【声明】市民の安全のため必要なのは秘密保護法制定ではなく、より一層の情報公開
【声明】
市民の安全のため必要なのは秘密保護法制定ではなく、より一層の情報公開
2013年9月18日 緑の党・運営委員会
安倍自民党政権は、集団的自衛権の合憲化と並び、「外交」「防衛」などの4分野につき「秘匿の必要性が特に高い情報」(特定秘密)の漏洩を処罰すること等を内容とする秘密保護法の秋の臨時国会での成立に意欲を燃やしています。法案はパブリックコメントに付されていますが、3日の公表からわずか2週間という短期間です。
民主主義の下では、原則として国政のあらゆる分野が市民の「知る権利」の対象であるべきで、例外として許される「秘密」は、人権保障の観点から必要なものや外交交渉の過程などに限られます。守るべき秘密は、国家公務員法等の現行規定で十分に対応でき、新たな法律は不要です。
しかもこの法案は、「特定秘密」を「我が国の安全保障に著しく支障を与えるおそれがある」ものという曖昧な規定で定義し、内容は行政機関の長が指定することになっています。テロなどに関連すると判断されれば、原発の安全性や放射能の情報など、国民に知られたくない情報を政権が恣意的に隠匿する恐れすらあり、原発事故から身を守ろうとする市民が、必要な情報から更に遠ざけられることにもつながります。
また、取材活動等について、「犯罪行為や犯罪に至らないまでも社会通念上是認できない行為」まで処罰対象としています。これは法制度として整合性を欠くもので、仮に「報道機関」を処罰対象外としてもその基準は曖昧で、フリージャーナリストなどの報道活動は保障されません。
さらに、法案では「特定秘密」を取り扱う可能性のある「行政機関の職員」や「契約業者の職員」などの「適性」を、行政機関の長や警察本部長が判断し、必要に応じて周囲の関係者からも情報を収集できるようになっています。これでは、公務員だけでなく広範な市民の思想・信条の自由が脅かされ、また市民社会の中に互いの疑心暗鬼を拡大させることにもつながりかねません。
法案の概要には「拡張解釈」や「基本的人権の侵害」を禁じる規定も記されていますが、これらの問題点を払しょくできるものでないことは、過去の歴史から明らかです。
市民の安全に必要なのは、秘密保護法ではありません。むしろ、福島原発事故でSPEEDIの情報が公開されず、福島の人たちを実際には危険な地域に避難させてしまったように、情報の秘匿こそが市民の安全を脅かすのです。わたしたちは、より一層の情報公開こそが必要と考え、秘密保護法を国会に提出しないよう強く政府に求めます。
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