【声明】辺野古沖転覆事故をめぐる文部科学省の「教育基本法違反」判断に抗議します

【声明】辺野古沖転覆事故をめぐる文部科学省の「教育基本法違反」判断に抗議します

2026年6月4日 
緑の党 グリーンズジャパン運営委員会

去る3月16日、名護市辺野古の沖合において、修学旅行で訪れていた同志社国際高校の生徒を乗せた船が転覆し、同高の生徒1名を含む二人の命が失われました。亡くなられた二人とご遺族に、心よりお悔やみとお見舞いを申し上げます。

二度とこのような悲劇が起こらないよう、修学旅行での研修を受け入れた団体や学校側の安全対策の客観的・徹底的な検証が必要であり、その責任も明確にされなければなりません。

一方、文部科学省は5月22日、同校の研修内容が教育基本法(以下「法」)第14条第2項(教育現場での政治的活動の禁止)に違反するとの認識を示し、学校側に是正を求めました。文科省は、使用された船が辺野古新基地建設への抗議船として使用されていたことを教員が認識していたことや、基地問題について多面的な見解を示していないことを理由として挙げています。

私たちは、この文部科学省の判断に対して、強く抗議します。今回の修学旅行の中で、どのようなプログラムが具体的に組み込まれていたかは十分明らかになっていませんが、文科省が指摘している点のみを以って「違法」の根拠とするのは不合理で、過剰で恣意的な政治介入に他なりません。これは、痛ましい事故に乗じ、沖縄の歴史や現状に向き合う平和教育全体に対して不当に圧力をかけ、教育現場を委縮させようとするものです。

沖縄県・玉城デニー知事が「文科省の判断は踏み込みすぎ」と指摘した通り、沖縄などで取り組まれている平和教育は「地域の歴史や出来事を学んで考える力、判断する力を養う」ためのものであり、特定の政治的立場を強制するものではありません。沖縄の基地の偏在という圧倒的な不条理と、それに抗う市民の声を学ぶことは、主権者教育として極めて真っ当な営みです。特定の社会問題について現地で当事者の声を学ぶことは、法14条違反を意味するものではありません。教育現場において、現実の社会問題に関する現地学習や当事者との対話が行われることは、民主主義社会における主権者教育の重要な一環です。それを「偏向」と断じる文科省の姿勢こそが、国家による教育への不当な支配を禁じた法16条の精神を蹂躙するものです。

また、政府の対応には著しい二重基準(ダブルスタンダード)があります。かつて「森友学園」問題において、園児に「安倍首相ガンバレ」と連呼させ、教育勅語を暗唱させた際、政府・文科省は調査や是正指導を行うことなく、事実上これを黙認しました。国家事業(辺野古新基地建設)に疑義を呈する可能性のある教育活動に対してのみ、殊更に「教育基本法違反」というレッテルを貼り介入する姿勢は、社会正義の観点から到底看過できるものではありません。

緑の党グリーンズジャパンは、市民社会に立脚し、現行憲法が保障する「学問の自由」と「教育の自主性」を強く擁護します。真の民主主義は、社会の矛盾や不条理から目を背けさせることではなく、それらに直面し、自らの頭で考える主権者を育てることによってのみ成り立ちます。文科省は、不当な判断と学校への是正指導を直ちに撤回すべきです。

最後に、私たちは、今回の深刻な事故をあらためて深く受け止め、安全対策を重ねて強く求めるとともに、沖縄などで取り組まれている「平和教育」に関する冷静で客観的な議論を望みます。

全文(pdf)→ https://greens.gr.jp/uploads/2026/06/S_nobeko.pdf