【声明】太陽光パネル廃棄問題の抜本解決に向けたリサイクル義務化を求めます

【声明】太陽光パネル廃棄問題の抜本解決に向けたリサイクル義務化を求めます


2025年9月21日 
緑の党グリーンズジャパン運営委員会

8月29日、浅尾慶一郎環境相が太陽光パネルのリサイクルを製造業者らに義務づける新制度の導入を断念したと表明しました。これは我が国の再生可能エネルギー政策の持続性に深刻な後退をもたらす決定です。

太陽光パネルの廃棄問題は、物理的な廃棄物処理という問題にとどまらず、重金属による環境汚染や不法投棄の増加、さらには再生可能エネルギー全体に対する信頼性の低下といった複合的なリスクを抱えた喫緊の課題です。2030年代後半には大量廃棄のピークが訪れると予測されており、その対応に残された時間的猶予は決して十分ではありません。

現行のFIT/FIP制度に基づく廃棄費用積立は、既存設備の多くを対象外としており、「制度の抜け穴」となっています。こうした不備は、最終的に地方自治体や地域住民に環境リスクと費用負担を押し付けることになり、再生可能エネルギー普及の正当性を損ないます。

義務化見送りの背景には、費用負担を巡る利害対立や既存法制度との調整の困難さがあるとされています。しかし、こうした理由で制度設計を先送りすることは、国際的に広がる拡大生産者責任(EPR)の潮流に逆行するものであり、持続可能な社会への移行を大きく遅らせる結果になります。欧州をはじめとする各国では、すでに製造から廃棄・リサイクルまでを視野に入れた制度が整備されつつあり、日本がこの流れに背を向けることは、国際競争力や環境先進国としての信頼を失うことにつながりかねません。

今後、再生可能エネルギーが真に「持続可能」であるためには、発電時のクリーンさだけでなく、廃棄段階まで含めたライフサイクル全体での環境負荷低減が不可欠です。このまま義務化が見送られ続ければ、太陽光発電の普及は将来世代に深刻な環境負荷という「負の遺産」を残すことになりかねません。

私たちは、政府に対し、再生可能エネルギーの一層の拡大を求めるとともに、その環境負荷の軽減のための技術開発や制度設計、とりわけ今回の太陽光パネルのリサイクル義務化断念という方針を直ちに見直し、製造業者や販売事業者にリサイクル責任を法的に明確化する制度の速やかな整備を求めます。

声明全文→https://greens.gr.jp/uploads/2025/09/seimei_panel.pdf