自治体とは別に市民が自治体予算全体の見直しと予算案作成を行なう(埼玉県志木市が2004年度から「市民委員会」による予算編成をおこなっている) (ウ)市予算のうちの一部を自治体内の地域に交付し、市民が地域予算を編成する(三重県名張市「ゆめづくり予算制度」)など。
③教育委員会の民主化
政治権力が教育を支配しようとする動きが加速する中で、憲法と子どもの権利条約の立場で教育行政を行う民主的な教育委員会に変えていくために、教育委員の公選制などの抜本的な改革をすすめます。
(2)市民が議会運営に参加する地域社会へ
①議会基本条例の制定と拡充
議会への市民参加を強めるため、積極的な情報の創造と公開、議会の政策活動への多様な市民参加の推進、議員間の自由な討議の展開、公正性と透明性の確保などについて定めた議会基本条例の制定と拡充をすすめます。
【参考・補足等】
北海道栗山町議会基本条例(2006年5月制定)に始まった議会基本条例制定の動きは進み、すでに都道府県議会の過半数、市議会の3割以上が議会基本条例を制定している。しかし、議会報告会への参加者が拡がらない、議会に関心を持ってもらえないなどの課題をかかえている自治体は少なくない。
(3)市民が公共をつくる地域社会へ
①提案型公共サービス事業委託の実施
人口減少社会を迎える中で、地域の公共サービスの質を向上させるために、行政がやっている事務・事業を対象に提案を公募し、最も質の高い提案をしたNPO・地域組織・企業などに事業を委託する制度を推進します。
【参考・補足等】
千葉県我孫子市(2007年度~)
兵庫県尼崎市(2013年度~)
②地域自治組織の改革
地域課題解決の主体である地域コミュニティの崩壊が進行する中で、地域のことは地域自らが考え、決める、真の地域主権の実現を目指し、地域自治協議会などの新しい地域自治組織の実現を推進します。
【参考・補足等】
三重県名張市「地域づくり委員会」「地域予算制度」
兵庫県朝来市「地域自治協議会」
大阪府豊中市「地域自治システム」
③市民事業の環境整備
持続可能な地域社会を実現するためには、NPOや地域団体などが市民事業やSB(ソーシャルビジネス)を継続的に行える環境を整備する必要があり、特に資金調達、人材育成、拠点施設など経営資源を確保する面での支援を充実させます。
8.緑の地域共生・平和政策 「共生と平和に貢献する自治体へ」
(1)多文化共生地域社会へ向けた施策(「6」項と一部重複)
在住外国人は地域社会を構成する一員であり、地域の経済や文化の担い手でもあります。また、東アジア地域の平和が不安定な中で、地域社会における在住外国人との信頼感の醸成や相互理解・交流の拡大は、東アジア地域の平和と安定に必要な要素のひとつとも言えます。
地域における多様な国籍・民族に属する人々の言語や文化を互いに受けれ、自治体としても在住外国人などが抱える制度的な障壁を可能な限り低くするような施策を展開することによって、豊かな多文化共生地域社会を構築する必要があります。
(2)旧来型姉妹都市から21世紀型都市連携へ
観光や商業交流、自治体幹部同士の往来などにとどまっている旧来型の姉妹都市のあり方だけでは、今日の国際社会が抱える課題に対応できません。環境・平和・人権など、今日的な課題を観点とした多角的な国際都市間の共同連携などを積極的に図り、自治体が21世紀型国際課題の解決を担う主体となるべきです。
【参考・補足等】
・「平和市長会議」は全世界5000以上の年が参加する会議で、「戦争、とりわけ核兵器によって多大な被害を受け、犠牲を強いられるのは、ヒロシマ、ナガサキが示すように、都市」であると認識し、国連への働きかけなど積極的な核廃絶運動を展開している。
・また、核大国アメリカ国内1200の自治体で構成する「全米市長会議」は、「平和市長会議」の提案や核廃絶方針を全会一致で度々議決している。
(3)「市民の安全を守る」立場を堅持し、「国策」への対抗施策を
日本の対外周辺諸国との対立は、沖縄をはじめ全国の基地周辺自治体にさらなる負担強化や負の影響を与える可能性があります。また、「集団的自衛権」行使容認の閣議決定は、武力攻撃事態対処法などの改正や解釈変更によって、自治体に「有事対処への貢献」をより積極的に果たすことが求められる可能性もあります。
しかし自治体は、その中でも、「国家と市民の利害が対立する際は市民の側に立つ」という基本姿勢を堅持して、自治体の主権と権限を活かし、国策に対して必要な対抗施策を取る必要があります。
【参考・補足等】
・1945年8月、原爆投下の可能性のあった新潟市は国の方針には逆らう形で新潟市民の疎開を決定、実行に移した。当時県知事は官選であったにもかかわらず、市民の安全を優先した特記すべきエピソード。詳しくはhttp://green.ap.teacup.com/nakayama/121.html
・集団的自衛権行使容認などに象徴される安倍政権の安保軍事政策に伴う有事法制改正・整備が予定されているが、これまで有事法制に基づく個別の手続に関する法制度が未整備であったため、自治体への影響・波及についての関心は低く研究者や報道機関の分析も不十分。自治体は有事法体系に取り込まれる当事者として必要な発言・問題提起をしていくべき。
・アメリカ軍の艦船に対し「非核証明書」の提出を求め、実質的に米軍艦船の入港を阻んでいる「神戸方式」などがある。「日米安保」は絶対不可侵なものではなく、軍事対立と緊張の中で自治体の権限で市民の安全を守るための施策を模索すべきである。