【世界のみどり】東欧で民主勢力の団結が、長期政権の権力集中を打倒!

ハンガリーTISZA党勝利を喜ぶ市民
今年、旧社会主義国のハンガリーとセルビアで、長年政権を担ってきた勢力に対し、野党・市民勢力が相次いで大きな勝利を収めました。
ハンガリーでは4月12日の国会議員選挙で、ペーテル・マジャル率いるTISZA(ティサ)党が199議席中141議席を獲得し、16年間続いたオルバーン政権を終わらせました。セルビアでも10月25日の総選挙で、学生運動を背景とする「学生リスト」が250議席中140議席を獲得し、2012年以来政権を担ってきたセルビア進歩党(SNS)主導の陣営を破りました。
<長期政権のもとで進んだ民主主義の後退>
1989年のベルリンの壁崩壊と、1991年のソ連解体を経て、旧社会主義国の多くでは複数政党による民主的な選挙が定着しました。
しかし、その後、ハンガリーやセルビアでは保守・右派政党による長期政権が続き、メディアへの影響力の拡大、政権に有利な選挙制度や行政資源の利用、司法の独立性への圧力などが国際機関からたびたび指摘されてきました。
また、汚職への批判や物価高、国民生活への不満も高まり、民主主義の後退に対する懸念が広がっていました。
こうした中、ハンガリーとセルビアでは、政権交代を求めて政党の枠を超えた連携や市民運動が拡大しました。
<緑の党は議席よりも政権交代を優先>
2022年のハンガリー総選挙では、緑の党LMP(政治は変えられる)が6党による統一野党「United for Hungary」に参加し、5議席を獲得しました。
セルビアでは同じ2022年の総選挙で、後に緑の左派戦線(Green-Left Front/ZLF)につながる「Ne davimo Beograd」などが参加した緑・左派系連合Moramo(私たちは変えられる)が13議席を獲得しました。
しかし、この時点では、いずれの国でも長期政権の交代には至りませんでした。
2026年のハンガリー総選挙では、LMPは野党票の分散を避け、政権交代を妨げないため全国比例リストを擁立しませんでした。その結果、議席は失いましたが、政権交代を優先する選択をしたといえます。
セルビアでも、学生たちを中心とする市民運動が政権交代を求める大きなうねりとなりました。緑の左派戦線(Green-Left Front/ZLF)も独自候補の擁立を控え、学生リストを支持しました。
その結果、10月の総選挙では学生リストが単独過半数となる140議席を獲得しました。11月上旬現在、新政府の正式発足に向けた政治プロセスが進んでいます。
<人々の暮らしと環境を守る政治へ>
ポーランドでも2023年の総選挙で、市民連合などの野党勢力が議会過半数を確保し、8年間続いた右派政党「法と正義(PiS)」主導の政権を交代させました。
緑の党も市民連合のリストから3人の国会議員を送り出しました。新政権では、緑の党共同代表のウルシュラ・ジェリンスカ氏が気候・環境省の国務長官を務め、気候変動対策や自然保護などに取り組んでいます。
ハンガリーではTISZA党による新政権が発足し、セルビアでも学生リストを中心とする新たな政治体制の形成が進んでいます。
物価高への対策、福祉の充実、民主主義の回復、気候変動対策など、人々の暮らしと環境を守る政治を実現できるかが、今後の大きな課題となります。
(注)ハンガリーのLMP:以前はヨーロッパ緑の党の正規加盟政党。電気自動車やバッテリー生産をめぐる政策上の対立などを理由に、2024年に離脱。
セルビアのZLF(緑の左派戦線):ヨーロッパ緑の党の正規加盟政党。
(参考)【世界のみどり】ポーランド緑の党が入閣、ヨーロッパの8政府で緑の党が活躍!


