【見解】貸金業法の再改悪を許さない
貸金業法の再改悪を許さない
2012年11月13日 緑の党 運営委員会
生活費を賄うために消費者金融からの借金を重ねた結果、高い金利の支払いによってますます生活が困窮、破綻してしまう多重債務問題は、長年にわたって深刻な社会問題となってきました。多くの市民がこの問題の解決を求めた結果、2006年、出資法上の上限金利の引き下げや収入の3分の1以上の貸付の禁止(総量規制)等を柱とする貸金業法改正がようやく実現し、2008年には改正貸金業法が完全施行されました。
この結果、5社以上の借入れを有する多重債務者が法改正時の230万人から44万人に激減し、自己破産者は17万人から10万人、多重債務による自殺者は1973人から998人に半減するなど、同改正は多重債務対策として大きな成果を上げています。
ところが、民主党や自民党の一部、みんなの党など、もはや非現実的となった「経済成長」幻想に固執する既成政党の議員からは、「正規登録業者から借りられない人がヤミ金から借入れをせざるを得ず、潜在的なヤミ金被害が広がっている」「零細事業者への短期融資の需要がある」などとして、金利規制や総量規制の見直しの議論が起こっています。
しかし、正規登録業者から借りられない人がヤミ金に流れている傾向は実際には認められず、相談件数や警察の検挙数も減り、被害規模も小型化するなど、ヤミ金の被害はむしろ減少しています。
そもそも高金利の返済とは、経済活動の拡大を前提にしないと不可能なものであるとともに、持たざる人から持てる人へと富を移転してしまうもので、私たちが求める持続可能で公正な経済とは真っ向から矛盾するものです。地球は有限の存在であり、無限の成長をいつまでも支え続けることはできません。
必要なのは貸金業法の改悪ではなく、むしろ上限金利の更なる引き下げや、債務整理の手段である特定調停法や民事再生法をさらに使いやすいものに見直すことです。また、日本の社会が二極化し貧困層が拡大している中で、「正規登録業者から借りられない」ような事態を防ぐためには、「借金に頼らなくても生活できる」セーフティネットの再構築や相談体制の更なる充実が重要です。
私たち緑の党は、経済の持続可能性や社会の公正を破壊する高金利の復活に強く反対するとともに、人々を苦しめている多重債務問題の根絶に向けて取り組んでいきます。