【世界のみどり】ベルギー地方選挙で緑の党が躍進
6年ぶりとなったベルギーの地方選挙では、フランス語圏のワロン、オランダ語圏のフランドル、両言語が混在するブリュッセルの3地域でいずれも強い権限をもつ自治体の改選が行われ、接戦となったこともあってどの選挙本部でも数か月にわたる選挙運動が行われた。フランドル地域では5州と308の市町、ワロン地域では5州と262の市町、ブリュッセル地域では19の市町が改選の対象だった。
フランス語圏の緑の党、エコロは前回2006年の選挙で好成績だったため有利に運動を進め、ワロン地域の第3党を堅持した。ワロン地域政庁のあるナミュール州ではわずかに得票が減ったものの、連立政権には続けて参加することになった。見事な成績となったのはアメ町で、エコロの得票は10ポイント以上増えて54.4%となり、市全体でジャン-ミシェル ジャボー市長の過半数獲得につながった。ブリュッセル地域ではワーテルマール・ボアフォール市長にエコロ共同代表のオリビエ ドゥルーズが当選し、政庁市で初のグリーンズ市長となった。ワロン地域全体としてグリーンズは堅調だった。
フランドル地域では各州で緑の党の得票が増えており、新しい議席をいくつも獲得した。この地域では自治区化を掲げる新フランドル同盟(N-VA)が大きく躍進しており州や市町議員で強さを見せている中での獲得だった。3つのおもな政党である社会党(SP.a)、キリスト教民主党(CD&V)、特に自由党(Open-VLD)が苦戦した中でのオランダ語圏の緑の党、フロンの進出は意義が大きい。
(※誤りがあったため訂正いたします/2012.12.25) ヘント市では社会党との共同名簿に参加したこともあって議席の過半数を確保できた。他にもオーステンデ、ブリュージュ、アントウェルペンでも議席が増えており、与党となる可能性もある。特にアントウェルペンは社会党の市長が数十年続いてきたが、今回N-VAのバルト・デウェーフェル党首に代わることになった。これは欧州緑の党による応援も効果があったと思われる。フロンの議員数は全体で226から307に増え、市町数では15増の158となった。フランドル全体で見るとベルギー緑の党は最大野党となって自由党を越している地域も多く、将来の成長にむけた大きな足掛かりとなるだろう。
(訂正版)ヘント市では社会党との共同名簿に参加したこともあって議席の過半数を確保できた。他にもオーステンデ、ブリュージュ、アントウェルペンでも議席が増えており、与党となる可能性もある。アントウェルペンでは数十年続いた社会党の市長から今回N-VA党首のバルト・デウェーフェル氏に代わっているが、議会の過半数が必要なためフロンも連立に参加するかもしれない。フロンの議員数は全体で226から307に増え、市町数では15増の158となった。フランドル全体で見るとベルギー緑の党は最大野党となって自由党を超している地域も多く、将来の成長に向けた大きな足掛かりとなるだろう。
もうひとつ今回の選挙で明るい結果だったのは、ベルギー全体で極右や右派ポピュリストが壊滅したことだろう。まずフラームス・ベランフはフランドル地域で穏健を装っていたもののN-VAの躍進に押されて数百あった市町での議席を全て失い、得票率も大幅に低下し、見る影もなくなった。この20年間、極右や移民排斥派の温床だったアントウェルペンでは23%以上も得票が下がり、15議席を失った。ワロン地域ではすでに地盤沈下していた国民戦線がほとんど候補も立てられず、政党としての力を失ったといえる。極右政策に強く反対しているフロンとエコロはいずれもこの結果を歓迎しているが、逆に労働党(PvdA)をとりまく極左の台頭は新しい課題である。
連立与党への交渉が今週いっぱいは続くので、フランドル、ワロン、ブリュッセルの地域政庁で緑の党の政権参入が増える可能性がある。フロンとエコロはこれまでの成果を歓迎している。
ヨーロッパグリーンズニュース(2012年10月17日)より
http://europeangreens.eu/news/belgian-greens-celebrating-local-election-results