【報告】グリーンズカフェ:守田敏也さんに聞く―戦争と原爆と原発と放射線被曝の…
戦争と原爆と原発と放射線被曝のつながりを
「内部被曝」から捉えよう!
― 守田敏也さんに聞く *チラシはこちら
日 時 8月14日(金)
場 所 緑の党グリーンズジャパン事務所
【動画】 http://youtu.be/YxC0TXMWdSU
【報告】 8月14日夜、緑の党東京都本部と社会運動部共催のグリーンズカフェを開催しました。守田さんは、 2時間たっぷり、かなりのスピードで、盛りだくさんな内容をお話してくださいました。「話したかったことは話せたと思う」とのことでした。
主な内容を報告します。
- 東京都の特に東部から北関東はホットスポットが点在、多くの人が実際に被曝の影響と思われる様々な体調不良に見舞われている。出産時に先天的な障がいを持つ赤ん坊が複数生まれている。子どもたちの甲状腺癌は明らかに多発。これから爆発的に増えていくだろう。特にあまり指摘されていない若い人の心不全や心筋梗塞など心臓疾患が原因の突然死が急増、また男性に前立腺癌の急増も。データはすべて直接連絡を受けたものも多い。
- チェルノブイリ原発事故影響、その後のウクライナ政府の調査では被曝地の子ども達に8割の健康不良。第2世代の慢性疾患は92年調査の21.1%から2008年調査で78.2%と増加中(資料参照)。
- 「放射能をこわがるのはカッコ悪い」という言葉が福島のある中学校で流行っていると聞いた。こうした刷り込みは、原爆を落としたアメリカの被害を隠す目的で行われた世論操作が大元。1945年9月にプレスコードによって原爆報道を禁止し、放射線被害を初期放射線=半径2キロ1秒以内に地上に到達したものによるものと限定した。内部被曝を認めなかった。アメリカのABCC(原爆傷害調査委員会)は(治療すると状態が変化するので)治療はせず、死亡時に遺体を遺族から買い取って解剖した。原爆投下もその後も調査も人体実験だ。日本人の医師には「治療しても公言しない、研究しない」よう通達、被爆医師の肥田舜太郎先生は脅迫を受け逮捕されながら被爆者に寄り添った。「被爆者が隠れるように生きて行くことを強要された」。
- アメリカは核戦略を推進するために大気圏内核実験を必要としていた。内部被曝で甚大な健康被害が出ることがわかっていたが、これを隠蔽、無視、過小評価して核実験を強行した。これに対する世界的な批判が高まるとAtoms for Peace=核の平和利用を推し進めた。
- 原発は被曝影響を過小評価しないと成り立ない。被曝労働者を増やすためだ。安全のために必要なのは「再稼働をさせないこと」。
内部被曝は臓器によってもあたる場所によっても影響が違うので本来正確に測ることなどできない。このため単純な換算は論外。特にシーベルトとベクレルの換算はあてにならないのでしてはならない。 - 原子力規制委員会は原子力政策が311以前「重大事故(もともとは過酷事故)」を想定せず対策ができなかったことから、重大事故は発生しうると考え、可能な限り対策すると開き直って主張。しかし本来は、重大事故を前提とすること自体、放射性物質を閉じ込める設計想定で認可されたプラントとして「破綻」している。今日の午後は後藤政志さんとそのテーマ(川内原発再稼働)で対談。
https://www.youtube.com/watch?v=TKJNkgNOgaI&feature=youtu.be
格納容器にベントがあることが根本的矛盾だ - 原発産業はその活路を海外への原発輸出に見出そうと必死。今年4月のトルコ・シノップ(日本の原発輸出予定地)訪問報告。放射能汚染に対して危機感を持った市民と共に行動。持続して連絡を取り合っていく。このフラッグもお土産、いつも話すときにはこうやって見てもらっていて、シノップやトルコの人たちが喜んでくれる。(写真参照)
- 兵庫県篠山市原子力災害対策検討委員会に参加し、あらゆる災害に備える具体的な提案をしている。
災害社会工学の片山敏孝さん(http://www.ce.gunma-u.ac.jp/bousai/member.html 集英社「人が死なない防災」)の授業を受けた釜石の中学生が311津波で即座に避難を開始、人々を避難に引き込みながら小学校や保育園の子ども達を高台へ誘導して多くの人の命を救った。「釜石の奇跡」。人が避難に移ることを阻む「正常性バイアス」ほか防災心理学の知見を知り、逃げることをちゅうちょせず、とっさに行動するためにも避難訓練が重要。1週間分の備蓄を心がけて。都会人は命が危機に瀕した経験がない。そのためそのときの心構えができていないので正常性バイアスにかかりやすい。
日本は自然災害に弱い。東京・横浜は水害で世界1危険とスイスの保険会社が世界600都市の比較から指摘している。大阪・神戸4位。名古屋6位。元東京都職員は日本を攻撃するのに軍隊も核兵器も不要、大潮の満潮時にゼロメートル地帯の堤防を破壊すれば日本は機能不全になるという。国際社会は今「気候変動」が最大の脅威となっている。 - 日本は火山国であるにもかかわらず研究が浅く、例えば火山学者はイタリアでは600名いるが日本は40名。その提言(火山の噴火は予測できない)を無視して川内原発は再稼働となった。行政に任せず自分で知識を持ち行動する、災害に対する能動性を身につけ、災害に強い個人と社会を。あらゆる災害で最も重要なのは「とっとと逃げる」こと。そのためシミュレーションをし、あらかじめ行動予定を家族等で共有。
原発事故では放射性ヨウ素飛来に備えて個人的にも行政単位でも「ヨウ素剤備蓄」を。原子力災害対策検討委員になっている篠山市(高浜原発から50キロ)に対し「原子力災害対策計画にむけての提言」を行った。市長の理解が早く全市民に事前配布を決めた。ぜひこれを雛形に全国で自治体のヨウ素備蓄を働きかけよう。http://www.city.sasayama.hyogo.jp/pc/mayor/diary/post-826.html
* 日本全国の原発は停止中であっても使用済み燃料プールで事故が起これば大変危険。しかも現在は設計時の基準以上に燃料棒が密になった状態(触れ合えば核分裂反応が起き得る)。守田さんはそのことからも、全国すべての自治体での放射能事故対策、ヨウ素剤備蓄と事前配布を勧めています。
当日レクチャー用スライド
https://greens.gr.jp/uploads/2015/08/morita20150814.pdf
中日新聞記事
https://greens.gr.jp/uploads/2015/08/chunichi20150628.jpg
守田さんの近刊予定書籍のチラシ
https://greens.gr.jp/uploads/2015/08/morita_kinkan_tirasi.pdf
原子力災害対策計画にむけての提言
http://www.city.sasayama.hyogo.jp/pc/group/bousai/assets/2015/06/teigensyo.pdf
明日へ向けて(1094)篠山市長へ原子力災害対策の提言書を提出しました!今秋からヨウ素剤事前配布を始めます!
http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/22b1622da9dbba9a3797619e24deddc6
明日に向けて(1098)篠山市への「原子力災害対策計画にむけての提言」が公開されました!ぜひお読み下さい
http://blog.goo.ne.jp/tomorrow_2011/e/f9fc4d8144b29e54944c1237c9bc3188